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未来と過去

69kalro:2011/08/14(日) 13:39:29 HOST:nttkyo204250.tkyo.nt.ngn.ppp.infoweb.ne.jp
やがて村長が神妙な顔をして賊に近づいた。
「・・・君は・・・、自分が何をしてきたか分かってるかね?私達は1年前の事で深い心の傷を負った。そのことを君は理解してるかね?」
「・・・・・・・・・・」
賊は無言だった。たとえ賊が心を改めても・・・帰って来ない人がいる・・・。
「君の罪は許されるものではない。そして消えもしない。私達は君を一生許せないだろう。」
「・・・本当にすまなかった・・・。俺は・・・もう生きていけない。そして・・・いずれ死ぬ。」
そう言った賊の血はいまだに止まっていなかった。顔色も・・・真っ白だった。
「いや・・・君を死なすわけにはいかない。旅人さん。この人の血を止める事はできますか?」
「なっ!?何故だ!?許せないんじゃなかったのか!?」
「だからこそ・・・生きてもらわなきゃ困る。君の罪は死で償えるものではない。生きて、少しでも、ちょっとでも償ってくれ。」
その時もう、玲菜は止血に入っていた。さすがに腕を生やす事は出来ないようだ。
「・・・・・・・・はい・・・。」
「おじさん。これ。」
弥太郎君が賊に布を渡していた。賊は泣いていた。
「うう・・・。本当に・・・申し訳無かった・・・。うう・・・。」
そうだ。許されないけど少しでも償う事はできる。
「・・・・・君達。牢屋に閉じ込めたりして悪かった。そして・・・ありがとう。君達は気づかせてくれた。悪い人ばかりでは無いと・・・。」
俺達は4人で笑いあった。何よりも村を救えたのがうれしかった。
「あの人・・・改心するといいですね。・・・僕達はもう行きます。弥太郎君によろしくお願いします・・・。」
「待ってくれ!何かお礼を!」
「お礼?・・・もう貰いましたよ。ほら。見えるでしょう?」
晋が指指した方向には・・・村人たちの笑顔が。そして・・・弥太郎君の無邪気な笑顔が。
「あれで充分ですよ。・・・ではさよなら。」
俺達はそうして村を後にした。後ろからの村人からの声がよく耳に残った。


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