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剣―TURUGI―

268竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2011/12/23(金) 17:47:36 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 藤崎恋音は日が暮れ始めた頃、仕事も終わり帰りの電車に乗っていた。
 電車の窓から外を見れば、家の電気や外套の薄明るい光、落ちていく夕日のオレンジ色が街を照らしている。
 綺麗だな、と藤崎が率直な意見を心の中で浮かべていた。
 彼女は仕事へ行くときは車だが、帰りは電車で帰っている。
 何でも斉藤春一は、藤崎を車で仕事場へ連れて行き、仕事が終わるまで待ってくれてはいるのだが、そのまま自分の家へ帰ってしまうのだ。
 仕事場まで連れて行ってくれるだけで嬉しいのだから、帰りはなるべく電車を利用することにしている。
 すると、藤崎の鞄の中で鈍い音が聞こえる。
 藤崎が鞄を開けて、中を漁ると携帯電話の振動音だった。
(……何だろ?)
 藤崎は携帯電話を開けて、着信かメールの受信かを確認する。
 メールの受信だった。しかも相手は桐生仙一。
「ッ!!」
 藤崎は僅かに肩を震わせて、急いでメールの内容を確認する。
『今日は色々と心配かけてゴメン。そっちは何ともないようで本当に良かったよ。じゃあ、会えたら明日学校でね』
 何とも素っ気無い、桐生らしい文面だが藤崎にとってはそれだけで幸せだった。
 しかし、彼女はハッとして首を横に振る。
(だー、違う違う!桐生君はただの友達であって、そういうんじゃないんだから!何過剰に意識してんのよ私ーっ!!)
 すると、電車が藤崎の降りる駅に停車する。
 藤崎が鞄を持って、電車から降りる。
 階段を下り、ポケットから定期を取り出して、改札に定期を通す。彼女から駅から出ると、藤崎は目を疑う。
 夕暮れの駅だというのに、人が一人も見当たらない。
 それどころか、雨が土砂降りと言ってもいいほど降っているのだ。
 藤崎の記憶にある今日の天気は午後の降水確率は0パーセント。しかも、電車の中で見た景色では、雨は降っていなかった。
(……どういうこと?もしかして、『剣(つるぎ)』の能力?)
 切原魁斗達と知り合って以来、彼女は『死を司る人形(デスパペット)』という組織と死闘を繰り広げた。更に現在でも『十二星徒(じゅうにせいと)』という組織と戦っている。
 急に雨が降っているし、地面には少し水が溜まっていた。
 こんな奇天烈な出来事、『剣(つるぎ)』の能力以外では考えられない。
 だが、天候までも操れる強力な『剣(つるぎ)』があるのか。藤崎が考えていると、何処からか音が聞こえる。
 水が溜まった地面を歩く音。それとともに何かを引きずるような音だ。
 藤崎が音の方向に振り返ると、一人の人物がこっちに歩み寄ってきている。
 背は藤崎よりも低く、中性的な顔つきの少年だ。彼が引きずっているのはサソリのハサミを巨大化したようなもので、右手に纏わり付いている。
 藤崎の直感が告げている。
 いや、切原魁斗の仲間なら、誰でも彼のことをこう思ったはずだ。
(……『十二星徒(じゅうにせいと)』だ……!)
 少年は藤崎から二十メートル程離れたところで足を止め、藤崎を見つめる。
「初めまして、藤崎恋音さん。いやー、写真や雑誌で見るより全然可愛いなぁ。ハッキリ言ってタイプですよ」
「……だから?」
 藤崎は素っ気無い返事を返す。
 相手が敵だと分かっているからだ。現に今の彼女の手には刀が握られている。
 少年は笑みを浮かべて言葉を続ける。
「僕は『十二星徒(じゅうにせいと)』メンバーのさそり座を担当してます、名前はそのまんま。サソリです」
「だから何って言ってるのよ!アンタが敵なら、私はただ、倒すだけよ!」
 藤崎が突っ込む。
 彼女はまだゲージが溜まっていないため、自身の魔力で炎を作り出す。炎を纏った刀で、サソリへと思い切り振り下ろす。
 が、
 彼女の刀はサソリの巨大な右腕によって止められていた。
 しかもそれだけじゃない。
 彼女の刀に纏った筈の炎が跡形もなく消えている。
「ッ!?」
「あらあら、大変ですね」
 サソリは不適な笑みを見せ、こう告げる。
「こんな雨が降って湿気が溜まってる場所じゃあ、炎なんて扱えませんねー」


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