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☆男装少女 6人目のメンバー☆
191
:
いちご
:2012/07/13(金) 21:30:01 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「じゃあ、今から一度だけ通して踊るから
それを目で見て、しっかり覚えて。」
「!?」
ことりは目を見開いた。
あまりにアバウトな練習法に驚く。
「まだ佐野が来てないから、奥村と森山のパートからするわね。」
ちゃんと見ておきなさいよ、と七瀬は言う。
頷くのを確認すると、七瀬は踊りだした。
ことりは思わず息を飲んだ。
あまりの高度な、キレのあるダンスに目を奪われる。
(じ、自分にできるわけないよ...)
ダンスを初めてまだ1日しかしていない。
基本的な動きをやっと身につけたばかりのことりにとって、難しすぎた。
192
:
いちご
:2012/07/14(土) 13:14:23 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「ここまでよ。」
「七瀬さん、ここのステップから次に動くときって
こうであってますか?」
「うん、そう。」
ことりは隣で、一度見ただけで
大体踊れている楓を見て驚愕した。
「奥村、全然なってない。」
それなのに全然駄目だと言われている。
ことりは手足が震えた。
「次、森山。やってみなさい、
アンタこういうダンス得意でしょ?」
勝手に得意にされても困る。
(ど、どうしよう...。)
出来ない。できるわけない。
この場から逃げ出したくなった。
193
:
いちご
:2012/07/14(土) 14:00:15 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「森山?」
七瀬は不思議そうな表情で自分を見る。
「っ、」
どうしよう、頭が真っ白だ。
今七瀬が踊っていたダンスを忘れてしまう。
ことりは、意を決して足を踏み出した。
昨日覚えたばかりのステップを刻む。
その光景に七瀬だけじゃなくほかのメンバーも目を見開いた。
「森山、何やってるの?」
「...スイマセン、おぼえられませんでした。」
素直にそう言って頭を下げれば、七瀬は更に驚いた。
いつもなら一度で大体を覚えてしまうのに、今日は違う。
「調子が悪いようね...もう一度書類に目を通して、
できるかぎりダンスを把握しなさい。」
「ハイ…」
194
:
いちご
:2012/07/15(日) 21:12:42 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「ハァ…」
休憩時間、ことりはため息をついた。
ダンスが難しすぎる。ことり以外のメンバーは確実に上達していく中、
一人だけ置いて行かれていた。
そんなことりを見かねた楓が、ため息交じりで近寄ってくる。
「陽君、真面目にやってる?」
ことりは汗だくの首をタオルで拭きながら、
楓を見上げた。
195
:
いちご
:2012/07/15(日) 21:15:07 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
ドキ、
「うん...ごめん。」
楓は、汗で濡れている髪と
暑さで頬が赤くなっていることりを見て、心臓が高鳴った。
動揺を隠せない楓は、ばっと視線を逸らした。
「楓?」
何処か様子の可笑しい楓を心配し、
大丈夫?と彼に触れようとした瞬間、バシ、と手を払われる。
「あ、」
楓も無意識だったらしい。
「ご、ゴメン。」
「僕こそ...。」
彼はことりを見て、小さく謝った。
196
:
いちご
:2012/07/15(日) 21:23:39 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「遅れてすいません。」
刹那、郁美が姿を現した。
「郁美、お前おせーって。」
お前がいないと全く練習になんねえ、と南は言う。
「しょうがないだろ。これでも急いできた。」
「佐野も来たことだし、練習を再開するわよ。」
再び、練習が始まる。
ことりは少しふらふらしたが、気にせず立ち上がり
最初の立ち位置へと移動する。
197
:
いちご
:2012/07/15(日) 21:25:49 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「陽…お前大丈夫か?」
「え?」
そんなことりを見た郁美が気づき、彼女に近寄る。
「顔色悪いぞ。」
「だ、大丈夫だよ。」
「無理、するなよ。」
心配そうな表情を見せる郁美にドキドキしつつ、
ことりは平常を保ち笑顔を見せた。
それからもダンスレッスンは続いたが、ことりだけ上達していない。
無理もなかった。体がついていかないのだ。
一人泣きそうになり、瞳を潤ませる。
198
:
いちご
:2012/07/18(水) 17:42:06 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「森山。」
七瀬が低い声音で彼の名を呼んだ。
「今日は帰りなさい。」
「え、」
ことりは驚いて顔をあげた。
どうして、帰れと言われなければいけないんだろう。
自分は何か間違ったことをしただろうか?
