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☆男装少女 6人目のメンバー☆
1
:
いちご
:2011/10/25(火) 18:47:37 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
どうも、いちごです!
これで2作目になります、と言っても
まだ1作目は終わっていませんが(^_^;)
本当は、受験生なのでこんなことをしている場合じゃありません・・
なかなか書けないと思いますが、優しい目で見てください。
2
:
いちご
:2011/10/25(火) 19:48:01 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
〜主人公〜
森山 ひよこ (もりやま ひよこ)17歳
顔は可愛いが、いじめられている。
双子の兄、陽のことが嫌い。
〜スカイのメンバー〜
森山 陽 (もりやま よう)17歳
陽にとって、ひよこは自慢の妹。
アイドルグループ「スカイ」のメンバー。
佐野 郁美 (さの いくみ)17歳
「スカイ」のメンバー。陽と仲がいい。
雪平 南 (ゆきひら みなみ)18歳
「スカイ」のメンバー。陽にたまに冷たく接する。
奥村 楓 (おくむら かえで)18歳
「スカイ」のメンバー。陽が嫌いと言っているが
本当は陽にあこがれている。
橋本 柚希 (はしもと ゆずき)19歳
「スカイ」のメンバー。陽とあまり喋らないが、仲は悪くない。
3
:
いちご
:2011/10/25(火) 20:05:28 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
+゜。プロローグ。゜+
「ことりちゃん、陽さんの代わりに男装して
スカイに入ってくれないかな?」
ーーすべて、この一言から始まった。
「・・・どうしよう、俺、陽のこと・・・好きかも」
「陽を見てると、可笑しくなるっ・・・」
「俺はお前に陽を渡す気はない」
男装少女に恋をするメンバーたちと
突然何も知らない世界に一人、放り込まれた、男装少女の物語。
4
:
いちご
:2011/11/03(木) 08:51:09 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
。゜+兄の代わり+゜。
私には、双子の兄がいる。森山陽(もりやま よう)。
この世で一番嫌いな人だ。
見ていたバラエティー番組が終わり、CMに入る。
そこにうつっているアイドルを見て、嫌そうな表情を浮かべると、
ことりはテレビの電源を切った。
(あんな奴、見たくもない)
あいつのせいで、私はイジメにあっている。
全部あいつが悪い。
同じ双子なのに、陽は両親から期待されてるし、
おまけに顔も運動神経もいい。友達も多いほうだし
今は人気上昇中のアイドルグループ「スカイ」の中心メンバー。
(消えてくれればいいのに・・・)
この時はまだ、本気でそう思っていた―――。
5
:
いちご
:2011/11/03(木) 11:01:42 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
母「ことり〜、もうすぐお兄ちゃんが出る番組始まるでしょ?」
こ「・・・・・」
母「ことり!!聞いてる!?テレビつけないの?」
こ「私見ない」
母親の言葉にそっけなく返事をすると、
ことりはソファーから立ち上がり、二階にある自室へと向かった。
「まったく、あの子ったら・・・・」
そんな様子のことりを呆れたような表情で見ながら
母親はテレビの電源をつけた。
6
:
燐
:2011/11/03(木) 15:07:31 HOST:zaq7a66fee5.zaq.ne.jp
あの・・台本書きは控えた方がいいと思います。
いちごs>>
7
:
いちご
:2011/11/06(日) 16:22:16 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
すいませんm(_ _)m
これから台本書きやめます
>燐s
8
:
燐
:2011/11/06(日) 16:40:21 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
いちごs>>はい。
宜しくお願いしますね。←何か気まずいぞw
9
:
いちご
:2011/11/06(日) 16:56:39 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
いや!!全然^_^;
これからもアドバイスお願いします!
>燐s
10
:
燐
:2011/11/06(日) 16:58:34 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
いちごs>>いや・・私のアドバイス参考にしても困るんだがw
てか、呼びタメOKか?
11
:
いちご
:2011/11/12(土) 20:57:26 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
>燐
OKだよ(*^^*)
ってか、他のスレッドでも言ったけどねww
12
:
燐
:2011/11/12(土) 20:58:10 HOST:zaqdb739e91.zaq.ne.jp
いちご>>そだなw
ま、どっちでもいいか。
13
:
いちご
:2011/12/12(月) 20:34:17 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
>燐
うんww そーいえば、
こっちもあんま書いてなかった
続き↓
そこにはインタビューをうけている
「スカイ」のメンバーたちが映っていた。
『たしか、新曲が出るんですよね?』
「はい、CDが明日発売されるんです。
皆さんよかったら買ってみてください。」
愛想笑いを浮かべた陽の表情を見て、
インタビュー会場にいたファンは、歓声をあげる。
『キャーッ!!陽くーん!』
14
:
いちご
:2012/02/05(日) 17:54:08 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
そんなファンに向かって、ファンサービスで手を振れば
歓声が悲鳴に近いくらいに大きくなった。
〜陽視点〜
――
―――
「お疲れ〜」
「お疲れ、南」
インタビューが終わって、楽屋に入って行く俺たち。
グループのメンバーは全部で5人に編制されている。
その中で最も人気なのが、俺と郁美。
メンバーの仲は悪くないが、少なからず嫉妬はあるらしく、
微妙な空気が漂っていた。
「今日も凄かったな。陽が手を振っただけで、あの歓声だろ?」
雪平 南(ゆきひら みなみ)はインタビューをうけていた時とは
一変した、冷たい表情で言った。
それを聞いていた郁美が呆れたようにため息をつく。
「嫉妬かよ、南」
「嫉妬じゃね〜って、ただ、
調子に乗ってんじゃねーって言いたいだけ」
「それを嫉妬って言うんだ、馬鹿」
気にすんなよ、陽、と郁美に声をかけられたが、
俺は困ったように笑い、ああ、と頷いただけだった。
15
:
いちご
:2012/02/05(日) 18:08:16 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「俺、先帰るわ」
「今日はどっか寄らねーの?」
いつもは飯食いに行くのに、と南が言った。
「ああ。明日妹の誕生日だから、何か買おうと思って」
「ふーん、じゃあまた明日な。
音楽番組の収録、忘れんなよ!」
「忘れねーよ、じゃーな!」
南の言葉に返事をしてから、メンバーに
お疲れ、と声をかけて、俺は楽屋を出た。
こないだ、新しい靴が欲しいと母親に言っていたことを思い出し
戸惑いながらも、俺は女の子の靴がある可愛らしい店に入っていった。
16
:
燐
:2012/02/05(日) 20:36:18 HOST:zaq7a66fd0c.zaq.ne.jp
いちごぉぉぉぉぉ!!!!!!!
