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Purincess*

10ねここ ◆WuiwlRRul.:2011/04/26(火) 20:16:12 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp

     * ゆり *


「俺のことは今度話すよ。今は登下校の話だから。」

 那月への真剣な想いを遮られたような気がしてならないけれど、はあ、と溜息を吐き保健室に戻った。その時、那月が擦れ違う瞬間ぼそっと呟いた。

「一緒に登下校すんなら今日教えてやる。」

 「えっ、本当?!」なんて言いそうになってばっと両手で口を塞ぐ。それを那月が見てくすりと笑い、わたしの頭を撫でてくれた。きゅんきゅんって、また心臓がうるさい。そんななか、わたしは頬を赤く染めさせてにこりと笑った。


     * * *


 下校時刻、五時半が過ぎ、わたしは一人切りで昇降口まで行ったと思うと女子に囲まれている私服の那月がいた。わたしの方を見て、にこっと微笑んでくれる。那月を囲む女子達の視線を浴びつつも、下駄箱から靴を取り出し、履いてトントン、とつま先で地面を叩き那月の元へ向かう。

「(こんな行為一つ一つがすごいだろ、なんて自慢しちゃくなっちゃう。人間の欲ってすごいかも。)」

 ちらりと那月を囲んでいた女子達の方を向けば睨まれたり、陰口を言われていたりなどと多少傷つく面もあったが放っておくことにした。いつもなら怒ってしまうと思うけど、今は隣に大好きな那月の姿があるから。じっと綺麗な横顔を見詰めていると、目が合ってしまった。那月はちょっと意地悪な笑みを浮かべて問う。

「何、じーっと見てんの。」

 恥ずかしさからして顔を赤く染めれば次は那月が優しく笑って頭を撫でる。幸せ、嬉しい、楽しい―――……いい言葉しか思いつかない今、君はどんなことを考えているのだろうか。


     * 遊 *


「あれ……、もう下校時間?!」

 深い眠りから覚め、ぱちりと目を開けると今の時間は5時45分。3時半くらいから寝ていた気がする……ということは、授業中や掃除中に堂々と寝ていたというわけだ。眠気の覚めない目を擦り、ゆっくりと立ち上がれば教室のドアを抜け、あることを思った。

「ゆり……。(ゆりは大丈夫かな。怪我してたし、一人じゃ帰れないよね。)」

 もしかしたら待ってくれてるかも、なんて有り得ないことを思いつつも嬉しいという気持ちがどこかにあって、下校時刻の過ぎた静かな廊下をるんるんとスキップで渡っていく。ゆりのクラスは1-3で、俺のクラスは1-5。場所的に言うと、一番離れていると言ってもいいほど遠い。あ、あっという間に着いちゃった。

「ゆーりーっ!」

 しーん………

 ゆりの名前を呼んでみたけど、いない。諦めようとしたとき、ゆりの机にあるものが置いてあるのが見えた。そのあるものを見てみると、ドサッと鞄を落とし、目を大きく見開いた。

「………え…………?」


     * つづく *


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