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Precious life
39
:
志摩 雛菊
◆h28m2qQSeY
:2011/09/14(水) 21:55:28 HOST:PPPbm6194.kanagawa-ip.dti.ne.jp
「知ってる知ってる。
そっちは暇な時見てるから。」
「そっちって…?」
ギンがさらっと言った言葉がひっかかる。
「下界。」
聞いた私を不思議そうな顔で見てからしれっとギンが答える。
そして思い出したようにまた話し始める。
「…あー、ここがどこだかってことから説明しなくちゃいけねーのか。
ここはお前がいるのとはちょっと違うところなんだよ。
お前に分かりやすく言うとすると……うぅーん……。」
「天界だ。」
ギンが説明に困っていると後ろから急に人が現れて補足する。
その人は赤くて長くてサラサラしている髪に、傷があり常に目をつむっているような状態の痛々しい右目、
少しだけ迷彩柄が入っているかっこいい服をきていた。
顔立ちも整っていてきれいな人だなぁと思った。
「私たちはお前がいた世界を「下界」と呼んでいる。
私はリノ。よろしく。」
「よろしくお願いします…。」
「おぉー、さすが下界の先輩!」
リノという人が説明し終わるとギンが面白半分に拍手する。
「え、下界の先輩?」
「そ。どうやってかは分からないけどリノも下界、つまり葵と同じ世界から来たの。
ちなみにリノは本名じゃなくて偽名。」
こっちの説明はギンがペラペラと話す。
少しだけ本名が気になったけれど聞いても分からないだろうと思いあきらめる。
あきらめたと同時に別の聞きたいことが思いつく。
「……あの、リノさん…。」
「なんだ?」
「ここにきてから大体どのくらいになるんですか…?」
「大体…10年くらいだろうか。」
「10…年…。」
あまりの長さに呆然とする。
10年経ってもこんな荒れ地にいるのだろうか。
「葵、俺らには敬語使わなくていいから!
気軽に友達感覚で行こう!」
呆然としたままの私の背中を押してギンが言う。
リノも軽く微笑みながらうなずく。
「うん…。」
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