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Purincess*

8ねここ ◆WuiwlRRul.:2011/04/24(日) 15:40:47 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp

     * ゆり *


「ごっ、ごめん! 那月、大丈夫?!」

 退きたいけど、怪我が痛くて動けないわたしをそっと起き上がらせてくれる那月に慌てて謝ると、ぽんっとわたしの頭に暖かい手をのせて撫でてくれた。那月にとってこれは自然な行為なのかもしれないけど、やっぱりかっこよく感じるなあ……。

「ゆ、り………?」

 ほのぼのと那月にときめいていると、保健室のドアの方から聞き慣れた声がわたしの耳に届いた。くるりと振り向いてみると、そこには今最も会いたくなかった人、遊が立っていた。遊は那月の上にのっているわたしとそのわたしの怪我をじっと見詰め、首を傾げる。

「遊……!」

 何て言えばいいのか分かんない。というか、わたしって本当に遊が好きなの? さっきから那月にばっかどきどきして、もしかして那月に惚れちゃったとかそういうのもありえるんじゃないのかな。

ゴツンッ!

 またぐるぐる考えていると、那月に軽く頭を叩かれた。やっぱりコイツ嫌い!だなんて思いながら怒って振り向くと、那月がくすりと笑い話す。

「また、ぼーっとしすぎ。」

 どきんって、胸が鳴る。そして、顔が赤くなるのが自分でも分かった。やっぱりわたし、那月が好きだって確信もしてきたし……。そう思いながら遊がいた場所を見ると、そこに遊の姿はなかった。

「あれ……? 遊………?」

 きょろきょろと周りを見回すが、周りには羽月ちゃんと楽しそうに話すリリーちゃんの姿と、同じく楽しそうな羽月ちゃん。先程から睨んでばかりのりあに、怪我の手当ての準備をする保健の先生。そして、わたしが座っている、那月しかいなかった。「まあいいや。」なんて考えて、那月に手伝ってもらって保健室の椅子に座るけど遊が急にいなくなるなんて、ちょっと心配だなー。じいっと保健室のドアを見ていると、那月がわたしの頭を優しく撫でてくれた。

「さっききてた男子なら俺と目合ったときに笑ってどっか行ったぜ。……かなり親しそうだし、別に心配することないと思う。」

 どきんとときめいていく一方、遊と親しいと言われてちょっぴり胸が痛んだ。恋って、面倒臭い。


     * 遊 *

 吃驚した。ゆりに好きな人がいるだなんて。って……何だか涙が溢れてきた。とりあえず、教室出よう―――……。


     * * *


「(あれ……?)ゆ、り………?」

 ちょっと寝ようと保健室に来てみたんだけど、さっき廊下で見たとき嫌そうに見詰めてた男の子とあんなに仲良くしてるなんて。何か、悲しい。……あ、男の子と目合った! 俺はそんなことを考えながらにこりと笑って保健室前を去っていった。


     * つづく *


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