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「それでも君を愛していた」

2 ◆YLdWB0/d2s:2011/05/12(木) 19:51:36 HOST:p5246-ipad207okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
「亜樹、俺は嘘なんか付かないよ?  絶対に」

春の穏やかな日。 桜が満開に咲き渡り、辺りには桜の花びらが所々舞っていた。
晴れて今日から大学1年となる、深見 創(はじめ)は、この大学の入学式に色々な思いを寄せ参加していた。
 「絶対に、この大学を出て海外で鉱物の研究をするんだ」 
創は幼いころに、家族と初めて行った旅行で母親にきれいな石を買ってもらった。 アメジスト。 深い紫色で、艶やかな形。創はこれを見て一気に石に興味を持ち始めた。 独学で勉強するほど鉱物に興味を持ち、インターネットでよく海外の鉱物を買っていた。 高校の時のバイト代も全て鉱物にかけていた。 それほど鉱物が好きだった。
「それでは、挨拶を終わります。引き続き、御来賓の方々のお言葉を」
学長が長々と話している間、トイレへ行くそぶりを見せ、学長のあいさつを聞かず、創は入学式会場を後にした。
「あんな話、聞いてるほうが無駄だ。図書館に行ってみよう」
教室や講堂が並ぶ廊下を見渡す創。案内図を見つけ、図書館の方へ足を向けた。
角をまがった先には、女性が一人、学校の掲示板をじっと見ていた。 見るからに新1年生だと思った。
「あの、1年生?」 創はとっさに聞いた。 彼女は一瞬、驚いた顔をした。
「はい。 先輩ですかね?」 あ、いや。 自分も1年だ、と彼女に伝えた。
彼女はとても不思議そうな顔でこちらを見ていた。 なんだろうか?
「あの、入学式どうしたんですか? 私も1年生なんですけど」
「えっ?」  創は驚いた。 自分のほかにまだ抜け出しているひきょう者がいようとは。」
「なんで入学式出てないの? 私もだけど」
「そっちこそ、なんで? 僕は、学長の話がめんどくさかったから」
「へぇ。 これからどこ行くの? 私何も予定ないよ」
別に、この子の事なんか聞いてもいないし、予定ないからって。 創はめんどくさそうな顔をした。
「僕はちょっと用あるからさ、またね。 そういえばクラスどこなの?」
「私は、国際英語学科だよ。 海外行きたいなって適当に選んじゃったとこがここ」
ふーん、というと創は 「じゃ、行くから」 と言い、その場を後にした。
図書館につき、扉を開けようとした。ガラス越しに後ろに人がいることに気付き、すぐに創は後ろを振り返った。
「へぇ。図書館に用あるんだ。 何見るの?」
「さ、さっきの! なんで着いてきてるの?」
「別にいいじゃない。 予定あいてるからさ、私も一緒に見てもいい?」


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