「調子が悪いのに、無理にレッスンしても意味ないでしょ。
今日の森山はダンスのキレが悪すぎよ。
今日は帰って。調子が戻ったら自主練しなさい。」
「…ハイ。」
ことりは小さく返事をした。
どうやら、いつものようなダンスではない為に調子が
悪いのだと勘違いされてしまったらしい。
メンバーも、陽の調子が悪いということに気づいていたが、
あえて何も言わなかった。
ふらふらとした足取りで自分の荷物をまとめ、肩に担ぐ。
199
:
いちご
:2012/07/18(水) 17:54:15 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「...奥村ー。」
そんなことりを見かねてか、
七瀬は練習している楓に声をかけた。
「はい。」
「送っていってやりなさい。」
「え…」
なんで僕が、と声を濁らせたが、
七瀬はもう一度力強く同じことを言った。
「奥村も、今日はそのまま帰りなさい。
同じパートの森山がいないなら練習にならないでしょ。」
たしかに、七瀬が言うとおりだ。
楓は、ハァ、とため息をついてから、荷物をまとめてことりの後を追う。
「行くよ。」
「ご、ゴメン…。」
「別に。…お疲れ様でしたー。」
「お、お疲れ様でした!」
楓につられて、ことりも挨拶をする。
メンバーが茫然とこちらを見ている中、二人は練習場を後にした。
200
:
いちご
:2012/07/18(水) 18:01:08 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
゜.:。£+゜仲間゜£+゜.:。
「陽君。」
楓の視線が突き刺さる。ことりは焦った。
自分のせいで、たったの二日間しかない新曲のレッスンを最後まで
受けることができなかったのだ。
ことりは戸惑った表情で楓を見る。
「...本当に体調悪いの?」
「ぜ、全然平気!大丈夫!」
笑顔を張り付けて彼を見れば、「なら、いいけど」 と言う。
201
:
いちご
:2012/07/18(水) 18:03:59 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
ことりの家の方向とは、別の方へ向けて歩き出す彼をみて
不思議に思った。どこかに行くのだろうか。
「ねえ、楓」
「何。」
「どこいくの?」
「僕の家に決まってるだろ。」
「え?」
「練習」
体調悪くないなら、僕の家で練習する。と言う。
本来ならダンスレッスン後に練習する予定だったのだが、
半強制的に帰宅命令が出されてしまった為にしょうがない。
202
:
いちご
:2012/07/20(金) 21:18:04 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「楓の家に行ってもいいの?」
「仕方ないでしょ。場所がないんだから」
ことりは息を飲んだ。
男の子の家には行ったことがない。
いくらダンスレッスンのためと言えど、
緊張しないわけがなかった。
203
:
いちご
:2012/07/20(金) 21:20:16 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
―――
―――――…
「ここだよ」
「でっか...。」
目の前にあるのは、大きな屋敷だった。
自分の家の3倍はありそうな楓の家に、言葉が出ない。
「何突っ立ってるの?」
「あ、今いく」
声をかけられて、慌てて彼の後につづいた。
204
:
いちご
:2012/07/20(金) 21:21:56 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
お邪魔します、と告げて中に入る。
「お兄ちゃんお帰りー」
「ただいま」
妹の彩乃の声が聞こえて、思わず肩をビクつかせた。
「あれ?お客さん?」
彩乃は足音がもう一つ聞こえる事に気づき、
リビングから顔を覗かせた。
「っえ!?な、なんで森山陽がっ...」
「新曲の練習。彩乃、邪魔しないでよ」
「う、うん」
ほら、さっさと行くよ。と言い、楓はことりを案内する。
彩乃の前を通り過ぎる時に控えめに頭を下げておいた。
205
:
いちご
:2012/07/21(土) 12:07:31 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
とある部屋の前で立ち止る。
楓はそこに入る。ことりも続いて入り、中を見て目を見開いた。
「うわあ...」
「ここ、ダンスレッスン用の部屋」
目の前にとても大きな鏡があり、
レッスン場並みの広さのそこに驚きを隠せない。
楓は鞄からレッスン用のCDを取り出すと、
近くにある大きな機材にセットし始めた。
「陽君、なんで急にダンス下手になったの?」
ズバリとそう聞かれて、戸惑う。
自分は陽ではない、そう言ってしまえば楽なのにそれはできない。