この小説見るのは初めてだったか?
そうでもないか・・・・。
ま、頑張れw←
17
:
いちご
:2012/02/05(日) 21:02:53 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
深く帽子をかぶり、なるべく自分が「スカイ」の陽だと
バレないように気をつける。
俺は何故か妹に嫌われているために、
受けとってもらえるかは分からないが、ことりが好きそうな
デザインのサンダルを購入した。
「ねぇ、あれって陽じゃない?」
「あ、ホントだ。ちょっと似てるよね」
客がちらちらとこっちを見て小声で話している。
急いで金を払い、綺麗にラッピングしてもらうと、
早足で店を出た。
明日は番組の収録があるせいで、家に帰る時間が遅くなる。
誕生日を祝ってやることが出来ないために、
今日、プレゼントを渡そうと考えていた。
今日のインタビュー会場は、家から近かったために
早く帰宅することができた俺は、ただいま、とつぶやいて家に入った。
18
:
いちご
:2012/02/05(日) 21:03:33 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
うん、前に一回アドバイスもらったw
私文才ないから、よく意味分かんなかったら言ってね?
自分でもよく意味分かんない時もあるけど(←え・・
19
:
燐
:2012/02/05(日) 21:06:23 HOST:zaq7a66fd0c.zaq.ne.jp
いちご>>いや・・・あんなんアドバイスちゃうよ。
ただ単の評価的なw
作者が意味分からんってどうやねんなぁ・・・。
20
:
燐
:2012/02/05(日) 21:08:30 HOST:zaq7a66fd0c.zaq.ne.jp
てか、もう一つの方更新ないん??
やたら楽しみにしてんねんけど!!!
21
:
いちご
:2012/02/06(月) 17:52:32 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
うん、なんか書き終わってから読み返すと
ん?何じゃこりゃ?的な・・・
Σ(´∀`;)・・私の小説を
楽しみにしてくれる人がいるなんて!!←w
22
:
燐
:2012/02/06(月) 18:44:19 HOST:zaq7a66fd0c.zaq.ne.jp
いちご>>何かね・・・いちごの小説は読みやすいんよ・・。
それに何か雰囲気がエエムードやんw
23
:
いちご
:2012/02/06(月) 19:09:18 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
嬉しいわ( ;∀;)
でも、燐の小説のはクオリティすっげぇ高いけどww
うん、てか凄いよね。もう200いってる!
私はネタ切れなっちゃうから、ゆっくり書かないといけないなぁ(^_^;)
24
:
燐
:2012/02/06(月) 19:12:20 HOST:zaq7a66fd0c.zaq.ne.jp
いちご>>ほとんどノートに下書きしてるからペースは早いよw
夜中に下書きしてるっていう・・・。←殴
25
:
いちご
:2012/02/07(火) 17:24:50 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「お帰りなさい、陽くん」
今日もテレビ見たわよ〜!と、母親は興奮気味に言う。
「・・・ことりは?」
「あの子、部屋に閉じこもって出てこないのよ。
どうせお腹が減れば出てくるでしょ」
自分も腹が減っていたし、それもそうかと考えてリビングへ向かう。
席につくと用意されていた夕ご飯を食べ始めた。
テレビに流れていたのは、明日発売されるCDの宣伝のSM。
練習中、耳にタコができるくらいずっと聞いていたため、
できれば聞きたくなかった。
26
:
いちご
:2012/02/07(火) 17:27:53 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
よ・・夜中ww
私は授業中に考えてるから
授業何やったかあんま覚えてない←w
27
:
いちご
:2012/02/08(水) 18:18:25 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
タン、タン、タン
リズムよく階段を下りる足音が聞こえて、
ことりが来たんだと察した。
ガラ、
この時間に陽が帰っているとは思っていなかったらしく
大きく目を見開いて兄を見る。
「あ、ことり」
「何」
「これ・・・」
食べるのを中断させ、プレゼントを手に取り
ことりに手渡す。
「俺、明日収録で遅くなるから・・・
明日誕生日だろ?おめでとう」
「え・・・」
まさかプレゼントを貰えるとは思っていなかったらしく
ことりは大きい目を更に大きくした。
28
:
いちご
:2012/02/10(金) 19:16:06 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
そっか、明日は陽と私の誕生日なのだ。すっかり忘れていた。
「あ、ありが「え、陽は明日もお仕事なの?」
ことりの言葉を遮り、
『折角の二人の誕生日なんだから、3人で外食しようと思ってたのに』
と、不満そうな声を出す母親。
「ごめん、母さん」
29
:
いちご
:2012/02/10(金) 19:31:08 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「お仕事だからしょうがないわね〜、また都合があうときに
3人で食べに行きましょう。ね、ことり」
「・・・・」
「陽には期待してるんだから、これからも頑張りなさいね」
陽には、という言い方に、ことりはイライラしてくる。
母親も周りの人間も、陽しか見ていない。
「ことり・・・」
そんな雰囲気の妹に気づいた陽が、心配そうに名前を呼んだ。
30
:
いちご
:2012/02/11(土) 19:09:46 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「私、別に誕生日を
祝ってもらおうなんて考えてないし」
ことがそっけなくそう言うと、母親はムッとしたような表情を見せる。
「その言い方はないでしょ。折角二人の誕生日なんだから、
お祝いするのは当たり前じゃないの」
「何が二人の誕生日なのよ!
