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ヤンキー娘とお嬢様講座
3
:
竜野翔太
◆sz6.BeWto2
:2011/05/03(火) 01:13:42 HOST:p3141-ipbfp404osakakita.osaka.ocn.ne.jp
第一章
〜お嬢様として〜
1
「・・・あ、あのな・・・」
キラキラとした瞳でとんでもないことを懇願してくる相手に、レナは動揺を隠せないでいた。
「お姉様」という柄でもないし、こういう清楚で可憐(に見える)子と関わりを持つなど、今までの人生では考えられなかった。
レナは小さく溜息をついて、
「・・・あのな、何で俺がお前のお姉様とやらにならなきゃいけねぇんだよ?」
丁寧な言葉遣いの相手と比べると、あまりにも粗暴すぎたが、気にしていられない。女の子は面食らったように硬直する。
しばし、沈黙が続いた後に、女の子は口を開く。
「では、お姉様はいったいいくつでございましょう?」
「お姉様確定かよ!えっと・・・今年で16だけど?」
相手の自分に対する呼び名に不快感を抱きながらも、相手の質問に答える。
女の子はさらに瞳を輝かせて、
「ならば私より一つ上なのですね!良かった〜。年上で」
「話聞いてんのか?俺は何でお前の姉にならなきゃいけないんだって訊いてんだよ!」
自分の話を全く聞いていない相手に苛立ち、レナは思わず叫んでしまった。
女の子は肩をビクッ!!と震わせて、顔を俯かせ、口をつぐんでしまう。
その様子に、レナは気まずくなったのか、咳払いして、
「と、とりあえず!俺はお姉様なんて柄じゃねぇし、年上だからってなる義理はねぇ!分かったか?」
一方的に話を終わらせ、レナはその場から帰ろうとするが、女の子がそれを許さない。
相手はレナの服の袖の裾をぎゅっと握って、離さない。しかも、顔に似合わずかなりの力だ。前に進もうと足を動かしても、相手の力でそこから全く前に進めない。
これでは自分だけが体力を消費するだけ、とレナは足を止めて、数度荒々しい呼吸をした後、ぐるん!!と相手の方へ振り返り、
「何なんだよお前は!俺は帰りてぇんだ!何で止めるんだよ!」
「貴女にお姉様になってほしいからです!」
相手の言葉は変わらなかった。ここで変わってもらっては、それはそれで困るが、ここまで譲らないとなると、それもそれで厄介だ。
レナは相手をなだめるように相手の肩に手を置き、それから口を開く。
「・・・俺は、見ての通り俗に言う不良って奴だ。成績も悪けりゃ、要領も良くねぇ。そんな道を踏み外しまくった俺が、お前みたいな奴の姉なんて務まるわけがないんだよ」
普通のレナと比べ、優しい言葉だった。
声も、表情も。普通のレナとは考えにくいほど、優しく、美しかった。
それを見た女の子が止まるハズはない。相手を押す言葉に拍車をかけ始める。
「それでも、貴女は私を助けてくださいました!それだけで判断するには十分なのでございます!」
相手はレナの服を掴み、今にも泣き出しそうな顔で訴える。
レナはここまで相手から必要とされたことがなったため、どうしていいか分からないというのもあってか、動揺が激しくなる。
「・・・お・・・お・・・俺は・・・」
レナの呂律が回らなくなってくる。
女の子は最後にこう告げる。
「私にはお姉様しかいないんです!!」
その言葉に硬直したレナは、相手に半ば強引的に家へと連れて行かれた。
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