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Il record dell’incubo〜悪夢の記憶〜

64霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2011/10/09(日) 01:15:08 HOST:i118-21-88-153.s04.a001.ap.plala.or.jp
 背中の翼を消し、風雅は笑う。思っていた以上に平和的な競技に安心したのだろう。何ださっきまでの心配は杞憂だったんじゃないか。そう考えてゴールまでひた走る。横にぴったりと並んで走りながらパンを口に含む優希を見て行儀の悪い奴なんて呟いて、余裕たっぷりの面持ちで。その後ろから聞こえてくる桜梨の罵声と、悲鳴もなんだかよくあるもののような気がして……。いや、罵声自体は普段から優希をはじめ、光の同級生達に散々浴びせられているのである意味日常の一コマと化してしまっているのは事実であるが。
 急に、何の前触れもなく風雅と優希の走るスピードが落ちた。対して急にスピードを上げて風雅と優希を抜かしていく桜梨。すれ違いざまに「スピード、ありがとさん」なんていう言葉を残して……どうやら風雅と優希から速さを奪ったようである。後ろから月華が「おおい!? 置いていくなよぅ!」と声を上げるが、待つどころかチラッと後ろを確認することさえせずに桜梨はゴールテープを切る。むしろ先ほどまで自分を追いかけて猛ダッシュしてきた人間を待つと、パンを取るために踏み台にしたことの仕返しを何らかの形でさせられそうで怖いのだろう。
 はぁ、とため息をついて風雅と優希に奪ったスピードを返す。その瞬間に走るスピードが上がり、走っている本人達の方が戸惑ったようだった。優希は驚きすぎたのか転びそうになってしまっている。対して風雅はすぐに慣れたのか何の苦もなく走っていく。優希をあざ笑うかのような笑みを浮かべて。そのまま順位が入れ替わることはなく、結局順位は桜梨、風雅、優希、月華となる。月華が桜梨に対して何か喚いていたが、桜梨は面倒くさそうに手で払うような動作をした後に、パンを口に含むのだった。優希は優希で風雅になぜ桜梨を抜かさなかったと詰め寄っていたが、風雅にお前も抜かせてなかったじゃんなんて返されてあっさりと黙り込んでしまった。

                                 *
 時間は過ぎ、いつの間にか午後。最後の競技、選抜リレーが始まろうとしていた。選抜と言いながらも生徒会チームは人数の関係で全員参加。さらに闇の生徒会チームのほうは光の生徒会に比べて人数が少ないため、誰かが2回走ることになるようだ。小さくため息をついて念入りにストレッチをする刹。一般生徒チームが駆け抜けるのをのんびりと眺める。ぶっちゃけ生徒会メンバーが全員参加するような競技を一般生徒と混ぜて行うと大変危険だ。一人、二人が混ざってやるならばある程度の加減は出来るのだが、人数が揃うと個々の力が小さくても大きな力となってしまう。それ故に選抜リレーだけは闇と光双方の一般生徒チームと生徒会チームは別々に競技をすることになっていた。競技の見た目の派手さから生徒会チームが最後の種目である。
 現在の得点差は人数が少ないながらも、一回の競技で一般生徒の倍以上の点数が入る生徒会チームがトップを僅差で争っている。一般生徒チームも大健闘。リレーの結果次第では逆転が可能な位置に立っている。まぁ、別々に競技をするといいつつも、結果は混同で出すため、希望は薄いのではあるが。


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