なんて言おうか悩んでいれば、楓は大きくため息をついた。
「ま、どうでもいいけど。僕と同じパートになったからには
ちゃんと完璧にしてよね」
「...うん」
ピ、と再生ボタンを押すと音楽が流れ始めた。
206
:
いちご
:2012/07/21(土) 12:17:05 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
ことりは楓の隣に立ち、始まるのを待つ。
足元がふらふらするが、休んでいる暇はない。
眠気と怠さと疲労が一気にことりに襲い掛かる。
「っ、」
唇を噛みしめて、なんとか堪えた。
「笑顔」
隣の楓に言われて、慌てて笑顔を張り付けた。
無理やり張り付けたぎこちないそれに、楓は無言でことりを見る。
207
:
いちご
:2012/07/21(土) 12:29:44 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「や、る、気、あ、ん、の?」
むぎゅう、とことりの両頬を引っ張る。
「いひゃい.…」
「いい加減にしてよね。
足手まとい、役立たず。時間は限られてんだよ、
その中で完璧にしなきゃいけないのに」
楓は本気なんだ。自分の仕事に誇りを持っている。
だから、嫌いな自分とでも文句言わずに練習している。
ことりは、頬の痛みに涙目になりながらも、もう一度決意を決めた。
(完璧に、ダンスが踊れるようにしよう)
彼女の目つきを見て、楓は満足したのか解放する。
208
:
いちご
:2012/07/21(土) 12:33:27 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「―――陽君は、僕の憧れなんだから」
「え?」
ぽつりとつぶやかれた言葉は、
ことりに届くことはなかった。
209
:
いちご
:2012/07/27(金) 19:20:13 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
それから2時間、心を入れ替えたからか、
ことりは急激に成長していた。
なんとか楓のダンスについていけるようにまでなる。
曲が終わった瞬間、ことりはその場に座り込んだ。
「はぁー、はぁー、」
「陽君、このくらいで疲れてんの?」
いつもなら、疲れていても休憩時間も
一人で練習しているくらい努力しているのに。
「――…陽君?」
彼女の頬が赤く火照っていることに気づく。
210
:
いちご
:2012/07/27(金) 19:28:04 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「よ、陽くん…」
何処か焦点があわない瞳をしていた。
楓は彼女の視線に合わせてしゃがみこみ、額に手を触れた。
「――ッ熱」
ことりは熱を出していた。
昨日からずっと無理をしていたせいだろう。
「…家まで送る」
「立てる?」と楓はことりの腕を掴んだ。
彼女の腕の細さに驚き、目を見開く。
こんなに陽は筋肉が無かっただろうか。
「…ッ!?」
ことりは限界だったのか、ガクッ と、その場に倒れ込んだ。
211
:
いちご
:2012/07/28(土) 13:32:38 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
苦しそうな呼吸を繰り返している。
これにはさすがにヤバイと感じた楓が、慌てる。
とりあえず、ここから一番近いリビングのソファーに寝かそうと思い
ことりの体を横抱きにして持ち上げた。
男を横抱きにするなんて、と内心思ったが文句は言ってられない。
持ち上げた瞬間、想像していたよりもずっと軽い彼の体に
楓は目を見開いた。
212
:
いちご
:2012/07/29(日) 11:56:52 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「彩乃!」
「どうしたのお兄ちゃんって、陽君!?」
リビングに入ってきた、楓に抱えられていることりを見て
彩乃は声をあげた。
「熱があるみたいなんだけど」
楓はソファーにことりをそっと置きながら言った。
彩乃は陽の額に手を当てて、驚く。
213
:
いちご
:2012/08/03(金) 12:41:26 HOST:ntiwte023008.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「…お兄ちゃんは陽君の洋服着替えさせてあげてて!
汗でべたべただから余計に風邪が悪化しちゃう!」
「う、うん」
「あたしは冷えピタと風邪薬とってくるから後はよろしくね!」
テキパキと動いている彩乃を見て、
楓はさすがだと思った。
リビングを出て行った彩乃を確認してから、
近くにたたんで置いてあったスウェットの上下を手に取る。
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