お兄ちゃんのことしか考えていないくせに!!」
突然大声を上げて、ことりは陽から
受け取ったプレゼントを母親に投げつける。
「ことり!いい加減にしなさい!!」
「うるさい!!」
我慢の限界だった。
自分のことをちゃんと見てくれない母親に、ずっと不満を感じていた。
小学生の頃からずっと、兄を優先にしてきた母親のことは
大嫌いだし、それ以上に陽のことが気に食わない。
自分は冷たい態度をとっているのに、優しくしてくる兄が大嫌いだ。
31
:
いちご
:2012/02/13(月) 18:14:32 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「ことり」
心配した陽がことりの名前を呼んだが、
それを無視してことりは、ドタバタと二階の自室へと戻ってしまった。
「・・・・俺、様子見てくる」
「ほっときなさいよ。きっとあの子、反抗期なのよ」
行くだけ無駄よ、と言う母親に陽は戸惑う。
「陽はお仕事で疲れたでしょ?早くお風呂に入って寝なさい」
「・・・・・・うん」
母親に言われ、陽は渋々風呂に向かう。
今回のようなことは今までに何回もあったし、
自分がどれだけことりに構っても自分が芸能活動をしているかぎり
関係は良くならないことになんとなく気づいていた。
母親は自分の足元に落ちているプレゼントを手に取ると、
そっとソファーにおいて、ため息ををついた。
32
:
いちご
:2012/02/18(土) 21:57:28 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
。゜+交通事故+゜。
コンコン、
部屋でぼうっとしていると、ノックの音が聞こえた。
どうせ母親だと思い、無視をしていればガチャリとドアが開く。
「ことり、」
少し控えめに自分を呼んだのは、風呂上がりの兄だった。
「風呂・・・空いたから次入れよ」
「うん」
「今からコンビニ行くんだけど、何か欲しいもんある?」
「いらないから、もう私なんかに構わないで」
ことりはパッっと立ち上がると、陽の横を通り過ぎて、
風呂場へ向かおうとする。
陽は、それを腕を掴んで反射的に止めてしまった。
ガシッ
「な、なに」
「俺、何かした?」
悲しそうな、真剣な表情で問いかけてくる。
「っ、別に・・・」
「ことりは・・・俺の事嫌い?」
ドクン、と、心臓が鳴った。
33
:
いちご
:2012/02/19(日) 10:00:42 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
どうして陽が悲しそうな表情を見せるのかもわからないし、
いちいち自分に構ってくる理由もわからない。
今まで陽に対して酷い態度ばかりとってきたのに
優しくされる理由もわからない。
私は優しくされても嬉しくないのに・・・
むしろ生まれてくるものは“喜び”ではなく“憎しみ”だから。
だって陽さえいなければ・・・
“陽さえいなければ”
兄は悪くない。悪くないけど、優しくされると
同情されているように思える。
だから優しい兄が、同情してくる兄が・・・・
「大っ嫌い」
吐き捨てるようにそう言うと、
ことりは兄の手を振り払い風呂場へと歩いて行く。
陽は妹の姿を見て溜め息をつくと、
気晴らしにコンビニへと足を運んだ。
34
:
いちご
:2012/03/06(火) 16:59:54 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
(どうすればいいのかな)
陽は夜道を歩きながら、一人悩む。
母子家庭で育ってきたために、女手ひとつで
自分たちを育ててくれた母親には、恩返しをしたいし、
出来るなら双子の妹とも仲良くしたい。
母親は芸能活動の事を応援してくれているし、
出来るだけ期待に応えたいと思っている。
しかし、そのせいでことりに嫌われているのだ。
しかも今、「スカイ」のグループ内の雰囲気もよくない――、
「・・・・・ハァ」
無意識に陽はため息をついた。
35
:
いちご
:2012/03/06(火) 17:13:41 HOST:ntiwte053067.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
ププー、
ぼうっとしていたせいか、背後から迫ってくるトラックの
クラクションの音が聞こえなかった。
ふらふらとした足取りで、陽は歩く。
キキィ!!
急ブレーキの音が響き、この時やっと気づいた。
陽はパッと振り向き、大きく目を見開く。
目の前には大型トラック。
どうすることもできない。
「ッッ!!!」
ドンっと、強い衝撃を受け
陽の身体は中に舞い、地面に強く叩きつけられた。
激痛を感じる間もなく、
陽は意識を手放した――。
36
:
いちご
:2012/03/17(土) 17:39:34 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
―――
――――・・・
そして森山家に一本の電話がかかってくる。
丁度、ことりは風呂から上がり
部屋に戻ろうとしていた時だった。
母親が電話に出たのだが、
明らかに様子がおかしいことに気づく。
「・・・・・え?」
言葉に詰まっている母親を見て、
ことりは足を止めた。
「今向かいます!」
ガシャンッ
母親は乱暴に受話器を置いて、
車のキーを掴み玄関へと向かう。
「ことりも来なさい!!」
「う、うん」
何か大変なことがあったのだと察したことりは
頷き母親について行った。
37
:
いちご
:2012/04/02(月) 19:07:56 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
向かった場所は病院。
「お兄ちゃんに何かあったの?」
状況がいまいち分かっていないことりは
母親に聞くが、返事をしてくれなかった。
どうやらただ事じゃなさそうだ。
ことりは静かに黙って、病院に着くのを待った。
駐車場に車を止め、走る。
受付を通り、集中治療室前まで向かった。
ことりは大きく目を見開く。
治療室に自分の兄がいる。
実感はないが、心臓が大きく唸った。
「うわああっ」
母親が泣き崩れる。
ことりはどうすることもできず、
ただ、母親をじっと見ていた。
38
:
いちご
:2012/04/10(火) 18:50:29 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
しばらくして、親戚の人や
芸能事務所の関係者の人たちが集まってくる。
「スカイ」のメンバーには、知らせていないらしい。
明日は収録で、しかも近々コンサートがあり
混乱させたくない為に今は言わないと言っていた。
親戚のおばさんは、ことりの母親の肩を抱いて
大丈夫、大丈夫と繰り返し言う。
状況ををいまいち理解できていないことりは、
ただ、ぼうっしていることしか出来なかった。
数時間かけて手術が行われた。
手術がやっと終わったのか、ランプが消えた。
中から手術を行った医者が出てくる。
「陽は、陽は無事なんですか!?」
「手術は成功しましたが・・・・」
医者は目を伏せ、残念そうに続ける。
「今後、目を覚まさない可能性があります」
39
:
いちご
:2012/04/21(土) 20:12:45 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「ど、どういうことなんですか!」
親戚や、事務所の関係者は医者に詰め寄る。
