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係争の異能力者(アビリター)
275
:
ライナー
:2012/01/09(月) 16:21:20 HOST:222-151-086-021.jp.fiberbit.net
「なーにぃ? そんなに驚いた? 私のこの紐『闇丁紐(あんちょうひも)』って言うの。アビリティの吸収及び放出が可能な訳。ちなみに黒明も『明丁紐(めいちょうひも)』って言う効果の同じ物を持ってるわ。ネーミングが違うだけだけどね」
アビリティの出し入れが自在と言うことは、先程消された氷も必要な場面で放出されると言うことだろう。こうなると、【マッスル】や【ファスト】のような、人間の力を向上させるアビリティの方が有利と言うことだ。
にしても、白闇は先程から余裕に満ち溢れ過ぎている。啓助の方を眼中にないと思っているのか、それ以前に遊び道具のような存在でしかないのか。
「なら、これならどうだ! {凍突冷波(とうとつりょうは)}!!」
啓助は、剣の切っ先を前に向け、刀身を通じて冷気を放った。その冷気は、剣その物を延長したかのように白闇の方へ伸びる。
「だから効かないって」
白闇は綱サイズの紐を撓らせ、タイミング良く冷気へと重ねた。
紐と冷気が触れ合うと、吸い込まれるように『闇丁紐(あんちょうひも)』へ消えていく。
「ホラね。……!」
瞬間、白闇は思わず息を呑む。啓助が倒立前転をしながら接近してきたのだ。
「承知の上だっ!!」
そう、啓助はすでに相手の武器の効果を知っている。それ故にアビリティを使って冷気に出すのには理由があった。
ユニオンでの訓練のため、アクション映画などでも良く見る「倒立前転」「バク転」などはある程度訓練されている。しかし、当然ながら通常の走行よりも方向転換としての方が優れるため、スピードには優れない。つまり、僅かなインターバルが必要だったのだ。
啓助は、回転の勢いを付けたまま刀身を振り下ろす。
「食らえ!」
瞬間、湿った鍔音のような音が響いた。刀身が、先程の氷の一角に防がれている。
「やるね」
やはり白闇の表情は余裕。これは想定の範囲内と言うことだろう。
そして、白闇の反撃が繰り出された。
「火炎、召喚」
再び撓る白い紐。鞭声が響くと同時にそれは現れた。蜃気楼を呼び出すほどの熱気が、啓助の肌に伝わる。
「グッ!」
目の前が炎で赤く染まり、身体ごと啓助を吹き飛ばす。
「さて、戦えるかな」
一方、熱也と黒明。
「ふーん、白闇はもうすぐ片が付きそうだな。ま、当たり前か」
黒明の視線は熱也にあらず、遠くの啓助達の戦闘を見据えていた。
「余所見すんなや!」
言葉と同時に、束ねられた両手がグローブに炎を纏わせる。その拳は赤い流星を思わせるように黒明に向かった。
しかし、その拳が来る事を前から予想していたかのように黒明は伏せる。そして、熱也の反応よりも速く、『明丁紐(めいちょうひも)』が熱也の腹部を叩いた。
「ヴグッ……!」
詰まる苦悶と共に、激しい平手打ちのような音が熱也を数メートル先の壁へと打ち付ける。
「これでやられたって事は、要するにそれ程弱いって事だよね。にしても、君が火を使えるとは知らなかったよ」
静けた空間に、黒紐の鞭声が響いた。
「斬撃、召喚」
小さな囁きが放たれると、それが伝わるかのように紐は撓る。
ザッ!と言う風切音が、突進するように熱也へ向かった。
その音は姿を捕らえられぬものの、鉄製の床を捲り返して波のように迫る。
倒れている熱也は一所懸命に立ち上がろうとするが、倒れている体勢が辛く、手が思うように動かせないために中々立ち上がれない。
「ッ!!」
顔を上げ、前方の斬撃を目の当たりにした。しかし、体が動かない。
「グハアァッ!!」
驚愕の叫びと共に、赤いキャップが宙を飛ぶ。さらに、熱也の全身に切り込みを入れるように傷が現れ、血液が四方に飛び散った。
赤いキャップがフリスビーのように宙を舞い、羽毛が舞い降りるようにゆっくりと落ちる。
そのキャップが落ちた場所は―――
―――微かな震えを残した、熱也の倒れる身体だった。
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