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Il record dell’incubo〜悪夢の記憶〜

53霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2011/07/31(日) 19:17:23 HOST:i114-180-251-220.s04.a001.ap.plala.or.jp
 「蓮、今日は仕事休んで良いですよ。お姉様が一人で全てを終わらせましたし」

 刹が笑いながらそういえば、蓮は無言で顔を上げて無言で刹の顔を見つめた。不思議そうに首をかしげる蓮を見てため息をつけば「まぁ、休ませる代わりに僕が監視に入ることになりますけどね」なんて言って、横においてあった日本刀に触れる。ああ、食堂での一件で警戒でもされたのだろうか、そう考えて苦笑いを浮かべた後、力なく顔を伏せた。不満は特にないし休めるのなら蓮にとっては万々歳である。そんな蓮の様子を見て小さく、同情のこもった笑みを浮かべた後、刹は黙って本を読み始めるのだった。

                  *
 そんな頃、湊と優希は屋上にいた。こちらは会計、生徒会長選抜情報処理がいない闇の高等部生徒会のように掛けているものはないし、優希と羽音、楓なんていう具合に仕事を片付けてしまうのが早い奴も多い。それ故に特別な行事がない限り、授業がない日は休日になることが多かった。目の見えないはずの楓の仕事が速いのは少々謎だったが、能力かなんかで何とかしているのだろう、湊はそう考えている。優希の仕事が速いのは中等部でも生徒会に入っていたから、効率のいいやり方を分かっているのだろう。その点、同じく中等部から生徒会をやっている湊の仕事スピードが人並み以下なのが気になるが。そんなことをほかの生徒会メンバーに尋ねれば、決まってあの人の仕事は丁寧すぎるからと返ってくるのだった。
 ぼんやりと屋上から見える町並みを見つめる優希と、黙って空を眺めている湊。お互いに特に言うこともないらいしくそれぞれがぼんやりとすごしている。傍から見れば少々おかしな光景だがほんたちは微塵も気にしていないようである。喋りもしないのになぜ同じ場所にいるのかと言われれば、始めは会話をしながらゲームをしていて、話題がなくなってしまったからだ。ゲームにも飽きたし、話すこともない。帰ってもやることがないから帰りたくもない、そういう訳があってお互いが無言でいるわけだ。偶然会ったのなら気にしないだろうが、元々遊んでいたのだから気まずくて仕方がない。

 「あ、えっと、そういえば三宮さんの能力って特殊ですよね、蓮さんのもそうですが……能力定義に当てはまらないと言うか……」

 沈黙を破ったのは湊だった。少し遠慮気味にそういえば優希に貴方もそうでしょなんて返されて黙り込んでしまう。それを見た優希は少し困ったような表情をした後、前髪を掻き揚げて「そもそも能力の定義がここでは曖昧だろうに。色々な制限があって、誰にでも発現する可能性あり魔力を使わなければ能力なんて」と言葉を紡ぎ始める。それを聞いた湊は僅かに首をかしげてもうちょっと色んな言葉がついていたような気もするがなんていう風に考える。それを見て優希は苦笑いを浮かべながらも次々と言葉を紡いでいく。特についていけなくなることもないらしく湊は黙って聞いたり、質問を投げかけたりして会話をつなげていく。

 「んで俺や貴方、蓮の能力が特殊なのはおそらく魔法から劣化したものだから、だと思いますよ。ああ、植物を操る奴と幻覚を見せる奴は普通の能力でしょうけど」

 はい? なんていう風に間抜けな声を出して湊が首をかしげた。いきなり話が飛躍しすぎな気がすると考えながら必死に理解しようとする。面白そうに笑いながらも優希は話を続けていく。何でも始めは魔法使いの系統の一族、もしくは魔法使いだったのがいつの間にか魔力の生成が出来なくなって、魔法を能力として組み上げ直した結果だとのこと。それを聞いて湊は苦笑いを浮かべて「だから、能力定義にも当てはまらない、と……だとしたら僕たちの能力が出来るまで相当時間かかってますよね」なんていう風に笑っていた。優希の方も軽く笑って小さく頷く。笑いながらも付け足すように言葉を続けていく。

 「と言っても憶測でしかないですけどね。つか俺らの能力能力定義に当てはまらないところが多いと言っても、出来ることは一応限られてるし、禁忌もあるだろ」

 ご尤もです、そう小さく呟いて、湊は頷いた。


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