「地面に大きく頭を打ち付けたときの衝撃が大きく、
脳に損傷を与えてしまったために、
目を覚まさないかもしれないということです。
まだ覚まさないと決まったわけではありませんし、
外傷は奇跡的にそれほど酷くありませんでした。
しばらく様子を見ましょう」
医者はできるだけ言葉を選び、優しく説明した。
刹那、母親や親戚は再び涙を流し始める。
「・・・・困ったな」
ふいに事務所の関係者が呟いた。
「明日の収録は、陽がセンターで歌うんだぞ。どうするんだよ」
小声で話している関係者を見て、ことりは茫然とした。
こんなときまで仕事の話をしている。
結局は売り物としか見ていない。
泣き崩れる母親と、芸能関係者を見比べて
ことりはどうしてか分からないが、腹が立った。
40
:
いちご
:2012/04/21(土) 20:26:53 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
その後、陽は病室へとうつされた。
手術後、初めて見る兄の顔に、
ことりは驚きを隠せない。
「ッ・・・・」
無意識にことりは涙を流していた。
今までに感じたことのない後悔と罪悪感が押し寄せてくる。
ずっと陽は自分と仲良くしようとしてくれていたのに、
自分は母親に気に入られている陽に嫉妬して、
冷たく接していた、
もしかして、こうなってしまったのは
自分のせいかもしれない。
ことりはそう感じた。
41
:
いちご
:2012/04/22(日) 13:31:56 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「お兄ちゃん」
死んだように眠っている兄に声をかける。
「起きてよ・・・」
ピクリともしない兄。
失って、初めて大切だと気づいた。
「ごめんなさい・・・」
溢れだした涙は、止まることを知らないように流れ続け
ポロポロと落ちては、床を濡らしていく。
母親もつられて泣いた。
42
:
いちご
:2012/04/25(水) 15:25:30 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「ことり・・・」
涙声で、ことりの名前を呼ぶ。
彼女は母親に視線を向けた。
「ッ、ごめんね・・・。お母さんが悪いわね」
陽が一番家族関係を気にしていた。
悩みを相談せず、一人で抱え込んでいた。
昔、陽からことりを大事にしてあげてと
頼まれたこともあった。
43
:
いちご
:2012/04/25(水) 17:29:38 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「今までことりのことを、気にしてあげられてなかった。
陽くんは、きっと、ことりを大事にしてあげてって
言いたかったのね」
ごめん、ごめんね。
母親はことりのことを力強く抱きしめた。
「お母さんがしっかりしないから、
陽くんは自分を犠牲にしてまで
気づかせてくれたのかもしれないわ」
ポツリと母親が呟いた言葉が
ことりの胸に深く突き刺さった。
44
:
白鳥夕
:2012/04/26(木) 13:06:10 HOST:248.237.accsnet.ne.jp
ウウぅ〜泣けるよ〜 陽くんて名前好き♡ あわわ……自己紹介が遅れました。私は白鳥夕です。いちごさん受験生なのに頑張って書いてくれて嬉しいですなぁ〜。これからも応援してます。小説も勉強もファイトです。←初対面なのに失礼言ってすみませんですm(__)m
45
:
いちご
:2012/04/26(木) 18:28:39 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
<白鳥夕s
感想ありがとうございます!!受験は終わりましたよ(^O^)
全然更新していなかったので、これからたくさん書いていきたいと思います!
よかったらこれからも読んでくださいね。
46
:
いちご
:2012/04/26(木) 18:30:04 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
眠っている陽の表情は、ことりと母親を見て
微笑んでいるようだった。
「・・・あのぉ、すいませんが
少しお時間よろしいでしょうか」
今まで黙っていた芸能関係者が口を開く。
ことりと母親は涙を拭って、視線を向ける。
「ここではなんですから、待合室に移動しませんか?」
「分かりました。じゃあことりはここで・・・」
「いえ、お嬢さんも一緒に」
「え?」
まさか自分まで呼ばれると思っていなかったらしく、
ことりは驚いて声をあげる。
47
:
麻琴
:2012/04/27(金) 01:08:42 HOST:hprm-57422.enjoy.ne.jp
こんにちは!
な〜んかヤバイ展開になってきた!!
ドキドキです。
48
:
燐
:2012/04/28(土) 13:14:19 HOST:zaq7a66fe3c.zaq.ne.jp
いちご>>見たなう。
もう一つの小説の更新を待ち遠しくて待ってるねんけど…。
まだなんすか?
49
:
聖奈
:2012/04/28(土) 13:16:17 HOST:p248.net220148011.tnc.ne.jp
入れて下さい
『聖奈』です
50
:
白鳥夕
:2012/04/29(日) 10:22:02 HOST:248.237.accsnet.ne.jp
桜彼方どこまでも (続)↓
世界一小さな海が有名な市街地。
この南海市で特に有名な南海大高校。いかにも大層な名前である。このお話の主人公が学校に通っている??まさか,まさか。その次に有名な海生学園高等学校に通っている。どちらとも“海”という字が入っていることには理由がある。南海大高校は2つの高校は海をはさんでいる。南海大高校は北側で海生高等学校は南側にある。同じ市内なのだからそれほど海は大きくはない。その海生高等学校には今日も通い,いつもの帰り道ルートを歩いていた主人公反町一生輝の姿があった。風邪やインフルエンザなど大きな怪我もしたことない健康な体だから休み無く通っている。そんな,日,日常を過ごしている彼にとってはそうとう苦疲で。
「少しも絶えまないよな,日常,て」 ついくせでつぶやいてしまうこの言葉。でも,特に深い意味はなかった。そんな反町の横を小さな男の子が通り過ぎる寸前だった。
ランドセルを背負っていそうな年代の小学生サイズの男の子がわざわざ立ち止まり言返してくれた。それも距離の離れたところで。 「何意味不明なこと語っちゃっているのですか?」
両者同時に振り向く。その小学生サイズのようなというのはただの推測だった。通りかかったのは海生学生の反町が通っている学校の海生学園の男子生徒だった。
51
:
白鳥夕
:2012/04/29(日) 10:25:12 HOST:248.237.accsnet.ne.jp
失礼しました(泣)間違えていちごさんのところに送ってしまいました…本当にごめんなさい
52
:
いちご
:2012/04/29(日) 11:54:17 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
<麻琴s
そうっすね・・・タイトルに男装って書いてるのに
全然出てこないですもんね(;´Д`)
<燐
いくらなんでも放置しすぎだった!すいませんm(_ _)m
続き書いときます!!
<聖奈s
どーぞどーぞ!(*^_^*)入ってくださいな!!ww
<白鳥夕s
大丈夫ですよ!
