[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
メール
| |
夢ノ花園
14
:
出雲 葵
◆gGTOhi3OZY
:2011/03/24(木) 12:31:50 HOST:zaq7d0440b2.zaq.ne.jp
<<情報>>
real
ドアを開けるとそこはやはり花だらけの楽園、花の天国。屋上と言うだけあって風邪が強く、少し冷たく感じられる。ドアを開けた瞬間吹いてきた風に乱された髪を直し、前へ進む。昨日彼が乗っていた倉庫。あそこからならこの屋上全てが見られると思い、登る所がどこかに無いかと倉庫の周りを歩いた瞬間。聞いたことのある声が上からかかってきた。
「あれ。今日は1人?」
彼女がここに来たのは昼休みが始まってすぐ。来るのを待っていようと早めに来たのだが、もうすでに彼は来ていたようだ。まるで四六時中ここにいるみたい、そんなことを思ってから彼女はやっとその声のする方を見上げる。そこにいたのはやはり美浪が探していた、気になっていた彼。にっこりと笑ってこちらを見ている。その表情からは何を考えているか読み取れなかった。
「アンタに用があって来た」
用件だけをまとめて返す。「1人なのが当たり前」という意味も含んでいるのだろう。
「俺に?そりゃあ光栄だ。こんな美人さんに自ら出向いてもらえるとはね」
全然真面目じゃない、そう思われる態度、言い方で彼は言葉を返す。そんな態度の彼を美浪は「話しにくいから降りてきて」という意味も含んだ目で睨む。今度は完全に「見上げる」ではなく「睨む」のようだ。そして、それが伝わったのか彼はまたぴょん、と飛び降りてきた。それと同時に美浪は目線を合わせ、彼に問う。
「アンタは、誰」
昨日も言ったこの台詞。また無視されるのではないかと思いながらも美浪は聞いた。すると彼はニコッと笑いかけ、美浪の顔を覗き込むようにして見る。美浪は一瞬だが後ろに仰け反った体制を、すぐに元に戻す。
「そんなに俺の事知りたいの?」
そう美浪に問う彼の顔は、何か企んでいるようにも見える。……、が、見えるだけで本当にたくらんでいるのかはわからない。美浪はそれには答えず、じっと相手の顔……、いや、眼を見ていた。ただ、答えを求めて。
「……そっか。じゃあ教えてあげる。」
美浪は聞き洩らしが無いように意識を耳に集中させる。
「サトウ ハルキ。漢字は教えない。
俺の漢字、クラス。そして、シュミ。
全てを知って、答えられるようになったらまた話しにおいでよ。
いつでもココにいるから。その時はキミが知りたいこと全てを教えてあげる」
“いつでもココにいる”……授業をサボっているのか、そう言いたげな彼女だが、そこら辺はどうでもいいらしい。それより、この「サトウ ハルキ」という人間の事を花音に聞くとして、漢字、クラスはわかるだろうが趣味までわかるかな、そういうことを考えていたようだ。こういう時、花音がいてよかったとかなり思っているらしい。が、それを思ったのもつかの間、彼はこんな事を言い出した。
「ただし、この学校内には俺の協力者が8割以上、下手したら9割居ると考えていて。
その人たちに俺の情報はキミに一切流さないようにメールを送る。
一斉送信で今から送るから、まあまず難しいだろうね。
その条件下で、の話だよ。
あ、送り終わるまでキミはココにいてね」
いきなり訳のわからないことを言い出し、いきなり左手で腕を掴んできた彼に、美浪は混乱を隠せなかった。そんな美浪を見向きもしないで、いつの間にか何処からか取りだした携帯を持ち、かなりのスピードでメールを打ち続ける彼。しばらく経つと、落ち着いてきた美浪は冷静に考える。すると、この学校のほとんどの人間が協力してくれないということが分かってくる。いや、まぁ美浪の事だ。花音以外頼らないのだろうが、花音は「情報屋」として少しばかり有名な為、花音は絶対に教えてくれないだろうと思う。しかし、ほとんどの人間が協力者ということは、彼はこの学校ではかなりの有名人ということになる。周りに全く興味が無かったことに、改めて後悔せずにはいられない美浪だった。……またすぐに振り払ったが。
「逃げないから掴まないで」
やっと彼女から出た言葉は、こんなものだった。こうなった以上彼の事を知るには受け入れるしかないとわかっているからだ。別に知らなくてもいい事なのに、今、彼女の脳内には「調べる」という言葉しかない。何事にもほとんど無関心だった彼女をやる気にさせるのは、何故なのだろうか。美浪は何かが突っかかっているままで、それを取り払いたいのだろうが、これはそう容易いものではない。彼女も十分わかっているはずなのにどうしても知りたいようだ。が、とりあえずはどうすることもできず彼がメールを打ち終えてから屋上を去り、午後の授業を受け、そして考えたまま帰宅する美浪だった。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板