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Il record dell’incubo〜悪夢の記憶〜
67
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2011/10/23(日) 21:58:32 HOST:i121-114-185-226.s04.a001.ap.plala.or.jp
第六章 終末への歯車は狂い
平和。体育最後何の事件も光狩りも起こらずに流れた一週間はそんな言葉がぴったりだった。闇も光を見て怪しい笑みを浮かべるだけで、実際に手を出してはこなかった。始めのうち
は警戒していた湊や羽音、風雅はすっかり安心しきって自堕落モードに突入している。行事もしばらくないせいか仕事も少ないのだ。もちろん各部活からの嘆願書もあるのだがそれを確
認するもの案外すぐに終わってしまうので意味がない。呆れたような表情で淡々と校内に仕掛けてある監視カメラと睨めっこを続ける優希。楓の方は黙り込んで何かを考えているようで
あった。そんな学園生活が一週間も続いたわけである。
優希と楓だけはあの闇が一週間も大人しくしているのは可笑しいといって警戒を解くことはなかった。警戒を解いているのは前記どおり湊、羽音、風雅、それにプラスしてもともとお
気楽人間である憐と涼ぐらいであった。もっとも憐と涼の場合はもとより警戒していないだけなのだが、高等部メンバーから見れば、二人はまだ初等部なのだから仕方ないことなのらし
い。
「近いうちに火蓋は落とされる……何とか、何とかしなきゃ……」
ボソリと優希が呟いた。普段は一切見せないような苦悶に満ちた表情。そんな優希の様子に気づいた湊は不思議そうに優希の顔を覗き込む。その二つの瞳がまっすぐに優希を捉えて、
ジッと様子を伺っている。優希は小さく、呻き声にも似た声を上げて隠し事をする子供のようにプイッと顔を逸らした。そんな優希の態度に訳が分からないと言うかのように首をかしげ
て、優希の顔を覗き込むのをやめた。それでも首はかしげたまま優希の様子を伺う。羽音までもが様子に気づいて首をかしげる中、風雅だけは気にも留めずにイヤホンをつけて音楽を聴
いていた。駄目人間である。
妙な沈黙が続く。誰も言葉を発することをせずに顔を見合わせていた。そんな沈黙を破ったのは乱暴にドアを開く音。飛び込んできたのは平和だった生徒会室には似合わない、血に染
まった少年。呼吸のたびにもれる荒く、妙な音、ぽたぽたと滴り落ちる赤。そんな異常な状況を見て生徒会メンバー全員が思わず息を呑んだ。湊が「涼!?」なんていう風に少年の名を呼
んでいるのを横目で見た後、風雅は少年、涼を生徒会室に引っ張りこんで、ソファに寝かせた。小刻みに震えて涙を流す少年を見て、大慌てで少年に近づく羽音。そしてその小さく動く
唇に耳を近づける。
「憐が死んじゃった……アイツ、憐の言霊も、僕の歪曲も効かなくて……」
かすれた声。目を見開くのは優希だ。……言霊の少女、憐。性格こそお気楽で、何でもテキトーであるがその能力は確かに学園の中じゃトップクラスのものだった。直接人の命は奪え
ないとしても、言葉一つで間接的に人を殺めたり、運命さえも捻じ曲げてしまうであろう能力。防御の面で言えばただひとつ、自分には一切傷がつかないなんて指定するだけで、絶対的
な防御力を得ることが出来る。足が切り落とされると言えば、それも実現されるし、実際のところ勝負の勝敗でさえも言葉一つで決定してしまう、そんな能力を持った少女が殺されたと
言うのだ。ありえない、そう呟いて優希はきつく手を握った。
小さく音を立てて湊が立ち上がる。小さな声で「アイツ、実の妹を殺しやがった」と呟いて、フラフラとドアの方へと歩いていく。風雅と羽音は訳が分からないと言うように首をかし
げて湊の様子を見つめていた。優希は静かに「どういうことだ? 人物が特定できたのか?」と湊に問いかけていた。もしそうならば自分が潰しに行くとでも言うかの様な表情で。ただただまっすぐと湊を見つめる。
「言霊には一つ弱点があります。……神、もしくはそれらが行使する力相手には宣言が適用されない。この学園で神の力を行使できるのは召喚能力の霧月蓮だけです」
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