私も間違いそうになったことありますからww
53
:
聖奈
:2012/04/29(日) 14:11:43 HOST:p228.net220216007.tnc.ne.jp
じゃ、遠慮なく
お邪魔します
54
:
いちご
:2012/05/04(金) 09:43:28 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
二人は待合室に移動し、言われるがままソファーに座る。
するとスーツを着た関係者が3人部屋に入ってきた。
「私、「スカイ」のマネージャーの木村と申します。」
ス、と名刺を差し出してきた。
母親はそれをうけとり、目を通す。
「陽さんがこんな状況になってしまった直後で、
非常に言いにくいのですが・・・。」
言葉を濁らせて、木村は続ける。
「明日、歌番組の収録があるんです。
近々コンサートもあります。メンバーの中でも人気の高い、陽さんが
抜けての活動は、事務所的にもグループ的にも非常に厳しいんです。」
「え、ええ・・・。」
「たしか、お嬢さん・・・ことりさんは、陽さんとは双子ですよね?
非常に顔が似ていますし・・・。」
「そうですけど・・・。」
木村が何を言いたいのかわからず、母親は不安そうな表情を見せる。
「陽さんの代わりにグループに入っていただけないでしょうか。」
「・・・え?」
55
:
いちご
:2012/05/04(金) 09:53:19 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「陽さんの意識が戻るまでで結構です。
今、「スカイ」は伸び続けていますし、先ほども言った通り、
陽さん抜きの活動は厳しい。ですが、双子のことりさんが陽さんになり
活動してくれれば事務所的にも助かります。もちろん、ギャラは払います。
お願いします!!!」
関係者全員が頭を下げてきた。
母親は戸惑いを隠せない様子で、ことりを見た。
「・・・どうするの?ことり。」
「え?」
「ことりの判断に任せるわ。」
自分で決めなさい、と母親は言った。
「そんなの、無理だよ・・・。」
ことりは力なく答えた。
私がお兄ちゃんの代わりに芸能活動をするなんて、できるわけがない。
お兄ちゃんみたいに歌がうまいわけでもなく、
ダンスも踊れない。
「こちらも全力でフォローします。
よろしくお願いします!!」
さらに深々と頭を下げるマネージャーの木村に、ことりは言葉を詰まらせた。
「陽さんが目を覚ました時に、復帰しやすいようにという意味もあるんです。
あなたの力が必要なんです!」
ことりの頬に、冷や汗が流れた。
陽の為に、自分が身代わりになって芸能活動して、
いったい自分になんの利益になるのか。
56
:
いちご
:2012/05/04(金) 09:57:46 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
助けを求めるように母親を見れば、彼女の顔は真剣な表情へと変わっていた。
「ことり、さっきはお母さん自分で決めなさいといったけれど
陽君の代わりに、お仕事してくれないかしら。」
「え、」
「陽が小学生の時から、必死で努力して手に入れた立場でもあるのよ。
お願いことり・・・陽君の目が覚めるまで、頑張ってあげて。」
「さすがお母様!話がわかってらっしゃる!」
木村は嬉しそうな表情を見せる。
「お母様の許可もいただいたし、ことりちゃん、どうかな?」
「私は・・・。」
さっき、母親は自分の事も気にかけてくれると言って
謝ったばかりなのに、もう陽の事しか見ていない。
「絶対に、代わりになんてならない!」
「ことり・・・。」
「お兄ちゃんが努力して手に入れた立場を、簡単に私に渡してもいいわけ!?
それで本当にお兄ちゃんの為になるの!?それに、さっきも言ったけど
ダンスもできないし歌も歌えないからできるわけないじゃない!」
57
:
いちご
:2012/05/04(金) 10:02:56 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「何を言っているんですか?」
木村は不思議そうな表情を見せた。
「陽さんの為にならなくてもいいんだよ、ことりちゃん。
事務所の為に頑張ってほしいんだ。」
「ことり、アンタどうせ部活も何も入ってないでしょう?
陽君の為に、頑張りなさい。」
マネージャーは事務所の利益しか考えていない。
母親は陽の事しか考えていない。
そんな二人に言い返す気力もなく、ことりはその場に座り込んだ。
58
:
いちご
:2012/05/04(金) 15:08:50 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「では、ことりちゃんが代わりになる、という方向で
話を進めてもよろしいですか?」
「ええ、是非。」
ことりを無視して木村と母親の話が進んでいく。
無気力になり、ため息をひとつつくと
ことりはちらりと時計を見た。午前3時。
真夜中だというのに、不思議と眠くはない。
「明日の朝9時から収録が始まるのですが、
学校の方は大丈夫ですか?
できればこのことは内密にしておきたいんですが・・・。」
「ええ、大丈夫です。
私の方から連絡をしておきます。」
さっき、少しだけ母親を許したことを後悔した。
やっぱり、嫌いだと実感する。
59
:
いちご
:2012/05/04(金) 15:11:20 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「じゃあことりちゃん、明日の7時に家まで迎えにいくから
よろしくね。」
「・・・。」
返事をせず、睨むような視線を向けていると木村は苦笑して
他の関係者たちと待合室を出ていく。
残された母親とことりの間に、沈黙が流れた。
「ごめんねことり。
陽君がこんな状態になった今、協力してね。」
じゃあ、お母さん陽君の病室に行くから。
そう言い残して、待合室を出て行った。
「――――結局は、みんなお兄ちゃんなんじゃない。」
ぽつりとつぶやいた言葉は、
誰にも聞かれることはなかった。
60
:
いちご
:2012/05/04(金) 15:35:02 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
゜。+戸惑いと収録+。゜
明け方、ことりは母親に送られて家に帰った。
今日は学校を休めと言われ、渋々私服に着替える。
母親はことりに頑張ってね、とだけ告げると仕事を休んで
再び病院へと向かった。
ぽつんと一人家に残されたことりは、
ソファーに座りぼうっとしていた。
ピンポーン、
インターフォンの音が聞こえ、心臓がドキリと鳴った。
時計を見れば7時。時間だ。
躊躇いがちに玄関に向かい、がちゃりとドアを開ければ
マネージャーの木村と、大きな袋を持った女性が立っていた。
「おはよう、ことりちゃん。」
「・・・おはようございます。」
木村と女性はズカズカと家に押し入り、リビングのテーブルに
袋の中身を出し始める。
そこには、男物の服や陽の髪形に良く似たウィッグ。
さらには化粧品やさらしまで入っていた。
ビックリして目を見開けば木村は笑顔で口を開く。
「今から陽君になってもらうからね。」
どうやら、数時間前の出来事は夢ではなかったらしい。
ことりは今になって実感した。
61
:
いちご
:2012/05/04(金) 15:42:04 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
拒否する間もないまま、
服を脱がされ胸にぐるぐるとさらしを巻かれる。
男物の服を着せられると、
女性に椅子に座らされメイクが始まった。
(もう、こうなったらやるしかない.…)
ことりの心には、諦めしかなかった。
断ることも、拒否することもできないなら、やるしかない。
本当は嫌だけれど、少しだけ陽への罪悪感がある為に
やってもいいかな、という軽い気持ちがあった。
62
:
いちご
:2012/05/04(金) 15:50:14 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
30分後、
仕上げにウィッグをかぶったことりは、
完璧な陽へと変身を遂げた。
「・・・わあ、」
あまりにそっくりな為に、木村は驚きの声をあげる。
表情は陽とは比べて固いものの、誰も双子の妹なんて気づかないだろう。
「すごいよことりちゃん!」
ことりは ほら、 とマネージャーから
渡された鏡に自分をうつし、硬直した。
「え・・・、嘘。」
「これなら絶対にバレない。イケるよことりちゃん。」
「・・・。」
ことりは、木村に不安そうな表情を向けたが、
彼は何食わぬ顔で時計を見る。
63
:
いちご
:2012/05/04(金) 15:59:28 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「そろそろ行こう。間に合わなくなる。」
「ちょ、ちょっと待ってください!
