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青年と奴隷と預言書と
5
:
御陵
:2011/11/23(水) 17:16:55 HOST:wb005proxy03.ezweb.ne.jp
「とにかく、俺にそんな趣味はないんだ」
上に乗っている少年にエリオットは言い聞かせるように言った。すると彼は不可解そうな顔を浮かべる。それはそうだろう、彼は自分の仕事を全うしようと思っていたのだ。まさか拒絶されるとは思わなかっただろう。
「なら、なんで僕を買ったのさ。お兄さん」
「分からん」
少年の問いにエリオットは至極真面目な顔をして答えた。エリオットの返答に目を丸くした少年は、やがて可笑しそうに肩を揺らして笑い始める。
「な、なんで笑う」
ようやく退いてくれた少年の笑いに、不思議そうに上半身を起こす。仄かに照らす部屋の明かりの中で、ベッドから離れる少年の背中を目で追った。
「だって、まさか理由もないまま買われるなんて思わなかったからさ。お兄さん面白い人だね」
エリオット自身も不思議なのだ。元々買うつもりなどなかったのに、こうして彼を買ったのが。
「それはどうも……」
この年になって、可笑しな人のレッテルを貼られるとは……。エリオットは反論する気力を無くし脱力する。
「ねぇ、お兄さん。名前なんて言うの?」
「は?なんだ唐突に……」
「名前だよ。ずっとお兄さんと呼ぶのも悪くはないけどさ」
「エリオット。エリオット・クライブだ。お前は?」
ベッドに置かれた買っておいた服に手を伸ばした少年は、エリオットの返しに笑顔を浮かべた。
「僕?奴隷に名前はないさ」
「……え?」
服に腕を通しながら、少年がさらりと言うものだからエリオットは思わず自分の耳を疑った。
「奴隷は一番身分が低いからさ、名前なんて必要じゃないんだってさ」
気にした素振りもなく少年は服を着る。驚くのはエリオットのほうだった。
「……しかし、親につけてもらった名があるだろう?」
「奴隷商に売るような親が子供に名前なんかつけるわけないでしょ」
「……」
「そんなに僕の名前が気になるならエリオがつけてよ」
エリオットの隣に座って少年は笑った。それは期待が入り交じったもの。そんな素直な感情をぶつけられてエリオットは、どうしたらいいのか分からず苦笑いするしかなかった。
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