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Purincess*

12ねここ ◆WuiwlRRul.:2011/04/27(水) 17:45:39 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp

     * ゆり *


 全ての話を聞き、あまりにも酷いと思いぼーっとしていると、わたし以上の怪我でボロボロな姿の那月がよろめきながら帰ってきた。

「ただ……い、ま……………。」

 流石の羽月ちゃんも、リリーちゃんまでもが有り得ないといった表情で那月を見詰めるが、那月は少しでも心配させまいと思いにこ、と笑って見せた。わたしには、そんな那月の表情が泣いているような顔にしか見えなくて、遂にぽとりと一滴、涙を零した。

「な、つき……? なんで、こんなにけが、してるの……りりい、なつきがけがすると、さみ……し、いよ………?」

 リリーちゃんも泣いているのか、言葉が途切れ途切れになって聞こえる。羽月までもがぐっと涙を堪えていた。けれど、那月は笑ったまま話す。

「ごめん。…………神が久し振りにお父様に会わせてやろうって。それで……………殴、られ……た。」

 神様はそんなに悪い人なのかな。那月のいう「お父様」は本当に那月の親なの? こんな厳しいの、酷すぎるよ。ポロポロと泣き出すと、那月がそっと寄ってきて、涙を拭いてくれた。いつもは暖かく感じるのに、今は那月の手がとっても冷たくて、怖い。そんなとき、冷静なある人がやってきた。わたしの知らない人。

「皆様、少し落ち着かれては如何でしょうか? わたくし特製のコーヒーを用意致しますわ。その間に那月様の手当てをするので、お待ちになって。」

 ふんわり白いレースのワンピースの裾を両手で摘み、女性らしい、お姫様らしい一礼をした後これからのことをわたしでも理解できるように言ってくれた。こくりと頷いていると、もうテーブルにはコーヒー三人分がコップに注いであり、その女性は那月を連れて奥の部屋で手当てをし始めた。わたしはその間に、リリーちゃんに疑問に思ったことを聞いてみる。

「ねえ、あの人は誰? 随分礼儀正しい人だけど……。」

「………あの子はふわりっていう子。生まれたときに両親をなくし、王家で育てられた………うーん、今の姫なのかなあ。」

 リリーちゃんの代わりに羽月ちゃんが答える。


 じゃあ、那月に酷いことしたのは姫、なんじゃないの……?!


      * つづく *


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