私、やっぱり無理です!収録って、歌番組のでしょ!?
歌も知らないし、ダンスもできないから、絶対、できない・・・。」
「大丈夫だって。歌は音楽が流れてるから、口パクでどうにかなるし
ダンスはリハーサルの時に覚えてくれれば…」
「り、リハーサルって...。」
「一時間もあれば、大体は覚えるよ。」
「ええ!?」
無茶ばかりいう木村に驚きを隠せない。
いいからいいから、と背中を押されて、ことりは家を出ると
車に乗せられた。
64
:
いちご
:2012/05/04(金) 16:05:07 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
(なんでこんなことになったんだろう...。)
「ハァ...。」
ため息をつけば、木村は今日のスケジュールについて話始めた。
「今日は、9時から一時間リハーサル。
10時から番組の収録がある。12時からは雑誌の撮影。
色々わからないことがあったら、俺に聞いてくれればいいよ。」
「・・・はあ。」
絶対無理だと、ことりは思った。
65
:
いちご
:2012/05/04(金) 16:09:53 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「ついたよ」
「・・・」
テレビ局前につき、ことりは目を見開いた。
今までに感じたことのない緊張感が走る。
マネージャーは駐車場に車を止めると、
後部座席のドアを開けてことりに出るように指示する。
「一人称は俺。あとは、適当に話を合わせてくれてればいいから。」
「・・・そんな簡単に、行くはずないですよ。」
「大丈夫大丈夫。俺もフォローするから。」
不安で仕方がない。
66
:
いちご
:2012/05/04(金) 16:41:14 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
ことりは車から降りると、木村についていく。
メイクを担当してくれた女性とは入り口で別れた。
ぺこりを小さく頭を下げれば、女性は笑顔で手を振ってくれる。
「おはようございます!」
テレビ局に入った直後、自分に向けて挨拶をしてくる
黒いスーツの関係者達。
「お、おはようございます」
ことりは引き攣った笑顔で挨拶してしまった。
(なんなのよここ…)
大勢の大人たちに囲まれているだけで緊張するというのに、
こんな場所でカメラの前で収録なんてできるわけがない。
無意識に自身が震えているのを感じた。
67
:
いちご
:2012/05/04(金) 17:16:43 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「陽さん、こちらです」
「・・・」
「陽さん?」
「あ、ハイ!」
木村に呼ばれて、はっと顔を上げる。
そうだ。自分は今、陽だった。
『ことりちゃん、しっかりして。』
小声で木村にそう言われ、
ことりは曖昧に頷いた。
68
:
いちご
:2012/05/04(金) 17:20:45 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
そのまま楽屋へと案内される。
ドキドキドキ、
だんだんと鼓動が早くなってくる。
「じゃあ、陽さん。
リハーサル前になりましたら呼びに行きますんで」
木村はさわやかな笑顔を向ける。
「え!?木村さんは?」
「俺はほかに仕事があるから。
大丈夫、陽さんになりすまして、余計なことを話さなければどうにかなるよ。
じゃ、頑張ってねことりちゃん。」
あまりにも無責任だと思った。
ことりは泣きそうになるのを堪える。
背中を向けて歩いていってしまう木村をキッと睨みながら
どうしよう、と楽屋の前で悩む。
69
:
いちご
:2012/05/04(金) 20:23:45 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
しばらくその場で悩んでいると、
突然肩にポンと手を置かれた。
「ひいっ!」
「何突っ立ってんだよ、しかもなんだその悲鳴」
驚きすぎだろ!と声をだして笑う人物に
目を向けて、ことりは固まった。
「あ、あっ!」
今、自分の目の前にいるのは、
陽と同じグループの雪平 南。
芸能人が、アイドルが目の前にいる。
それだけでどうすればいいのかわからなくなり、
ことりは意味不明な声をあげてしまった。
70
:
いちご
:2012/05/04(金) 20:26:22 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
クラスの女子のほとんどが「スカイ」のファンなのだ。
それに、陽が時々話す内容の中にも
彼の名前はたびたびでてきた。
テレビでも何度か見たことがある。
「?とりあえず中に入ろうぜ!」
南はドアを開き、ことりの背中を押して
無理やり楽屋に押し入れた。
71
:
いちご
:2012/05/04(金) 20:28:28 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「ちょっ、」
「おっはよー!」
元気よく挨拶する南に対し、
ことりは驚きのあまり声を出せなかった。
目の前には、テレビでしか見たことのない
「スカイ」のメンバーが揃っている。
「っ〜!」
ああ、もう、どうしよう。
ことりはパニックに陥っていた。
72
:
いちご
:2012/05/04(金) 20:34:50 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「・・・陽くん、大丈夫?」
冷たい表情をした 奥村 楓 が話しかけてくる。
言葉は心配しているのに、声音は低く、少し怖かった。
テレビで見たことのある楓は子供らしい笑顔で、
愛嬌があった。
カッコイイより、可愛いが似合う男の子だったはず。
なのに、目の前にいる彼は 違う。
ことりは驚き、こくこくと頷く事だけで精一杯だった。
73
:
いちご
:2012/05/05(土) 09:08:30 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「陽くん、センターなんだからしっかりしなよ。」
楓が無表情で言ってきた。
どうやら彼は、陽の事をあまり良く思っていないらしい。
「う、うん。」
「すぐに僕が、抜くけどね。」
「え?」
「・・・ハァ、楓。いい加減にしろ。」
佐野 郁美が呆れたように言う。
「陽も気にするなよ。」
「……」
ぽんぽん、と自分の肩をたたいて
安心させようとしてくれる郁美は自分の味方らしい。
74
:
いちご
:2012/05/05(土) 09:12:56 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
(・・・なんなの、この雰囲気。)
てっきり、メンバー同士仲がいいと思っていたのに
そうでもないみたいだ。
コンコン、
楽屋にノックが響いた。
がちゃり、
そしてドアが開く。
「もうすぐリハーサルですんで、スタンバイお願いしまーす。」
「「はい」」
刹那、メンバーの目が変わった気がした。
75
:
いちご
:2012/05/05(土) 09:14:54 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
関係者の人から衣装を受け取り、
全員が素早く着替え始める。
「え、ちょっ///」
目の前で着替え始める彼等に慌てて背を向ける。
