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Purincess*
15
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/04/30(土) 15:02:42 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
* 羽月 *
「ゆりなんか、最初っから嫌いだったもん……。」
リリーから不安そうな、心配そうな表情で見られていたが、正直そんなことはもうどうでもよくなっていた。幼い頃からずっと片思いしつづけてた初恋が、会ったばかりの奴に壊されちゃったんだから。那月はいっつもあたしに優しかったね。那月はいっつもあたしを守ってくれたね。あたし、お礼とか謝るのとかは大嫌いだけど、那月になら言えたよ。「ありがとう。」も「ごめんね。」も。
「だけど……………っ!」
だけど、ゆりに奪われてしまったのだから。もうあたしに生きる意味はないのかなあ。………本当はゆりは嫌いじゃない。あんな酷いことされたから、嫌いって自分に言い聞かせてただけ。嫌いになれないのは―――……
* ゆり *
「っ…………な、つき………はづ、きちゃ……りり、い……ちゃ…………!」
狭い狭い部屋の中、わたしは一人、声を殺して泣いていた。本当は、声を出して大きな声で泣きたいよ。「寂しいよ。」「誰か慰めて。」って、叫びたいよ。だけど、そしたらわたしは邪魔者になっちゃう。羽月ちゃんはきっと、小さい頃から那月に恋してたんだよね。その努力が今実りそうなのに、これ以上、羽月ちゃんや那月の幸せを奪ってられないよ。
「で、も………っ!」
それでも、わたしは那月が好き。強くて優しくて、かっこよくて――でも、ここで好きって言ったらきっと、お人好しな那月は困っちゃう。だから、この気持ちは心の中に閉まっておくんだ。また、遊のPurincessになれるように努力するんだ。だって、羽月ちゃんのことも好きだもん。あんな酷いことされたのに、不思議。きっと、嫌いになれないのは―――……
「「こんな短い間でも、楽しいことがたくさんあったから。」」
* つづく *
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