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係争の異能力者(アビリター)
161
:
ライナー
:2011/09/23(金) 14:09:35 HOST:222-151-086-003.jp.fiberbit.net
22、路地裏の戦域
「ごちそーさんでした」
啓助は昼食を食べ終え一息吐くと、剣を持って外へ出かけた。
街の大通りに出ると、時間はまだ昼時で定食屋の方からは賑やかな声が聞こえる。
賑やかな声に紛れ、昼酒を呑み泥酔している中年の男などの風景が見えた。
そんな風景を見て、啓助は視線を前方に戻す。
すると前方に見えたのは、キルブラックの下っ端が身に纏うマントのような黒装束だった。
「……!!」
黒装束を着た人物は啓助の姿を見つけると、逃げるようにビルの路地裏に去って行く。
啓助もその姿を見ると、慌てて黒装束を追った。
路地裏に入って行くとそこには、ビルの壁と換気扇くらいしか見あたらない。
啓助は自分の目を疑いながら、キョロキョロと辺りを見渡す。
すると突然、啓助の身体に矢が刺さる勢いで電流が流れた。
「グッ……!!」
電流は啓助を縄で縛り付けるように身体に巻き付いている。
苦しみながらも、啓助は流れる電流の発信源を目で追う。
目で追った先には、ビルの壁に2匹の蜘蛛が糸を吐くように電流を啓助に流していた。
そうかと思うと、今度は上空から何者かが舞い降りてくる。3人いる中の2人は先程の黒装束だ、そしてもう1人は裏切りを果たした堂本の姿だった。
「て、テメェ……!」
「ヨォ辻……随分と元気そうじゃねぇか。雷蜘蛛(らいぐも)の電気は気持ちいいか?」
電気の磔(はりつけ)を受けている啓助に、堂本は笑って言う。
「雷蜘蛛はコイツで操られてんだ。スゲェだろ?」
堂本は啓助の顔の前に、碁石でも挟むような持ち方で紙の札を差し出す。
それは随分前、麗華救出の時に麗華のアビリティを遮っていたあの札だった。
「覚えてそうな顔してんじゃねぇか。じゃあコイツはどうだ?」
次に差し出されたのは錠剤のような物。啓助はこれにも見覚えがあった。
同じく麗華救出の時、赤羽との一戦で赤羽が服用した薬だ。
「札はお前が知っている通り、人間に付けりゃアビリティを封じ、獣に付けりゃ意のままに操ることが出来る代物。そしてこの錠剤は、服用すればアビリティの能力を短時間だけ強化するという薬だ」
堂本は錠剤と札をコートのポケットにしまうと、話を続ける。
「これで分かるように、俺らキルブラックの科学力、戦闘力はとても優れている。これ以上刃向かうようなら次に使者を送り殺すことになる。ついでに雷蜘蛛の相手をしてやってくれ、辻」
堂本はそう言い残すと、黒装束達を残して去っていった。
堂本が去った途端、それが合図だったかのように黒装束は雷蜘蛛に命令を出す。
雷蜘蛛の出す電流の電圧は段々と増し、突き刺さった矢が身体を剔(えぐ)るような痛みを啓助に感じさせた。
啓助は痛みのあまり、獣のような咆哮を上げる。
そしてその咆哮は、啓助の意識を掻き消していった。
辺りは黒色に染まっていた、鍾乳洞の時と同じように。
闇の中にはあの時と同じ声が響いていた。
「お前……中々に面白い力を持っているようだな。今回だけはその力を借りて助けてやろう。だが、次この力を使うにはお前がこの力を使いこなせるようになってからだ……」
啓助は自分が意識を失っていることに気付いた。
目が覚めた途端、剣を握り、前方の黒装束を切り裂いている。無意識にも戦っていたのだ。
上を見上げると、雷蜘蛛が一目散に逃げていく姿が見えた。
啓助は来待戦での疲れと同じ物を感じる。
記憶を一部失っていた、あの来待戦と同じような感じだ。
疲れを残しながらも、啓助は剣を鞘にしまう。
「ヒューヒュー!格好良いね啓助!」
後ろから囃(はや)し立てるように声が聞こえてくる。
何となく聞き覚えのある声に振り向くと、ヒロシ状態と化した洋の姿があった。
「お前……!何でここに!?」
「キルブラックの処理で派遣されたのさ。でも、君が処理っちゃったみたいだね」
啓助は少し気がかりになることを、洋に問いてみる。
「じゃあ、転送システムで来たんだよな……?」
「いや、歩きさ。歩きじゃないとナンパ出来ないじゃないか」
聞くんじゃなかった、啓助はそう思う。
そう思い、拍子抜けした瞬間、それを狙っていたかのように矢が啓助の足下に降りた。
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