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6エカ:2011/03/18(金) 16:57:01 HOST:proxy10003.docomo.ne.jp
シーンと静まり返っている教室には、必死に古文の解説を続ける先生の声のみ響いていた。

少し茶色が混ざっている肩まで伸ばした黒髪を弄りながら、もう片方の手でノートをとった。

この授業が終われば次は放課後、椎香はまた練習に行くのかなぁと思うと、少し寂しくなった。

最近一緒に帰ることはめっきり減り、違う友人あるいは一人で帰ることが多くなった。
おまけに中等部からヘルプとしてバンドをやってい椎香にはいつの間にかファンがついていた。

確か彼女は背が高く、中性的な顔立ちに明るめな髪色を耳まで短く切った姿はカッコイイと思う。
そして正確に刻まれていくリズム、淡々とどんなテクニックもこなしてしまう姿はそこら辺のバンド少年よりクール。
それ故、今の軽音部はかなり注目されている。
そんな中で私が入部なんかしたら……

無理、絶対無理。

とにかく……提出期限が過ぎるまで何としてでも逃げ切らねば…。



「花乃、何ぼーっとしてんの。」
「えっ!?」

――ガタッ

突然耳元で掛けられたら声に驚き、勢いで席を立ってしまった。

一斉に視線は私に集まり、あまりの恥ずかしさに俯きそのまま静かに腰を下ろした。

「い、いきなり話しかけないでよっ!」
「ごめんごめん。」

謝罪の気持ちなどまったくない笑みにイラッとしながら鞄にペンケースを詰める。

「ねぇ、今日うちら演奏するんだけど見にきてくれない?」
「はぁ…?」
「見にくるだけでいいからっ!お願い、ねっ?」
両手をパンッと合わせ頼み込んでくる姿に思わず警戒心が高まっていく。

「本当に見に行くだけでいいの?」

「うんっ!当たり前じゃん。」

(まぁ聞きにいくだけなら…。)

わかった…と気のない返事と同時に、椎香は私の手を掴み走り出す。

「よしっ、そうと決まったらレッゴー!!」
「ちょ、早いって。」

引きずられながら第2音楽室に向かう姿はあまりにも滑稽で、誰にも気づかれないよう私は顔を緩めた。


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