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光と闇・陰と陽
14
:
悠杏
◆01Rqo270KI
:2011/08/04(木) 15:00:47 HOST:p4056-ipbf2403sapodori.hokkaido.ocn.ne.jp
第二話 「見知らぬ存在」
正体不明の殺人鬼――一体どのような人物なのだろうか。そんな事を頭に浮かべながら城下を進む一人の少年がいた。美しい銀の髪が特徴的な彼の名はルスト……此処、セルデイト王国の王子だ。
殺人鬼の情報を集める為の調査をする事は既に日課のようなもので、護衛として一人の騎士を連れ今日も変わらず行われていた。
父王の指令とはいえ、何も王子自らが動く必要はなかったのだが、齢十三にして剣術に優れ兵すら圧倒する彼が調査をする事に表立って反対した者はおらず、元々城に篭る性分ではなかったルスト自身も快く了承した結果だった。
しかし、引き受けた理由はそれだけではない。ルストには、殺人鬼とは別に気になる事があったのだ。それは――弟の存在。
名前も知らなければ顔も分からない。はっきりしているのは“確かに存在していた”……という周りから聞かされた事実だけ。
微かに記憶に残っているような気もするが――そこまで考えた時、肩に置かれた手と聞き慣れた声に一気に現実に引き戻された。
「……ルスト様、どうかされましたか?」
「ぁ、ああ、すまないカイル。少し考え事を……」
反射的に振り返ると、城から連れて来た騎士・カイルが心配そうな表情を浮かべてこちらを見ていた。彼の言葉に軽く首を巡らせてみれば、目に映ったのは数分前までと全く変わらない景色。……どうやら考え事をしている内にその場で立ち止まってしまったらしい。数秒の時間を要して状況を理解し、慌てて返事を返した。
「考え事……弟様の事ですね?」
「――ッ」
とっさに笑って誤魔化してしまったからなのか、それとも単に鋭いだけなのか。まるで心を読んだかのような言葉に、思わず息がつまり紡ごうとした言葉が見事に呑み込まれる。彼は幼少時からの護衛役だと父から聞いた事があったが、こういった場面で自覚する事になるとは予想外だった。もちろん以前にも何回か同じような事があったが、今まではもっと……ずっと些細な事。今回は口に出してすらいない事を言い当てられ、驚きも数倍だった。流石にすぐに返答することは叶わなかったが、否定する理由もない為「ご名答、カイルは鋭いな」と答える。途中僅かに見せてしまった哀しげな表情も見逃さなかったようで、戸惑いながらも頭を撫でてくれる優しい手を、翡翠の瞳を細め笑みを浮かべながら受け入れた。
それから数時間程が経過し、美しい橙の光に街が照らされる頃。カイルの提案で休憩をとっていた場所から腰を上げ、「…そろそろ戻ろうか」と城への道を歩き出す。そのまま帰路についていれば巻き込まれずに済んだのだろうが、町のある一角……穏やかな雰囲気を醸し出す他の場所とは全く異なる、奇妙な騒がしさを纏ったその場所が気になり足を止めた。
そしてその方向へと歩き出そうとした瞬間、鼓膜を刺すように響いたのは――人間ものとは思えない程甲高い、女性の叫び声だった。
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