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赤瞳の不良
11
:
ライナー
:2011/11/22(火) 19:21:12 HOST:222-151-086-011.jp.fiberbit.net
「どうした」
女の言葉で、2人は意識が半分飛んでいたことに気付く。
そして2人は同時に唾を呑む。
この女は、どう考えても普通の人間ではないことが確かだ。それに少女を追っているとすると、少女は何かの事件の重要参考人と言うことも有り得る。
「(どうする……)」
無心で、紅蓮の頭にその言葉が響いた。
何にせよ、ここで少女を女に渡してしまえば、面倒臭いことは逃れることは出来る。しかし、もし、少女が無実の罪でただ追われていたとするとどうだろう。気を失っている状態にも関わらず、女は鋭い目つきになっている。と言うことは、少女が寝ていても何か危険性があると言うことだろうか。
「(どうする、俺……!!)」
再び、無意識のうちにその言葉が響く。
追われている……いや、もしかしたら少女は危険人物で、今すぐ消さなければいけないのか。それが女の鋭い目つきの理由だろう。
しかし、少女がどんな位置に立たされていても、答えは1つだった。
助けるしかない。
騎士道精神、侍魂。色々な言葉があるが、少女を見捨てるなどと言うことは男とも言えない。それが紅蓮のポリシーのようなものだった。
それに少女が仮に悪い立場に立とうと、良いモンの立場に立とうと、それは関係なかった。何故って?
何故ならそれは、紅蓮が極道に関係する一端の不良だったからだ。
「どうした、そいつをサッサと渡してくれぬか」
女の根強い声量が耳に届く。
紅蓮は女の返事の代りに、懐に手を伸ばした。
「悪いな、コイツとはものの1分しか、それも話せねぇ状態で出会ったが……」
学ランの内ポケットに隠されていたのは……
「お前、怪しすぎるから渡せねぇ!」
一丁の自動拳銃だった。
瞬間、女の目が一層鋭さを増して、紅蓮の赤い瞳を睨み付ける。
紅蓮はそんな女をものともせず、スライドを引いて素早く銃口を向ける。それに習って、滝はポケットに手を突っ込みメリケンサックを取り付けた。
「アニキ、久々ッスね。でもいいんスか? 絶対にただモンじゃないっスよ?」
「バカかお前は、奴は全体的に白い。だから白テープと同じ意味を持つ、つまり『喧嘩売ります』だ! ちなみに俺の方は赤い目が赤テープの役割をこなしている」
「その考え方、古いっスよ……」
苦笑いを浮かべながら、滝はボクシングのような構えになる。その横で、いーんだよと言いながらトリガーに指を添える紅蓮の姿があった。
「関係のない人間を巻き込むのは、いささか気が引けるが仕方がない。主らには死んで貰おう」
言葉が終わると同時に、女の汚れのない手からは不格好な針が放たれる。
その針は真っ直ぐに紅蓮の方に向かい、銃声と共にその勢いを失った。そして、紅蓮と滝は目を疑いゴシゴシと擦る。
針は一枚の葉だった。
葉は、虫に食われたように丸い穴を開けて、ヒラヒラとアスファルトに降りてゆく。
「……やっぱただモンじゃねぇ」
額に大粒の汗を浮かべて、紅蓮は無理矢理笑みを作った。
「滝、下がってろ」
苦汁の声が滝の耳に伝わる。
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