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箱庭少女の紫蝶々

6來霧 奏 ◆ptZpvaYoVY:2011/08/03(水) 18:38:27 HOST:i118-16-154-61.s10.a021.ap.plala.or.jp

 ざわざわとざわめく教室。ガラリ、とドアをあけて私が教室にはいるとあたりはシン、とする。ひそひそと喋ろうとする人や焦ったような表情をする人もいて反応は様々であるが「おはようございます。音羽さん?」と言う嫌みのようなクールっぽい女子の声がきこえ余計にシン、と静まり返る。

 腰まである金髪を揺らし、ツカツカと私の方まで歩いてきて緑色の瞳で私を睨む。ふわりとゆれる制服は私と一緒のもの………。そんな女子は私の大嫌いな婚約者の面影があったりする、羽鳥の実の姉、星条 小鳥(セイジョウ コトリ)は私をみてフンッと鼻で笑うと「お嬢様が良い気味よね。あ、あなた私の弟の婚約者らしいですわね?」と高らかに笑う。

「……別に。婚約者なんて名前だけですし婚約する気も一切有りませんから御安心を」
「知っていますわよ?私の弟はあなたの母方達に気に入られてるようで」

 小鳥が私に向かって高らかに笑うと、面白くなさそうに低く舌打ちをして無表情になり、淡々とゆっくり途切れずつ喋る

「私はお母様の言いなりになる訳ではありませんし、あなたのことが羽鳥様の次に大嫌いです。………お父様が死んだのは、あなた達、星条家のせいなのですから」
「っ、……ふん、権力と言えどその内私達のものになるでしょうね。……他に言いたいことはあるのかしらね?」

 小鳥はなるべく平静を装い鼻で笑いながら睨みつつ、問いかける。人形のような無表情と冷たい眼差しを送り続ける私。小鳥は一歩後ろへ下がりながら「な、ないのですわね?」と再び問いかけて逃げようとする準備を整えている。ひんやりとした声で「嫌いです。あなたも、羽鳥様も、みんな大っ嫌いで!!何より、あなたとあなたの弟が大っっっ嫌いです!!」で叫ぶ。クラスメイトは唖然とし、小鳥は逃げるようにして自分の席に座る。

 私もゆっくりと席に向かうと、教室に再びざわめきが戻り始めさっきの私達のことなどをひそひそと喋っていたりする。
 カラリ、とドアが開けば担任が立っていてみんな慌てて席につく。
担任は自分勝手にペラペラと喋り、チャイムが鳴ったとほぼ同時に話を終了させた。

 



 ボーっとしていればすでに放課後になっていた。
 サラサラと風が吹き、髪が揺れる。すでに教室には誰にもいなくて、羽鳥様との待ち合わせ時間も三十分以上過ぎているから帰っただろう。自分の席からゆっくりと移動して窓側に近付くと、髪を止めていたリボンがほどけて風で飛ばされる。静かにため息を私はつくと「まあ、いいよね」と一人で呟く。首のチョーカーにふと触れるとケホケホと咳が込み上げてきて、何度も咳き込む。

「そう言えば……包帯代えてない……」

ポツリと呟き、包帯をサラサラと取って行く。窓から見えるグラウンドを見ながら予備で持っている包帯を巻こうとしていた瞬間に再びドアは開く。
振り返ろうか、とも思ったが包帯をしていない。キュッと唇を紡ぎ、相手が誰かは気にしず、ずっとグラウンドを見つめることにしてみた。
数分は無言の間が続く。

「音羽?」
「呼び捨てにしないで下さい」
「あなたは、私のことがお嫌いと聞きましが」
「はい、そうですよ。気付きませんでしたか?私はこの世界であなたが、あなたの家計が大嫌いです」







「………私は、箱庭の少女です。運命は流れるままに決められて、小さな小さな箱庭で行きていく。私に……自由などありません。」






*Next story†第一章 神音家と星条家*


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