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てんしさまのすむところ-刹那の大空-

17霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2012/02/27(月) 20:00:49 HOST:i121-114-186-133.s04.a001.ap.plala.or.jp
 ルチが、分かりましたね? なんてやや強い口調で言うと、ステッラは凄い勢いで頷いた。早く恐怖から開放されたいとでも言うかのように。逆にネーロはうるせーよなんていう風に悪態をついている。悪態をつくのは構わんが、その前にガタガタと震えるのを何とかしてはいかがだろうか。それだけを言うのも億劫になってきた。

 「おや……返事は、はいかイエス、ですよ?」
 「……それ、結局は選択肢一つしかねぇじゃねぇか」
 「当たり前です。一つしか選択肢を与えてないんですから」

 ナイフを構えていい笑顔を浮べるルチに向かって俺は言う。するとルチは悪びれもせずにそう返してきた。駄目だこりゃ、そう考えてネーロに視線を移せば、汗をダラダラと垂らしながら震えている。だから悪態つくならもっと頑張れって。そんなに震えていたらカッコつかないだろうが。……むしろ笑い話になってしまいそうだ。
 再びルチがネーロを諭し始める。……俺ならとりあえず蹴飛ばして家から追い出してやるんだけどな。いい加減にゆっくりとしたい俺は、可愛そうだとか思う以前に、早く帰れとしか考えていない。我ながら冷たい奴だと思う。でも、ほら。原因はネーロ自身だし自業自得だろ? 俺は悪くない。
 しばらく洗脳のようにルチに諭されたネーロは、やっと観念したかのように、はいと答えた。今にも消えていきそうな声で。それを聞いたルチの雰囲気がやっといつものふわふわしたものに戻って、フォークと果物ナイフをテーブルの上に置いた。ステッラが凄い勢いで俺の影に隠れる。よしよし、怖かったな、と言うと泣き出す始末。まぁ、ステッラは被害者だと思うよ。今回に限っては、さ。

 「やれやれ、様子見のつもりが余計な時間を食っちまった……。さっきは殺すと言ったが安心していいぜ? まだ時じゃねぇからんなことはしない」

 深くため息をついて、ネーロが立ち上がった。軽く埃を払うかのように服を叩いた後、静かに窓のほうへと歩いていく。さっきまでの震えようは何処へ? と問いたくなるぐらいに涼しげな表情だ。僅かにルチが眉を潜めたが、ネーロは気にしていない様子。あんな事があったばかりなのに少しも懲りていないらしい。……流石は悪魔と言ったところだろうか。
 窓から庭に出たネーロはため息をついて空を見上げる。満天の星空。その星空を少し、憎らしげに見つめていた。ただ俺は吹き込む風が異様に冷たく感じて外を見るどころじゃない。もしかすると熱が上がったのかもしれないな……。

 「じゃあ、俺は帰ることにするよ。それじゃあね、気の強いお嬢さんと、欠片の器さん? また会えることを楽しみにしているよ」

 クスリと笑って、ネーロが飛び立った。ステッラより少し大きい程度なのに、飛び方はしっかりとしたものだ。天使と悪魔では翼のつくりにも違いがあるみたいだし、飛び方にも違いがあるのだろうか? その影響で、同じぐらいの年齢に見えても全然しっかりしていたり、していなかったりの違いが出るのかもしれないな……そんな風に考えた。まぁ、まず同じ年齢に見えても都市の取り方の違いとかもあると考えると……。うん、面倒だな。

 「もう来るなー!! ネーロなんて下半身の病気になっちまえなの!! ついでにルチ兄も」
 「なぜ下半身に限定するんだ、お前は」

 足の病気になって歩けなくなったら、いくらなんでも可愛そうだろうに、そう考えてステッラの額にデコピン。あ、でも翼があるなら足がなくても移動できるか。つか、そもそも天使や悪魔に病気という概念があるのかが疑問だ。ステッラの口からそんな言葉が出たということはあるということなのだろうけど……。人間のものとはとてつもなくかけ離れてそうな気がする。……腕を切り落とされたぐらいなら、軽症だと済まされそうな気さえしてくるし。


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