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係争の異能力者(アビリター)
260
:
ライナー
:2011/12/30(金) 15:52:02 HOST:as02-ppp22.osaka.sannet.ne.jp
啓助達は悲鳴の聞こえた方向へ、素早く歩を踏む。
その場所には目立つように人混みが出来、啓助は警察の目を掻い潜って、同年代くらいの少年に尋ねた。
「何かあったのか?」
「引っ手繰りさ。しかも、警察の中でも有名な引っ手繰りらしいぜ。とんでもなくいいバイク持ってたって話だ」
啓助は少年の話を聞くと、バイクの向かって行ったという方向へ走り出した。
しかし、啓助も『ディシャスアビリティ』の暴走という理由があって追われる身である。つまり、犯罪に関係する部分は関わると自分の身も危ないという事。
だが、啓助にとってそんなことはもはや関係なかった。
目の前に犯罪がある。それを見逃せば、どんな犯罪だろうと家族を失った異獣事件や、煉と言う仲間を失った事のようになってしまうのではないのか、そんな不安が啓助の頭の中にあったのだ。
それ故、自分に危険があろうと助けなければいけない。これはユニオンで学んだ事にも繋がるだろう。
「ねーねー、相手はバイクだし、追い付くの無理なんじゃないのー?」
麻衣が、走る啓助の横をヒョコヒョコと付いてくる。
そう、ヒョコヒョコとであって、啓助の走りと速さが同等なのだ。それに加え、啓助にとっては麻衣の口調さえも苛ついている。
「んでも追いかけるしかねーだろ!」
未だ見えないバイクの方向に目をやったまま、啓助は言った。
「要は、バイクの位置が分かればいいんだお?」
「出来るのか!?」
麻衣の言葉に啓助は立ち止まり、半信半疑で振り向く。
「出来るけど、こっちを向いちゃ駄目だお? 見たら最後・・・・・・」
「あー、分かったからサッサとやってくれ」
そう言って、啓助は麻衣を軽くあしらい、麻衣の居る反対方向を体ごと向いた。
啓助が万全の体勢になったことを確かめると、麻衣はオレンジ色のヘッドホンを耳から浮かすようにして離す。
「ねえねえ」
麻衣からの応答があり、咄嗟に啓助は麻衣の方を振り向く。
「もう分かったのか!?」
溌剌とした問いに、火に水を掛けるが如く麻衣は言った。
「バイクって、どういう音のら?」
瞬間、啓助の唇が吊り上がり、顔が引き攣ったまま凍り付く。
バイクを知らない人間を、啓助は始めて知った。だが、麻衣が「音」と言った時点でバイクではなく、音自体を探ろうとしていたことになる。しかし、それもまた不可能。
車やバイクなんて、少し広い道路へ1歩足を踏み出せば、余裕に排気ガスやクラクションの音、走行音を撒き散らしている。それに、人の多いこの時間となれば、人声が混ざって余計に無理だろう。
そのようにいろいろな考えが思いつくが、それを押し退けて断言できる言葉があるのを啓助は思い出した。
「人間には無理だ」
呆れた声を出しながら、啓助は麻衣を取り残して1人走り出す。
「そんなこと無いおー。アタシの耳はちょっと変だけど、100キロメートルくらいの音は聞き分けられるんだもーん!!」
置いて行かれぬよう、啓助の歩調に合わせて麻衣は再び膨れっ面になって言った。
「今はそんな冗談言ってる場合じゃないだろ! とりあえず、赤いバイクってのを探すんだ!」
振り向きもしてくれない啓助に、麻衣は膨れっ面を継続させて訊いた。
「・・・・・・じゃあ、引っ手繰られたものになんか音として分かりそうなものないのら・・・・・・?」
あからさまに機嫌の悪そうな声を発している麻衣に気付いて、啓助はこれ以上悪化しないよう、まともな対応をすることにした。
「そうだな、引っ手繰られたバックには、2つ鈴が付いていたみたいだったが」
啓助が言い切る前に、麻衣はヘッドホンを浮かせ、再び耳を澄ませる。
「・・・・・・場所、分かったのら!!」
その叫びと同時に、啓助の腕は力強く引っ張られた。
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