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青年と奴隷と預言書と

3御陵:2011/11/03(木) 12:30:37 HOST:wb005proxy08.ezweb.ne.jp
 奴隷商はエリオットの姿を見るや一瞬嫌な顔をしたが、すぐさま揉み手を始めて笑顔を貼り付ける。お金を持っていなさそうだと、エリオットの姿で判断したのだろう。その奴隷商の態度を不快に感じつつも、エリオットは隣の檻にいる奴隷たちに視線を走らせた。

 痩せ細った体からろくな食事を与えられていないと容易に推測できる奴隷たち。その顔はまだ幼さが残る子供たちだ。そこかしこに打撲の跡や傷が見られ、子供たちの扱いを否応なしに理解するしかない。

「……」

 死んだような目をする子供たちの中に、一人だけ異彩を放つ子供がいた。まっすぐにエリオットを見つめるその瞳は、奴隷という立場であることを忘れてしまいそうなほど意志が強く感じられる。汚れた髪は黄土色をしていて、瞳は琥珀色。奴隷にしては澄んだ瞳をしていた。

「おやじ、その子……」
「お兄さん、お目が高い!」

 エリオットが少年奴隷を指すと、奴隷商は声を高く上げた。なんだか買わされそうな雰囲気がするが、エリオットに買う気はないし、そんな予算もない。

「少々曰く付きではありますが、かなりの上玉ですよ」
「曰く付き……?」

 そうは見えないが、この奴隷商は「曰く付き」の厄介なものを売り付ける気だろうか。

「主人の命令に忠実で、見映えも良いところから買い手は数多なんですがね、買われてからしばらくすると必ずコイツの主人だった者が不可解な死を遂げるんですよ」

 まさに曰く付きの少年奴隷だ。ほかの子供たちより怪我が目立たないのも、特別扱いされていた証拠だろう。彼はまっすぐにエリオットを見つめている。その瞳から逃れられない何かをエリオットは感じていた。

「おやじ……」





   ◇ ◇ ◇





 どうしてこんなことになってしまったんだろう。エリオットは自分のやってしまった過ちをひたすらに呪った。彼の隣に並んで歩いているのは、あの少年奴隷。身長はエリオットの胸ぐらいしかなく、間近で見るとより一層女のように華奢な体をしていた。


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