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剣―TURUGI―

285竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/01/08(日) 01:26:36 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp
第七十三閃「帰還と訪問」

 魁斗は家の扉を開ける。
 ハクアによると『レナとサワちゃんが憔悴してた』らしいので、帰ったらとりあえず励ましてやらないと。そう考えながら、ドアを開ける。
 すると、何かが飛んできた。
 物ではなく、人だ。
「カイト様ー!!」
 長い銀髪の髪をなびかせ、抱きつくような態勢で憔悴してたはずのレナが飛んできた。
 これなら心配ない、と魁斗が心の中で頷き、ひらりと華麗にかわす。
 抱きつく相手がいなくなったレナの身体は空中でブレーキが効かず、そのまま顔から床に倒れた。
 魁斗がそのままレナをスルーして部屋へ戻ろうとすると、レナが鼻を押さえながら涙声で引き止める。
「ちょ……カイト様……?冷たくありません?私の事はスルーですか?」
「……今はお前の抱擁を優しく迎えられるほどの体力は残ってねー」
 レナは鼻を押さえているせいか、鼻声のような声で話す。
「……向こうで戦われたのですね……。大分苦戦されたのですか?」
 いや、と魁斗は言葉を否定する。
 それから遠い目でずっと昔の思い出を思い出すように、語りだす。
「強いて言うなら、カテリーナにどつかれたな。フォレストにはおちょくられるし……」
 はは、という自嘲もすごく悲しいものに思えた。
 思えば天界に行ってから良いことが起きてないような気がする。これも強いて言うなら、フォレストからキスしてもらったくらいだろうか。
 こんなことを言えばレナの反応が大変になりそうだし、自分から言うほどの勇気もない。
 魁斗はこの事だけを胸にしまい、部屋へと戻っていった。
 部屋へ戻ると、とりあえず沢木に電話をしてみる。元気付けてあげないと、と思い電話をかけると、
『ふぁ、ふぁい!?こ、こちら沢木ですけど……』
「あー、サワ?大丈夫か?すんごい甲高い声が聞こえたけど……」
『だ、大丈夫、大丈夫です!それより、カイト君も大丈夫?』
 ああ、と魁斗は頷く。
 声を聞く限り、相手も思ったより元気でよかった、と魁斗は思う。
『……あの、明日学校来てくれる……?』
「ああ、行くよ。心配すんな」
『分かった……じゃあまた明日』
 沢木はそう言って電話を切る。
 明日、もう一度『十二星徒(じゅうにせいと)』の残りメンバーを整理しなければならない。
 それぞれ、思うことは別々だ。
 天界の方でも、今頃エリザが作戦会議をしていることだろう。
(―――あと、四人)
 魁斗は気持ちを新たにして、残りの『十二星徒(じゅうにせいと)』と戦う決意を固めた。

「どーなってるの?」
 電気が全く点いていない、暗い部屋の中で、椅子に腰をかけ、机に脚を乗せている少女がそう呟く。
 その少女は腕を組んでおり、左腕には何かがくっついている。
「残り四人って……藤崎恋音も倒せなかったってことよね?まったく、あの娘が一番弱いのよ?一番弱い奴倒せないでどうするのよ」
 部屋にはその少女以外に、三人いた。シルエットからして二人は男、もう一人は女だ。
 その少女の苛立ちは納まらない。
 恐らくは、この少女が『十二星徒(じゅうにせいと)』のリーダーだ。
 少女は溜息をつき、部屋にいる女へと視線を移す。
「……アンタ、いけるわね?切原魁斗を叩きなさい」
 女はフッと笑みを浮かべ、少女に言葉を返した。
「了解っさー」


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