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MAGIC MASTER

22竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2011/08/13(土) 16:20:03 HOST:p3161-ipbfp3105osakakita.osaka.ocn.ne.jp

「へぇー、いっぱい人がいるんだね。コウヤって全員の名前覚えてるの?」
「ん、ああ。まあな」
 カンナとコウヤがそんなことを話していると肩を組みながら酒を呑んでいた男がコウヤに気付く。
「お、コウヤだ。コウヤが帰って来てるぞー!!」
 そう言うとわっと酒場全体が盛り上がり、コウヤに群がる。
 カンナはその様子にきょとんとして、
「コウヤって人気者なんだ…」
 コウヤが群がる人達を鬱陶しそうにしていると、彼の後頭部に空き缶のような物がぶつけられる。
 その光景に場が一気に静まり返り、全員が口を開けて固まる。
 コウヤがふー、と息を吐くと、睨みつけるように刀の柄に手をかけて、
「今物投げた奴出て来い」
 投げた相手が名乗り出る前にコウヤは刀を抜いて物が飛んできたほうへと斬りかかる。
 それが火蓋になったようで酒場で大乱闘が起きる。
 カンナがその光景にあわあわしていると、
「アッハハハー!やっぱアイツが帰ってくると皆元気になるねー!」
 肘くらいの長さの澄んだ青色の髪をした女性が左手を腰に当てて笑いながらやって来た。
 その女性はカンナの方へと視線を向けると、
「貴女、コウヤの旅先の友達?宜しくね、私はスィーナって言うの」
「はあ、カンナです。どうも…」
 スィーナと名乗る女性が手を差し伸べてきたのでカンナは遠慮がちにその手を握る。
 スィーナは笑みを浮かべたまま、乱闘しているコウヤ達を眺める。
「こういうところは初めてかな、カンナちゃん」
「え、あ…はい。というより、こういう場所があるって言うのも初耳で…」
 スィーナはアハハ、と軽く笑い飛ばして、
「知らないのも無理はないよ。魔法使い専用の酒場なんてほとんど無いからね」
 乱闘しているコウヤ達のところで顔が整っている青年が『下品だな。僕が相手だ』とか身体が大きい男が『俺と勝負せんかぁ!』などと叫んでいる。
 ククッ、とスィーナは笑って、
「ここはコウヤの家みたいなもの。コウヤだけじゃなく、私や皆にとっても我が家みたいなものなのさ」
 カンナはスィーナの言葉を聞きながら暴れている皆を見る。
 確かに他人や友達というより、家族的な絆のようなものがあるように見える。
 本気でぶつかりあって、本気で殴り合って、こういう馬鹿馬鹿しいことが家族のように思えた。
 ふと気になったカンナはスィーナに訊ねてみる。
「あの、スィーナさん」
「なんだい?」
「……スィーナとコウヤってどういう関係なんですか?」
 その質問にスィーナがきょとんとする。
 思いも寄らなかった質問らしい。
 スィーナが質問に答えようと口を開いた瞬間、
「オイ、コウヤ!『ジン』がもの凄いスピードでこっちに向かってるぞ!!」
 入り口付近にいた中年の男がそう叫ぶ。
 コウヤは、ああ?と不機嫌な顔を入り口へと向ける。


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