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パリンプセスト

24一戒:2011/07/03(日) 13:06:53 HOST:91.179.0.110.ap.yournet.ne.jp
だいいちわ 【解術屋】

「はい、こちら解術屋です」
種々雑多な物で彩られた小部屋内に突如流れ始めた軽快なリズムの着信音が一秒足らずで途切れる。
デスク上に積み重なった書類の頂に鎮座している電話を取ったのは、ビロビロに伸びた寝巻き姿の少年だった。
彼は堂々とデスクに腰掛けて、ペットボトルのお茶を片手に、受話器との対話を繰り返している。
「はい。あー、はい。分かりました、そうですね……。今から伺えるとは思いますが……」
丁寧語には慣れているのか淀みなく答えて、少年は手の中のボトルをペン回しのように回転させた。
「はい。……はい。では30分後に伺いますので」
ガチャリ。相手が受話器を置くのを確認してから少年も受話器を規定の位置に戻す。
彼は気怠げに欠伸を一つすると、目じりに浮かんだ涙を寝巻きの袖で拭った。
少年――解術屋の従業員である彼の名は、功徳林・優河(くどり・ゆうが)
童顔のおかげで幼く見えるが、年の頃は15、6歳であろうか。
整った目鼻立ちは、童顔なことも手伝ってカッコイイというより、愛嬌を感じさせる。
加えてその穢れを知らない少女のような澄んだ瞳が彼の純粋さを表しており、
どこか令嬢のような雰囲気すら漂わせていた。
しかし……そんなプラスのイメージをダブダブビロビロの寝巻きが台無しにしている。
真っ黒な髪も寝癖が酷く、端整な表情も怠そうで、現状彼は寝起き最悪のガキのようであった。


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