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赤瞳の不良
17
:
ライナー
:2011/12/25(日) 21:23:45 HOST:222-151-086-008.jp.fiberbit.net
紅蓮は湯に浸かりながら、ジッとしていた。
水面から半分程顔を出して、ブクブクと息を吐き出す。
「(忘れろー! 忘れろ俺ー! 学生から変態に成り下がるぞ俺ー!)」
心中で、敢えて不良(ヤクザ)でなく学生言ったのは、紅蓮自身分からない。いつも不良(ヤクザ)の方で押し切っているにはいるのだが、こういう例えの場合学生が優先されるのだろうか。
10分くらいこんな事を続け、紅蓮は窒息になりそうになりながら、そして逆上せそうになりながら風呂を上がる。
「ふー、疲れたー……あ、いや、何で風呂で疲れてんだ、俺……」
「それは、逆上せたからじゃないですか?」
「あー、それだな、逆上せたからだな……」
言葉を途中で失って、紅蓮は横を振り向いた。
「………」
バスタオルが、青髪の少女へと投げられる。
それを受け取った少女は、紅蓮の方を見やって首を傾げた。
「どうしたんですか?」
「いや、お前の方がどうしたんですかー!?」
紅蓮は、一生懸命バスタオルで身を隠しながら叫ぶ。少女はまだ、体に何も纏っていなかったのだ。
「ッてかさー、服ぐらい着ろよ! 風引くだろ? お願いだから俺に変な事しないでくれる!?」
何だか自分が少し女子みたいだ、紅蓮は悲しくそう思う。
「えーと、私の服が無くて……」
少女は自分が裸を見られたのにも関わらず、普通に紅蓮に言った。こういう場合なら、顔を赤らめて、俯いて、それでもって小声で呟くならまだ分かる。それなのに、普通に話しているなんて、どれほど鈍感なのだろうか。
紅蓮はタオル一枚を腰に巻いたまま脱衣所を飛び出し、長い廊下の先に向かって言い放った。
「樒ーッ! この子の服持って来ーいッ!!」
すると、空気が読めない動きで、樒が少女の着ていたワンピースを持ってきた。
「若、いくら何でも女の子の服を嗅ぎたいだなんて……」
「誰がそんなこと言ったんだ! つーかそっちに服があるって事は、コイツは全裸で風呂場に来たんかい!?」
紅蓮は少女の肩を掴んで、少女を纏っていない肌隠し中のタオル一枚と一緒に少女が飛び出る。
「わ、私がこの娘の服を洗濯している内に……そんな関係に……!!」
樒はワンピースを廊下に落とし、両手で口を塞いだ。
「テメーは何を想像してんだ!! サッサとコイツを着替えさせろ!!」
何とか樒と青髪少女を脱衣所に押し込み、紅蓮は廊下に佇む。
ドッドッと、いかにも重みのありそうな足音を立てて、滝が廊下を歩いてきた。容姿はまだ外着ではなかったので、滝も起きたてだろう。
「……どうしたんスか、アニキ」
暫く黙ってから、紅蓮は言った。
「着替え、置いてきちった……」
その廊下は石庭に接していたため、冷たい風が吹き付けてくる。
その寒さに、紅蓮は身を屈めながらも、樒達が出てくるのを待った。
「アニキ、タオル持ってきましょうか……?」
紅蓮は震える体で首を振る。
冷たい風が、さらにその場を凍り付かせるように滝の声が呟かれた。
「そうスか……」
タオルは現在、脱衣所に全て納められていたのだった。不運と風が、紅蓮の体を痛めつける。
惨めな気分になりながら、紅蓮は言った。
「今、何時……?」
「7時30分っス」
紅蓮が学校を出るのも、その時間帯。そして、現在学ランが脱衣所。
「休もうかな、学校……」
今年一番、弱気になる紅蓮だった。
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