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MAGIC MASTER

32竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2011/10/08(土) 13:27:10 HOST:p3161-ipbfp3105osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 ジンに倒され、仰向けに情けなく倒れてるジョーカを見て、キセルの女は溜息をつく。
「まあ、一番最初にやられるとは思ってたけど……人質有効活用しないで負けないでよ」
 リリィは槍を構えながら相手の出方を窺っていた。
 そもそも、相手はキセルを吸ったまま戦おうという素振りを全く見せない。戦う気があるのかと思ってしまうが、リリィが言う前に女が言葉を発する。
「ふー、さてと。じゃあ私達も始めましょうよ」
「……随分とのんびりしてたね。充分吸えた?」
 フッと女は笑みを浮かべて、
「まあね。充分に―――、撒けたわ」
 すると、空気に紛れたと思われた煙が灰色の姿を再び現す。
 その煙は気体の自由な形ではなく、人の形へと変わっていく。煙の人が五人出来上がってしまった。
 その光景にリリィは冷や汗を流して、
「……まさか、今まで何もしなかったのはこのため?」
「そーよ。これの準備に時間が掛かっちゃうから、私は一人では戦わないの」
 煙の人は個性がなく、色も形も大きさも、全てが統一されていた。
 寸胴のようなボディに、180くらいの背、そして、太い腕と脚に、大きな顔。目や鼻や口もない。色鉛筆でただただ灰色を人型に塗っただけのようなものだ。
「これが私の魔法『煙人(スモークパーソン)』。さあ、倒してみなさいな」
 灰色の男は一斉にリリィに襲い掛かる。
 リリィは槍を構え、灰色の人に切りかかるが、刃は無常にも煙を裂いただけで、灰色の人自体にダメージは無い。
(……気体だから意味が無いのか。だったら、私がダメージを受けても大丈夫なんじゃ……?)
 灰色の人がリリィに殴りかかる。
 リリィはダメージは無いだろうと思い、かわさずに、腕に襲い掛かる腕をそのまま受けた。が、
 ぞりぞり、と煙の腕に当たると、身を鋭い刃物で削られたように、痛みが走る。
「……ッ!?」
 リリィは腕を押さえて、灰色の男達から距離を取る。
「アハハハハハ!気体だから、とかって油断した?彼らは攻撃を受けるときは気体に、攻撃するときは身体を気体の刃物に換えるのよ。こーゆーの、煙を有効活用してるのよ」
「……だろーね、デメリットだらけの魔法なんか使わないもんね」
 リリィは深呼吸をする。
 それから、手の中で器用に槍を回す。
 くるくるくるくる、と槍を回しながらリリィは目を閉じ、頃を落ち着かせていた。
「……?」
 キセルの女は眉をひそめ、その光景を眺めていた。
 そして、リリィの槍に僅かに風が渦巻く。
「……貴女、Aランク以上?もしそうなら、二つ名を教えてもらえる?」
「……残念だけど、違うわよ。一人じゃ上手く使えないし」
「だよね」
 リリィが回すたび、渦巻く風が大きくなっていき、槍の風が竜巻を起こしていた。
 女はその光景に絶句し、さらに絶望が彼女を襲う。
 煙の男達が竜巻に吸い込まれるように引き寄せられていった。
「な……!?」
「煙だって気体よ。そりゃ、風に煽られるのも分かるわよね。貴女の口癖で返してあげるわ」
 リリィは跳んで、巨大な竜巻を纏った振り上げる。
「これが、有効活用よ!!」
 そのまま。槍を振り下ろす。
 巨大な竜巻は、キセルの女を叩き潰す。

33竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2011/10/09(日) 02:55:06 HOST:p3161-ipbfp3105osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 コウヤとジークの二人は小手調べ、とでも言うような軽さで刀を交えていた。
 コウヤのは自身の思念魔法(しねんまほう)で生み出した刀、相手のは正真正銘の真剣だ。
 ジークは視界の端に、リリィに敗れたキセルの女を捕らえる。彼女は風圧に圧され、地面にめり込んで動かなくなっている。
 コウヤはフッと笑みを浮かべて、
「いいのかよ」
 言葉にジークは反応する。
 何がだ、と聞き返す前にコウヤが言葉を続ける。
「あの女、名前名乗る前に負けたぞ?」
「……構わんよ。知りたいなら俺が教える」
 そうかい、とコウヤは軽く息を吐く。
 ジークはいつまでも本気を出さないコウヤに苛立ったのか、
「早く本気を出してほしいものだな。それとも、今までが全力などと言わんだろう?」
「まあな。でも、出来るだけ出したくねーんだよなー」
 何故だ、とジークは聞く。
 コウヤは、刀の峰で自分の肩を軽く叩きながら答える。
「まー、あれだ。あまりにも一瞬で倒しちゃうから、かな」
「ほう」
 ジークは眼光を鋭くする。
 淡い光がジークを包み、彼の身体に魔力がみなぎる。
「面白い!そのセリフ、このジークの前でも吐けると言うのか!!」
 眩い光がジークを包む。
 光がはれると、立っていたのは、女だった。
 腰より長めの黒髪に、胸が大きめの侍風の出で立ちの女は、女版ジークと言ったところだった。
 その女をコウヤは見つめて、
「……変化能力(メタモルフォーゼ)か」
「その通り。通常は元の姿の口調になるんだけど、どうやら私は例外みたいなの。どう?貴方に女が斬れるのかしら」
 はー、とコウヤは疲れ果てた溜息を吐く。
 彼は首をある程度鳴らした後、刀の切っ先を女ジークに向ける。
「偽物の女の身体で興奮してんじゃねーぞ、カマ野郎が。要はお前を男と思えばいいだけだ」
「出来るの?今の、私を見て!」
「出来るさ」
 コウヤは笑みを浮かべる。
 女ジークは刀を構えて、走り出す。
「言っておくけど、女のジークは通常より力も、速さも、全てが上なの!アンタがどの程度まで持つか―――」
「ふぅん。じゃあ俺も言っておく」

 次の瞬間、居合いのような速さでコウヤはジークを数箇所斬りつけ、峰でジークを地面に叩きつけていた。

「……ッ!?」
 あまりの速さにジークは自分が何をされたか理解するのに時間が必要だった。
 コウヤは刀を鞘に納めながら、先程の言葉の続きを呟く。
「それがどうした?」


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