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夢ノ花園

3出雲 葵 ◆gGTOhi3OZY:2011/03/14(月) 22:21:52 HOST:zaq7d044532.zaq.ne.jp
 そして、校内一の告白スポットといわれる場所、別名「花の天国」といわれる屋上に行く。この学校は屋上で植物を育てているらしく、色々な草花が見られる。ここでカップルが誕生すると一生別れないとかいう(ふざけた)噂もあるらしいが、美浪はそんなの信じたことが無い。……当たり前だが。

「美浪ちゃん……、僕さ、君の事が……」

「無理」

 相手が言い終わらないうちに返事。そしてくるりと向きを変えるとスタスタと歩きだす。どれだけ相手が傷つくかなど知る気もないという顔で普通に花の天国から消え去ろうとする。男にどう思われようと彼女には関係無いのだろう。

「……待てよ」

 いきなり男の声が低くなったと思えば、足音がすごい勢いで近づいてくる。あぁ、いつも(ではないが)あるパターンの1つだ、そう考えて後ろを振り向き男を蹴り上げる。しかし足は空を舞ったようだ。男は他の男から情報を得ていたらしく、美浪の行動パターンがわかっていたらしい。そして、いきなり抱きつかれた。彼女はこういう時、いつも蹴り上げて終わっていたのでこの事態は初めて。どうしようかと戸惑っているみたいだ。

「最後まで聞けよ。人がせっかく告は……」

「嫌」

 また彼女は相手の言葉を切った。こういうタイプの奴を怒らすとどうなるのかわからないのか、と思う人もいるのではないか。あーあー、やはり相当きているようだ。

「途中で切るなよな……」

 美浪を抱きしめる力を強める。さすがに痛いようだ。美浪がもがき始めた。「放して」 そう言いたそうだがそれも無理そうだ。美浪も限界が近い。かといってどうすることもできない。もう抵抗する気力も薄れてきたようだ。

 美浪が諦めかけていたその時、急に男が苦しむような声が聞こえたと思ったら体が解放された。一体何があったんだろう、そんな感じで辺りを見回す。見ると、屋上の倉庫らしきものの上に誰かが乗っていた。髪の長さだけでは男か女かわからない奴だ。美浪はそこでは誰かわからないと思い、その人間の制服を見た。ズボンをはいている所からして完全に男だ。美浪はその男を見上げる。……つもりなのだろうが、男からしたら睨み上げられているとしか思えない見上げ方だったようだ。

「そんなに睨まないでよ」

 そういうと同時にピョン、と飛び降り、美浪のギリギリ前で着地。一瞬踏みつけられるのではないかと美浪は怯えたが、それができるだけばれないように彼女は平然とした態度でいた。

「誰」

 彼女はそう短く彼に問う。しかし、彼はそれには答えないようだ。美浪の言葉を無視して話す。

「かなりモテてるねぇ、藤城美浪サン。もうキミ完全にココの常連さんなのに告白OKする所一回も見た事無いなぁ…。いつか見せてよ。それと、いつも思うんだけど、あの蹴りスカートの中丸見えなんだよ。」

 いきなりそう言う彼に美浪は少々落ち着けなくなってきているようだ。自分は全く知らない相手に名前を知られていたこと(は、いつもの事だとしても)、内容から悟るに彼は美浪が告白されていた場面を何度も見ていたこと、いつも振っていた事を知っていること、蹴り上げた度に美浪の………を見られていたこと、全てが重なったとき、目の前の相手に対して美浪は蹴りを1発お見舞いしてやりたくなったみたいだが、それはさっきの彼の発言のせいでできなかったようだ。それに、いつも無表情の彼女の顔が、赤面している。そして悔しさが出ている。それは誰から見てもわかる表情になっていた。

 そんな彼女を見て彼は「プッ」と笑うと、美浪の頭をポン、と叩いて屋上からさっさと消えていった。「これからは気をつけようね」という台詞と共に。


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