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係争の異能力者(アビリター)
251
:
ライナー
:2011/12/18(日) 22:28:59 HOST:222-151-086-008.jp.fiberbit.net
啓助は見覚えがある。
随分前だったが、あることが鍵になって、次々と記憶の扉をこじ開けていく。
まず最初の鍵となったのは屋敷、麗華の屋敷以来だな〜と思って―――
「思い出した! お前、あの時のメイドか!」
啓助に指さ差されると、少女はウンウンと首を上下に動かす。
この少女は、かつて麗華救出に出向いた時、巨大な炎の箒を持って乃恵琉と戦ったメイドだったのだ。
「ホント、久しぶりじゃまいかー! それとアタシは、神宮寺 麻衣(じんぐうじ まい)という立派さんなお名前があるのら」
神宮寺麻衣、と名乗った少女は、相変わらずのメイド姿で、そのメイド服の胸ポケットにはオレンジの桜の花弁が刺繍してあった。そして、頭にはカチューシャと一見見間違えそうな髪に隠れたヘッドホンが付けられている。
「……とりあえず、俺は速いとここっから出なきゃいけないんだ。痛いの嫌だから倒れてくんない?」
「もちろん無理だお」
当然の答えが、啓助の心に矢を刺した。
「説明しよう、辻啓助は今までまともに勝利したことがないのだ」
「どっかの必殺技説明してるナレーションみたいに言ってもダメだお」
啓助、全身全霊を費やした土下座モードに移行する。
「お願いしますッ!」
「ダメだお」
分かってはいるのだが、麻衣の語尾である「だお」がとても気になる啓助だった。そして、同時にとても苛つく。
『おーっと! 飛び込み参加の選手が土下座を始めているぅ!』
極めつけには、とんでもなく格好悪いところを実況されている始末だ。恐らく、会場内は笑いの嵐だろう。
しかし、名を名乗らなかったのは正解だろう。あまりにも恥ずかし過ぎる。
「分かった、倒れるのは男として許せないから、絶対に倒してやる」
何かを諦めた啓助は、背にある剣の柄に手を掛ける。
麻衣も麻衣で、後ろ腰に鉄骨のようなものを刀みたいに差しているようで、同じく手を掛けていた。
啓助が剣を抜く前に、素早く麻衣が動き出す。
「ッ!!」
そのまま、啓助は反応しきれずに腹部に衝撃を走らせた。
衝突のためか、大理石の床から土煙が上がる。
「今度は、メイドらしく箒じゃないのかよ……」
土煙が晴れると同時に、啓助は呟いた。
「だってさ、緑目眼鏡君がさ、箒の箒草切っちゃったからさ、使えなくなっちゃったんだもん!」
何やら半泣きの様子で、麻衣は言った。緑目眼鏡君とは、恐らく乃恵琉の事だろう。
さらに、麻衣が片手に持っていたのは、鉄骨のような大きさの扇だった。
八つ当たりでもするように、麻衣は扇を開き、力強く扇を仰ぐ。
すると、そこからは大風が吹き、再び啓助を吹き飛ばす。
「うわたッ!」
大の字に回転しながら、純白の壁紙を貼った壁に、啓助は背を打った。
相手は以前よりも実力が上がっている。啓助はそう思った。
啓助は直接乃恵琉の勝負は見ていないが、最初にあったときと、同じ重量級の武器を扱うスピードが違う。
何とか状態を立て直そうと、啓助は壁を蹴って麻衣へ跳び掛かった。
「『風華乱扇(ふうからんせん)』で〜、敵をお掃除ッ!」
麻衣は、『風華乱扇(ふうからんせん)』と名の付いた扇を振り上げ、さらに風を吹き付ける。
扇の起こした風は、その場の景色を歪め、床を滑空するように啓助に吹き付けた。
跳び掛かったのにも関わらず、啓助はビデオの巻き戻しをするように再び壁へ叩き付けられた。
風だというのに殴られたような痛みが、啓助に残る。
「掃除っつうより……」
大理石の床に足を付け、啓助は走り出した。
「埃、撒き散らしてんじゃねーか!!」
叫びと一緒に、鞘から抜け出た剣の切っ先が、水に浸けるように大理石の床に刺さる。
切っ先からは、水か漏れるように氷が生まれて、吹き付ける風を防いだ。
氷の壁が突風を2手に分け、啓助の肩ギリギリを殴りつけるように吹き抜ける。
「ホントだ! 埃が残ってる!」
麻衣は、啓助を指さしてバカみたいに驚いていた。まるで、手品を初めて見た子供のように。
「誰が埃だコノヤロー! 今度はこっちの番だ、覚悟しろ!」
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