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Purincess*
22
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/01(日) 20:05:31 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
* ゆり *
「さあ、ここらへんかな。」
きょろりと周りを見回すと、広いお花畑があった。綺麗! と見惚れていると、なつが急に話し出す。
「お前っ! 此処で何をしたいんだよ?」
なつは「奴隷」なんじゃないの? 「王子様」にそんな口聞いていいの? なんて疑問が一つ一つ増えていく中、痛々しい音と共になつが倒れた。
「お前なあ、王子様にそんな口聞いていーんだっけ?」
「やっ! なつ………!」
わたしがなつに駆け寄ろうとした瞬間、王子が此方に向かってきて、がしっと腕を押さえられた。何が何だか分からなくなる。わたしは捕まったの? 何があったの? ナツ、助ケテヨ。
「ふっふっふ……やっとこの存在が手に入った。ゆり……ずっと俺はゆりのことを見ていたよ。だから今度はゆりが俺の方を向いてよ。」
ゆっくりと近づいてくる顔を避けることができない。何故? と思っているとがっちりと頭を抑えられている。いや……! 助けて!
ドンッ!
急に王子がわたしの傍を放れて倒れた。前を向くと、そこにはなつの姿が。で、その後ろに羽月ちゃんとリリーちゃんと……遊にりあに璃羽に、フリルまでいる! キラキラと目を輝かせ、皆に飛びつくと璃羽と羽月ちゃんがぎゅーっと抱き締めてくれた。
「ばか! こんな変態エロ王子についていっちゃうなんて!」
「もうっ! こんな危ないことしちゃ、嫌だよ……?!」
「リリー、本当にゆりを仲間だと思ってるから。勝手に危ないところに行っちゃダメなの!」
「那月君と二人なんて、ずるいわよ!」
「ゆりー! 落とし穴にはまっちゃダメだよーっ!」
「………あんたは嫌いだけど、那月がいるから来てやったわ。」
羽月ちゃん、璃羽ちゃん、リリーちゃん、りあ、遊、フリル………そして、なつ。
「ごめん、危ない目に遭わせて本当にごめんな……。」
助けにきてくれた皆に嬉しくて泣いた。けど、誰がこんなことをしたの? 周りを見回すと、ふわり姫の姿があった。不安そうな表情で立っている。
「わたくしです。王子がゆり様を自分のものにするなんておっしゃりますから、心配になりまして……。それよりゆり様! わたくしの代わりに姫になって頂けませんか? 姫候補にならなくても、ゆり様なら姫に相応しいので任せられます!」
………わたしがこの国の姫になるの? リリーちゃんやフリルはどうなるの? 姫候補にならなきゃダメじゃない。わたしは、わたしは……
「わたしは、もうPurincessだからいーの! それに、リリーちゃんやフリルの方が全然長生きできるよ! だから………だからリリーちゃんかフリル、真のお姫様になって、なつや羽月ちゃんやその他の奴隷達を自由にさせてあげて……!」
これが、わたしの願いだから。なつも普通の高校生になって、普通に暮らすの。羽月ちゃんも、皆幸せに暮らすの。そんな夢を叶えてほしくて、ふわり姫の顔をじっと見る。すると後ろからリリーちゃんに抱き締められた。
「リリー、姫になるの……ずっと皆を幸せにするの……だから、見守ってて?」
「うん……!」
こうして、皆が感動する中、王子(後から聞いたけどスターっていうらしい。)の処分は決まり、この国の王子はいなくなった。けれど、王子様はお姫様になった人が自由に恋すればいいよねって王国で決まって、お姫様という名の物語はラストスパートへの道を進んでいた。
* つづく *
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