「何してんだよー、陽。」
南が お前も早く用意しろよ と言い衣装を投げつけてくる。
それを受け取り、「と、トイレ行ってくる!」と言い
慌てて楽屋を出て行った。
76
:
いちご
:2012/05/05(土) 09:18:56 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
近くのトイレに駆け込むと、
煩いくらいにバクバクと鳴っている心臓を
必死で落ち着かせようと深呼吸する。
(どうしよう...。)
手に握る衣装を見て、悩む。
できることならこのまま逃げてしまいたい。
どうしてはっきり無理だと言って断らなかったのだろう。
「っ...。」
ことりは、しゃがみこんだ。
77
:
いちご
:2012/05/05(土) 09:20:44 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
キィ、
扉の開く音がして、ことりは視線を向ける。
「っ...え!?き、キャアアー!」
「!?」
突然入ってきた女性に、悲鳴をあげられてしまう。
なんで自分を見て悲鳴をあげるのだろう。
ことりは不思議そうな表情をして立ち上がり、あたりを見回すが
何も驚くような対象はない。
78
:
いちご
:2012/05/05(土) 09:23:02 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「なっ、なんで女子トイレにいるのよ!!」
「あ!」
トイレの鏡にうつる自分を見て、ハッと気づいた。
そういえば、今は陽の姿だった。
「ご、ごめんなさい!間違えて...。」
「どこをどうすれば間違えるのよ変態!
スカイの陽が変態だったなんて...」
79
:
いちご
:2012/05/05(土) 09:27:45 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
(...もう、やるしかないのかな。)
どうせ誰も、陽の双子の
妹のことりだなんて知るはずがない。
もし失敗したとしても、
それは陽が失敗したことになる。
そう思うと、不思議と気持ちが軽くなった。
80
:
いちご
:2012/05/05(土) 09:31:10 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
素早く衣装に着替えると、男子トイレから出た。
楽屋に戻るとそこにはすでに
準備が整っているメンバーが居た。
「おせーんだよ陽。」
南が呆れたような表情で話しかけてくる。
「うん、ごめん。」
「じゃあ、行くか。」
郁美が静かに言った。
それに頷き、全員が収録場へ向かう。
81
:
いちご
:2012/05/05(土) 10:10:24 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「・・・・」
「?」
そういえば、メンバー内でも最年長の
橋本柚希とは一言も話していないな
と思い視線を向ければ、ぱちりと目があった。
気まずくなりばっと視線を外す。
(び、ビックリした...。)
収録場につくと、テレビでしか見たことがない
セットが並んでいる。
少し緊張が落ち着いたというのに、
また鼓動が早くなってきた。
「じゃあ、最終確認をします。」
聞きなれた声に、ことりはばっと顔をあげた。
目の前にはスカイのマネージャーの木村が、
台本を持って立っている。
「き、木村さん...。」
不安そうな声をあげれば、木村は笑う。
「どうしたんですか、陽さん。」
82
:
いちご
:2012/05/05(土) 13:59:26 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「ッ、...やっぱり、無「陽さんは、ここに座ってくださいね。」
「え!」
言葉を遮られて、台本を見せられた。
やはり人気というだけあり、ど真ん中の席だ。
「本番は、司会者とトークをして
終わったらスカイはすぐにステージに移動。
歌うのは最初だから、宜しくお願いしますよ」
ことりは沈んだ顔をしていた。
「陽、今日可笑しくないか?」
「さ、佐野さん...。」
「佐野さん?お前、いつも俺の事名前で呼んでただろう?」
「あ、あー...そうだった!大丈夫だよ、郁美。」
引き攣った笑顔を向ければ、郁美は訝しげな表情を浮かべた。
「そんな笑顔じゃ、テレビに出れないよ。」
呆れたような表情を見せる楓に、 ゴメン と謝るとため息をつかれた。
83
:
いちご
:2012/05/05(土) 17:18:14 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「リハーサルまで10秒前〜、9、8、7、」
言われた席に、ドキドキしながら座った。
目の前には大量の機材。
自分を映しているんだと考えると、自然と手が震えた。
(...陽、)
その震えに気づいていたのは、隣に座った郁美だった。
今日の陽は可笑しい。
同じグループのメンバーとして、
できるかぎりフォローしようと決める。
84
:
いちご
:2012/05/05(土) 17:20:28 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「3、2、1、スタート!」
「っ...。」
自然と顔が強張った。
自分は陽なんだ、大丈夫。と何度も言い聞かせるが、
震えは止まってくれない。
「今日のゲストは、今人気急上昇中のスカイです!」
司会者がそういうと、
リハーサルから見ている観覧客がわー!と盛り上がる。
85
:
いちご
:2012/05/05(土) 17:28:19 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「今日、新曲のCDの発売日なんですよね?」
司会者は問いかける。視線は陽に向いていた。
「ッ…、」
いきなり振られて驚いたのか、ことりはどうすることもできなかった。
すかさず郁美がマイクを持ち、口を開く。
「そうなんです。スカイの二枚目のシングルCDなんですよ。」
陽の異常に気付いた司会者は、一瞬不思議そうな顔をしたものの、
そこには触れずに郁美に視線を向けて質問を繰り出す。
「どういった曲になっているんですか?」
「アップテンポで、聞きやすくなってます。
曲も覚えやすいんで、よかったら買ってくださいね。」
郁美はクールな表情を崩さず、綺麗に笑った。
すると観覧客から、 キャー! という歓声が上がる。
86
:
いちご
:2012/05/05(土) 18:21:05 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「では、その新曲を今日、テレビで初公開ということで
スカイのみなさんスタンバイお願いします!」
「はい。」
「よろしくお願いします。」
メンバーは立ち上がり、ステージへと移動する。
郁美はことりの震えている手を掴み、立ち上がらせた。
「え!?郁美君と陽君が手つないでるー!」
「キャアアー!可愛いー!」
「い、郁美っ...。」
「しっかりしろ、陽。」
87
:
いちご
:2012/05/05(土) 18:29:02 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「う、うん...。」
トークは郁のフォローでどうにかなったものの、
歌とダンスはどうしようもない。
