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剣―TURUGI―

305竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/03/23(金) 22:03:04 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 天草と一緒に帰っている魁斗は、どこか落ち着かないような表情をしていた。
 それもそのはず、天草とはついこの間知り合ったばかりだし、自分に好意を持ってくれているのは分かっているが、何か異様にベタベタしすぎている気がする。
 魁斗は溜息をついて、現在も自分の腕に纏わり付いている天草に声を掛ける。
「……あのさぁ、天草……。もうちょっとだけ離れてくんない?歩き辛くて……」
 その言葉を聞くなり、天草は頬を膨らませて魁斗を見つめる。
 まるで、遊んでくれなかった親にせがむような、子供の目つきに近い。
「いーじゃーん、別にー。私だって若い男の子に甘えたいモンさー。それが女って奴っさねー」
「それは人によると思うけどな。まあ、一応肯定しておこうか?」
 まるで会話の内容も親子のようだった。
 だが、年齢は逆転していて、天草が我侭な子供、魁斗がそれを疲れきっているのか華麗に流す親のように見えた。
 しかし、天草の仕草は若い男の子に甘える、というより兄か弟にくっ付いているようにも見える。
 そう感じたのか、魁斗は天草に問いかける。
「……お前って、兄とか弟とかいたのか?」
「……、うん……。まあ……ね」
 今まで快活な喋り口調だった天草にしては珍しく、何処か不鮮明な言葉が混じった。
 濁すようなごまかすような。そんな言葉を聞いて、魁斗はドキッとするが、天草は続けて口を開いた。
「……弟がね……いたん、だけども……。あの子、高校卒業したら何処かに出て行っちゃって、それ以来音信不通……。生きてるかどうかも分かんないし……」
 珍しく、天草が顔に悲哀の表情を浮かべる。
 魁斗は生まれてからずっと一人っ子で育ったため、兄弟や姉妹がいる感覚は正直分かりかねるとこだが、レナを自分の姉と見立てて考えてみた。
 今の生活で、レナがいきなりいなくなったらどれだけ不安か。どれだけ寂しいか。音信不通の状態で、どれだけ心配か。
(……まあ、そりゃ……いても立ってもいらんねーよな。もしかして、こいつが『十二星徒(じゅうにせいと)』なったのも……?)
 魁斗は考え始める。
 もし、彼女が弟を探す、という理由で『十二星徒(じゅうにせいと)』に入っていたとしたら……。

 ―――彼女は、本当に悪いだけの奴なのか。

 天草はハッとして、ごまかすように慌てた口調で話し始める。
「あ、ごご、ごめんさね!?ち、ちっとばかし暗い話にしちゃったね!あ、そーだ。喉渇いてない?私がコンビニで買ってきてあげるさよ」
 そう言う天草に、魁斗は厚意に甘える事にし、天草に頼む。
 天草は嬉しそうな表情を浮かべ、コンビニへと走っていった。とりあえず、彼女が戻るまでここにいることにした魁斗だが、天草の言っていた『兄弟がいなくなったら』の話を少しだけ思い出してみる。
 そして、自分に置き換えて、考えてみる。
(……兄弟か……。レナが急にいなくなる事はないと思うけど……でも、)
 ―――でも、いつかは―――。
 分かっている。そんな事は分かっている。言われなくても分かっている。
 いつかはレナも、自分の前からいなくなってしまう事は。
 彼女がここに来た理由は、自分の中にある『シャイン』を狙う敵の集団から、自分を守ること。脅威が去ったら、レナも天界に帰ってしまうだろう。
「……なぁーんか……今まで気付かなかっただけに不思議だよなぁ……」
 魁斗は、誰にというわkでもなくただ呟いた。
「俺にとってレナって、こんなにも大切な存在だったんだ」
「おや、君は」
 魁斗の後ろから聞き覚えのある特徴的な声が飛んでくる。
 魁斗が後ろを振り返ると、そこにいたのは以前学校に来ていた、転入する予定の生徒の親である、葛城獅郎だ。
 警戒しながら振り返った魁斗としては、ホッとした気分になる。
「久しぶりだね。誰か待ってるのかい?」
「ええ、ちょっと知り合いを」
 魁斗は葛城の言葉に答える。
 ならちょっといいかな?と葛城は魁斗に訊ねる。
「ちょっとした世間話さ。場所も変えずに、ここで話そうよ」
 葛城は、にっこりと笑みを浮かべてそう言った。


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