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光と闇・陰と陽

6悠杏:2011/08/03(水) 17:07:06 HOST:p4056-ipbf2403sapodori.hokkaido.ocn.ne.jp

第一話 「兄(光)と弟(闇)」

―――時を遡ること十三年。当時のセルデイト王国は今ほど安定しておらず、いつ他国に攻め入られても可笑しくない状況にあった。
もちろん、その頂点たる王はなんとかこの状態を打破しようと頭を悩ませ、解決策を探していた。

『王妃が双子の男児を授かった』という願ってもない事を家臣から知らされたのは、その時である。

知らせを受けた王・セルディは、胸を躍らせる思いで王妃の元へと急ぐ。やがて辿り着いた部屋…扉を開けた先には、柔らかい表情を浮かべた助産婦と、王妃であり妻・レベイユ。そして、彼女に抱かれている二人の赤子の姿があった。すやすやと寝息を立てる様子がとても愛らしい。先程までの悩みもすっかり消え、“世継ぎが生まれた”ただその事だけがセルディの心を満たしていく。

後に兄は“ルスト”弟は“キルド”と名付けられ、大切に育てられた。

しかしそんな幸せも束の間―――それから三年の月日が流れたある日、室内で仲睦まじく遊ぶ双子を眺めていた世話役の侍女の瞳が、ある異常を捉え見開かれる。彼女はすぐさま王の自室を訪ね、その事を報告した。

「セルディ様、どうか落ち着いてお聞き下さい。実は…」

侍女の言葉を耳に入れた瞬間、王の瞳が見開かれ驚愕の色を映す。

「何だと!?キルドの目が…何も映していない?」

驚くのも無理はない、何故今まで気付けなかったのか…。彼女は、双子の片割れ…弟であるキルドの瞳は何も捉えていない、兄であるルストや周りの人々は愚か自分自身の姿さえも。…つまり盲目だという事実を告げたのだ。


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