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剣―TURUGI―

298竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/03/03(土) 10:04:19 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 学校が終わった後に、魁斗達はハクアの言ったチームで家へと帰宅していった。
 男子と二人きりの状態である藤崎は僅かに頬を赤くして、魁斗と一緒の天草はご機嫌である。だが沢木とハクアの二人と一緒のレナは、相変わらず不機嫌なようだ。
 三人で歩いているにも関わらず、ハクアとも沢木とも話そうとしない。
 それを見かねたハクアが口を開く。
「……アンタまだ怒ってんの?折角カイト君と一緒にしてあげたじゃない」
「そんな事じゃありません」
 レナは少々苛立ったような口調でそう返す。
 ハクアはもしかして、と思いレナに質問をしてみる。
「天草さんと一緒が嫌だったの?」
 レナは僅かに黙り込み、俯いてしまう。
 ありゃ、案外図星?とハクアが思っていると、レナは小さく口を開く。
「……分かっているんです。私は別に、天草さんが仲間になったことを批判しているわけではないのです。……自分に手を差し伸べてくれたカイト様に好意を寄せるのも分かります」
 ただ、とレナは一度言葉を区切る。
「……ただ、分かっているのは彼女が良い人だという事……そんな彼女に嫌悪感を抱く自分が、分からないのです……」
 恐らく、レナは天草を好きになれていないというより、信用できていないといったところだろう。
 初めて会った人間に好意を抱くのは難しい。実のところ、桐生も藤崎もハクアも沢木も、天草を好きになれていないだろうし、心のどこかで信用できていないかもしれない。ただ、魁斗が信用しているから。彼らもつられて信用してしまっているだけかもしれないのだ。
 ハクアは溜息をついて、
「馬鹿ね。そんな事、アンタの大親友である私が気付かないとでも思ってたワケ?」
 ハクアはレナを言い聞かせるように口を開いた。
「だからわざわざアンタと天草さんを一緒にしたんでしょうが。二人じゃ気まずいだろうから、二人の事を本当に信用しているカイト君も一緒にね」
 そういう事を初めから考えて。
 だからこそ、ハクアは天草とレナを一緒にしたのだ。彼女はあくまでもレナの事を考えて、チームを編成していた。
「ま、初めて会った人と仲良く出来るなんて相当の猛者よ。普通の人じゃまず無理だわ。カイト君は単に好かれやすいだけなのよ。敵からも味方からも。良い意味でも悪い意味でも、彼は好かれるのよ」
 レナは未だに俯いている。
 ハクアはそのレナを見て、頭を軽くグーで殴る。
 殴られたレナは頭を押さえて、思わず怒鳴ってしまった。
「な、何をするんですか!?デリカシーゼロですか!?今やっと『私は良い友達を持った』と改めて思っているところだったのに!!」
「いーつまでも辛気臭い顔してんじゃないわよ!こっちまで薄幸になったらどうするの!?」
 その言葉を引き金として、二人はぎゃあぎゃあと言い合いを始めてしまった。
 しかし、どんどんと話の軸がズレて、違う事で文句を言い合っている。
「そんなんだからアンタはたまにカイト君に引かれた目で見られるのよ!」
「な、人の事言えないでしょう!?ハクアだってカイト様に『うわー、何だこの人』みたいな目で見られてますよ!」
「はぁ?この完璧お姉様のハクアちゃんがそんな目で見られるわけないでしょ?」
「言いますけど、貴女は結構抜けてるところが多いですよ!?」
 その言い合いを見ていた沢木が口を開く。
 いつものように、笑みを浮かべて。
「……何だか、二人って姉妹みたいですね」
 その言葉にレナとハクアが言い合いを途端に止める。
「ハクアさんがお姉さんで……レナさんが妹で」
 沢木のその言葉に、ハクアがぷっと笑う。
「そう?そんな事初めて言われたわ」
「そうですね。髪の色も、顔も。全然違いますからね」
 えへへー、と沢木は笑みを浮かべたままだ。
 ハクアは腕を組んで、レナに言う。
「とりあえず『十二星徒(じゅうにせいと)』との戦いが終わったら、天草さんと仲良くさせるプログラムを考えなきゃ」
「大丈夫ですよ。自分で何とかしますから」
 三人は、沢木の家へと向かって歩いていく。


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