隅で自分達を見ている木村に視線を向ければ、
他人事のように手を振られた。
初めの立ち位置はどこなのか、
どういった曲なのか、
どういうダンスを踊るのか。
全くわからないまま、ことりはステージに立つ。
88
:
いちご
:2012/05/06(日) 08:48:07 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「陽はここだろ。」
初めはメンバー全員が、横一列に並んだ。
スポットライトが当たる。
柚希、楓、陽、郁美、南という順だった。
(お兄ちゃんは、いつもこんな緊張する中で頑張ってたんだ…)
陽は、真ん中で一番目立つ位置にいるのに
いつも自信満々に踊っていた。輝いていた。
89
:
いちご
:2012/05/06(日) 08:52:53 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
(私は…)
やっぱり、兄の代わりにはなれない。
「陽。」
「...?」
今まで一言も話さなかった柚希が、口を開く。
「いい加減にしろ。」
ズキリ、
胸に、重い言葉が突き刺さった。
どうして自分がこんな目に合わなければいけないんだろう。
無理やりステージに立たされて、
何もわからないのは当たり前の事なのに。
緊張を忘れ、ことりの頭には血が上った。
90
:
いちご
:2012/05/06(日) 08:55:33 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
――もう、限界だ。
「いい加減にするのは、そっちだろ!」
収録場に、ことりの声が響く。
刹那、シンと静まりかえった。
木村は焦ったように目を見開き、慌てて駆け寄る。
「よ、陽さん!ストップ!」
「元はと言えばアンタがっ...。」
キッ、とことりは木村に視線を向けた。
91
:
いちご
:2012/05/06(日) 16:46:08 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
ことりがステージを降り、
木村の前に向かおうとした時だった。
ぐい、
腕を引かれ、引き留められる。
「郁美...。」
「っ、いい加減にするのはお前だ。」
パァン!
乾いた音が響き、頬に痛みが走った。
92
:
いちご
:2012/05/08(火) 18:39:42 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
どうして自分が叩かれたのかわからなかった。
「……」
ぽかんとした表情で郁美を見る。
郁美は睨むような視線を向けると
自分の立ち位置についた。
「すいませんでした。」
そして頭を深く下げる。
観覧客も何が起こったのか理解できず、
茫然としていた。
93
:
いちご
:2012/05/15(火) 19:01:19 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「あー、もう本番まであまり時間がない!
もういい!中止だ!」
監督に言われ、スカイのメンバー全員の表情が歪んだ。
「時間がおちてる。このまま本番に入るぞ!
全員位置について!!」
「「はい」」
メンバー全員が先ほどトークをした位置へと戻っていく。
94
:
いちご
:2012/05/15(火) 19:02:39 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「こと...よ、陽さん!」
木村が叫ぶ。ことりは力なく振り向いた。
「すまない...。」
謝罪が、ずしりと心に伸し掛かる。
木村は、陽の双子の妹の自分に
少なからず期待していたのだろう。
陽の妹だから、期待していた。
「っ...。」
瞳に涙が溜まる。
95
:
いちご
:2012/05/18(金) 19:26:39 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
(私が皆に期待されないのは、お兄ちゃんのせいじゃない...
全部、私が悪かったんだ。)
自分から変わろうとせず、全部を周囲のせいにした。
兄の優しさを素直に受け入れず、傷つけていた。
「っ...。」
ことりは、ぐっと拳をつくった。
(...っ、やってやる。)
私は、何もできないわけじゃないってこと
証明させてやる。
私は、陽じゃない。森山ことりなんだ。
先ほどとは変わった、しっかりとした足取りで
自分の位置へと戻っていった。
そんな陽を郁美はちらりと見て、ふ、と口元を緩めた。
96
:
いちご
:2012/05/18(金) 19:50:14 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
そして、本番が始まる。
何台ものカメラが自分の方に向く。
受け取ったマイクを強く握りしめた。
「今日のゲストは、スカイのみなさんでーす。」
「よろしくおねがいしまーす。」
「よろしくお願いします。」
ことりは作り笑いを張り付けて、挨拶をする。
97
:
いちご
:2012/05/19(土) 22:46:06 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「今日は、新曲のCDの発売日なんですよね?」
司会者は気を使い、郁美へと視線を向けた。
郁美はリハーサルの時と同じように答えようと
マイクを口元に近づけた時だった。
「はい、そうなんです!」
しかし、答えたのは郁美では無かった。
ことりは頬を少し赤く染めながら、元気よく答える。
98
:
いちご
:2012/05/20(日) 09:24:48 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「え、陽...?」
いつもの陽の雰囲気と違うと感じたメンバーは、
ぎょっとして彼を見る。
「どういった曲になってるんですか?」
「俺は、うまくは説明できないんですけど...
凄く良い曲になってるんで、みなさん、是非買ってください!」
曖昧すぎる返答に、司会者は思わず苦笑する。
しかし、いつもと違った陽が見れて興奮しているのか
観覧客は歓声をあげる。
99
:
いちご
:2012/05/20(日) 14:42:45 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「陽さん、いつもと違いますね。」
「少し緊張しちゃって...。」
あはは、とから笑いを見せるとさらに歓声が大きくなった。
「では、今日テレビ初披露ということで、
新曲を聞かせてもらいましょう!みなさん、宜しくお願いします。」
「「お願いします」」
トークは何とか終わり、ステージに移動する。
全員が立ち位置についたとき、陽はごくりと喉をならした。
(大丈夫、いける。)
自分に言い聞かせ、深呼吸をすると真剣な表情へと変わった。
100
:
いちご
:2012/05/20(日) 14:43:04 HOST:ntiwte061076.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
はい!100いきました!
更新遅いですね…ハイ。
特にもう一つのスレのほうが…
放置です…ハイ←反省してます、マジで
多分そのうち書くんで、ヨロシクお願いします(-_-;)
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