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MAGIC MASTER

15竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2011/07/10(日) 16:04:45 HOST:p3161-ipbfp3105osakakita.osaka.ocn.ne.jp
第5話「雪の国」

「……寒いぃー……」
 カンナは身を縮めて、ぶるぶると震えている。
 現在カンナとコウヤの二人が歩いているのは、一面を雪で覆われた真っ白な道だ。カンナはかなり厚着をしていても寒がっているが、コウヤは相変わらずの格好で全然寒そうにしていないのが不思議である。
「コウヤぁー、ちょっと待ってよー」
 寒さのせいか足取りが遅くなってしまい、先へ先へ行っているコウヤを引きとめようとそう言うが、
「知るか」
 一言でバッサリと切り捨てられた。
 カンナは口を尖らせて、
「大体、何でコウヤはそんな薄着で寒くないの!?おかしいよ、不自然だよ!」
「それも知るか。つーかお前は氷の魔法使うのに何で寒さに弱いんだよ」
 それも知らないもん、とカンナは僅かに頬を膨らませて言う
 『氷の女帝』が聞いて呆れるぜ、とコウヤが溜息をつくと、その名で呼ぶな!と後ろから声が聞こえるが相手にしないことに決めた。
「ねーねー、寒いよー。そのコート貸してー」
「お前俺を凍死させてーのか」
 カンナの無邪気な発現だが、コウヤはコートを合わせて上は二枚しか着ていない。今これをカンナに貸せば、自分が今のカンナ状態へと移転してしまうのだ。
 まあ四、五枚着ても寒い寒いと言っているのだから、コート一枚貸しても差はないだろうと思い、カンナの言葉を無視し続ける。
「無視しないでよー。もー、寒くて歩けないー」
 甘えるように可愛らしくおねだり声を出す、カンナにコウヤは、
「あーあ。お前が文句を言わず歩いていたら街に着いたときに何か奢ってやろうと思ったのにー」
「やっぱコートいらない。頑張る!」
 飯のためなら頑張るという馬鹿でよかった、とコウヤは心の底から感謝する。
 これなら一人だけの方が効率よかったな、とカンナと一緒に行動することを今更ながらに後悔してしまう。

「友達?」
 街につき、コウヤから温かいスープを奢ってもらい、そのスープを飲みながらカンナはコウヤにそう聞き返す。
「……友達っつーか…悪友だな」
 コウヤはカンナの向かい合わせになるように座って、コーヒーをすすりながらそう返す。
 友達いたんだ、というカンナの痛々しい視線にコウヤは大して気にも留めず、
「そいつから久々に連絡があってな。良い話があるから来いって。丁度、近くまで来てたし」
 ふーん、とカンナは適当に相槌を打って、
「その友達ってどんなの?イケメン?美人?かわい子ちゃん?」
 この手の話題によく食いついてくるな、と僅かに顔を引きつらせ、コウヤは相手の質問に答える。
「一言で言うと、変態だ。アイツの趣味は、女には気味悪がられるかもな」
 カンナは首をかしげる。
 ストーカーみたいな奴かな、とか思うが、コウヤはそんな相手と友達にならないだろうと思い、その考えを振り払う。


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