[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
メール
| |
堕天の歌-La canzone ai cieli-
8
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2011/07/06(水) 20:53:38 HOST:i121-115-45-73.s04.a001.ap.plala.or.jp
そういうネーロの表情には余裕があった。僅かに視線をローザに向ければローザはすでに防御用の術式の組み立てに入っているようだった。今回の天空人相手に自分の魔法が通じるか、それは多少不安だったが、今までが大丈夫だったのだから何とかなるだろうと考えてネーロも術式を組み始める。ローザは守りに回らせれば心配はない。それほどローザが紡ぐ防御術式は強固な物だった。攻撃の術式は時間が掛かるようだが、防御術式はほぼ一瞬で組み上げてしまうし、やはり得意不得意の問題かとネーロは考えて息を吐く。
考えながら、轟音を響かせてネーロは手から光線が放った。天空人たちには直接的なダメージはないようだったがそこはネーロも予想済み。そもそも今使った魔法は攻撃というよりは目潰しに近いものである。そこからすばやく別の術式を組み上げる。光線のときとは違い今度は魔法陣を一瞬にして形成した。光線は暴走を起すほど強力な魔術じゃないが、本格的な攻撃魔術となると話は別である。少しでも暴走すれば、最悪村一つ消し飛ばしてしまうほどの威力を持つようなものもあるのである。
魔法陣はなんて言うのは術者の魔力を増幅させたり封じたり、魔力の調節弁の働きをするものであり、実際のところはなくても魔法を発動することは可能なのである。まぁ召喚の時などには異界へのドアとして扱われる場合もあるのだが。しかしそれも稀なわけで、本来魔法陣は術者、つまり魔法使いの呪文や魔力があってやっと作動するものである。もっともその術式を使うのに必要な“知識”が欠落していれば魔法は意味を成さない。むやみに乱用したりすれば術者に多大な負担がかかることとなるのである。
「斬れ!!」
呪文を紡ぐネーロの声と、甲高い少女の声が重なった。周りで息を呑んでいた天空人が切りかかると同時、ネーロの形成した魔法陣が淡い光を放ち始める。ローザが叫ぶのが聞こえたが、下手に返事をすれば呪文への付属ととられてダメージを負うことになってしまう。だからただただ黙り込んで術式の完成に全力を注いでいた。
刹那、ひらりとより一層白い羽根が降り注ぐのが見せた。現れたのはスピーリトである。その表情は妙に焦ったようで剣を構える天空人を必死に止めようとしていた。ちなみにネーロを囲む天空人に比べて身長は低めで、華奢という言葉が良く似合う。大きくその青色の瞳を見開いたと同時に黒い蝶が舞った。光る粉を落としながらひらひらとスピーリトたち天空人の周りを静かに舞う。スピーリトは咄嗟に右手を突き出して大声で何かを叫ぶ。まばゆい光に包まれて魔法陣と舞っていた蝶の姿が消える。
「な!?」
魔法はまだ完成段階には入っていなかった。それでも他人に消されるような術式ではないはずである。逆算されたのだろうか? そう考えてネーロは目つきを鋭いものへと変える。スピーリトは大きく息を吐いてすっかり泣きそうになっている。話を聞いてくれとでも言いたげに、今にでもネーロに飛び掛っていきそうな天空人たちを必死に制していた。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板