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MAGIC MASTER

26竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2011/08/28(日) 13:25:23 HOST:p3161-ipbfp3105osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 『クライシス』の前でカンナとコウヤは『クライシス』内の人間に見送られている。
 ここに寄ったのは休憩のようなもので、帰ってきたわけじゃない。そもそも今二人は旅の真っ最中なのだから。
「やっぱり、行くんだね」
 スィーナは悲しそうな顔をしている。
 きっとカンナとコウヤじゃなくても、こんな顔をしたはずだ。
 彼女は『クライシス』の人間を愛している。家族が去っていくのは、辛いことだ。きっとスィーナだけじゃなく、全員そのはずだ。
「まあな。『光る原石(ホーリーストーン)』を見つけなきゃいけねーし」
「一日程度だったけど、私は楽しかったよ!」
 『ホントすぐだったな』『でも家族が増えて嬉しいよ』などという言葉が聞こえる。
 すると中年の男が、
「まあ今度帰ってくる時は二人の子どもでも見せてくれや」
 カンナは顔を真っ赤にして、
「ち、違う違う!!私とこ、コウヤは…その…そんな関係じゃないもん!ただの友達なんだからっ!!」
 『クライシス』の皆はからかわれてムキになるカンナを見て笑っている。
 カンナは顔を赤くしたまま、頬を膨らませてむすっとしている。
「出来れば、この中から二人ぐらい来てくれたら心強いんだがな。まあ、お前らはこの酒場にいるのが似合ってるぜ」
 コウヤはそう言う。
 休憩がてら彼らに協力を申し出ていたのだが、『ミストスモーク』の奴らに手を貸さないだけでも充分だ。

「その二人は俺達じゃダメか」

 カンナとコウヤの後ろから声が飛んでくる。
 振り返るとそこにいたのはジンとリリィ。
「……ジン、リリィ……」
 ジンはキッとコウヤを睨みつけて、ずかずかとコウヤに近づいて行く。
 彼の目の前で立ち止まるとコウヤの胸倉を掴み、
「喧嘩、だろ?だったら俺も混ぜろよ。だが、俺はお前の下にゃつかねぇぞ」
「そのつもりだ。俺もお前みたいな奴を部下にする気はねぇ」
 リリィは溜息をついて、
「なーんであんな言い方しか出来ないのかしら。安心してカンナちゃん。いざとなったら二人は私が止めるから」
「お前に止められるのか」
 イヴの言葉にリリィは青筋を立てるが、ここは喧嘩しないでおこうと思う。
 深呼吸して、冷静さを取り戻す。
「さて、行くぞ」
「命令すんじゃねーよ」
 コウヤの促しにカンナとリリィも答える。ジンだけはやっぱり反抗的だ。
「また帰ってきてねー!!」
 スィーナは大きく手を振って、四人を見送る。
(あ、コウヤとスィーナさんの関係聞きそびれた…。まあいっか。今度聞けば)
 カンナの中に一つの疑問が残るが、急ぎでもないし、気にしないことにした。
 カンナ達はジンとリリィの二人を加えて、再び旅を始めた。


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