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desiderio -デジデリオ-
5
:
*椿 優奈*
:2011/06/14(火) 16:16:12 HOST:s161.HtokyoFL13.vectant.ne.jp
「やりたいの?」
「うん」
「本気で言ってんの?」
「そうよ」
「辞めたほうがいいよ?」
「そうかしら。
今までユリが色々頑張ってくれた分、今度は私が何とかしなきゃ、と思って。」
今更何を言ってるんだ何がしたいんだという苛立ちは抑えて、
「じゃ、適当に探してみるよ」
と、気持ちとは裏腹に、
滅多に会話すらしない相手に対して私は妙に親切すぎた。
今の彼女にすることなんてないのだろう。
毎日、暇を持て余しているに違いない、だからいいのだ、と思いながら、背後で「ありがとう」という声がするのを耳にするか否かのうちに
私は自分の部屋に入り、ノートPCの電源を入れる。
キャバクラ…か。
金持ちだ、恵まれている、
という他人からの嫉妬の眼に嫌気がさして、
そこからなんとなく思い立って始めたものの、
もう二度と接客業はしたくないと感じさせるくらい、
私はあの業種にはうんざりした。
過去の抹消したい記憶の一つでもある。
そもそもああいった業種で働き始めたことがきっかけで、
当時交際していた束縛が激しかった彼氏は、
激しく私を拒絶したうえに、
もともと酷かったDVがさらに激しくなり、
私の身体にさんざん青アザを刻んだ挙句の果てに、
今や完全に絶交状態になってしまった。
かなり嫉妬深く、
恐ろしいほど私に依存していたその彼氏を失ってから半ば、
鬱状態になっていたところを今の彼氏に救われた。
そんな状態になってからも一年は働き続けたのだが。
この仕事の恋人を選択するか、
客を選択するかの究極の選択、
そして来る客といえば最終的にはゆくゆく性的な私的感情を持ち出す。
多くの大人の男たちが疑似愛愛を求め、
それに騙されたかのように受け答える日々。
想像しただけで気分が悪くなる一方だし、
店に足を運ぶのもしまいには気分が重くなり、
そして最後の最後で私は、
逃げた。
それでも毎回派手で美しいメイクにゴージャスな衣装や
ヘアセットをし、
日常とはかけ離れた逃避行とでもいおう、
この華々しい姿をしている自分をどこか好きなときもあったが、
そんな仕事を、ろくに働いたことさえない、
今となっては特に教養の欠片も持ち合わせてなさそう
といっていいような面構えの姉ができるのだろうかと
想像しただけで身の毛がよだつというか、
少々愉快というか、
とりあえずこれまでここ5年弱何もしてなかった姉の突然の気の迷い
…ではなく、人生の転機だと信じている
―ことに関して安堵感さえ覚えつつも、
立ち上がったPCで私はネットサーフィングを始め、
煙草に火をつける。
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