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Il record dell’incubo〜悪夢の記憶〜

52霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2011/07/31(日) 01:01:55 HOST:i114-180-251-220.s04.a001.ap.plala.or.jp
 さっきは押さえ込まれてしまったが、あれは正気じゃなかっただけ。本来身長百三十四センチメートルで小柄な悠斗に力で負けるわけがなかった。確かに蓮も平均から比べれば小柄だが、悠斗ほどではない。そうでもないと思っていたが体格によって力は変わってくるようだ、蓮はそう考えて吐き捨てるかのように笑う。もっとも鍛えていない人間同士だからの話であろうが、そんな事はどうでもいい、そう考えて蓮はゆっくりと立ち上がる。立ち上がるのに手をついた台にはまだ湯気の立っている味噌汁の乗った台。俺こんなに残してたっけ? そんな風に考えながらも蓮はまっすぐ悠斗に目を向ける。

 「あーあ。むかつくなぁ、人殺しの半端ものの癖に」

 その言葉を聞いて蓮は無言で、味噌汁を手にとって悠斗に向かって投げつけていた。人殺しだと言うのならお前も同じだろうが、そう考えながら悠斗を睨みつけてやった。すっきりしたと言うわけでもないが、あまり暴れても月華に報告書を書かされるだけだ。もうさっさとこの場を離れよう。そうすれば聞きたくない言葉も聞かなくてすむ。そう考えて蓮はさっさと食堂から立ち去る。しばらく突然の味噌汁攻撃で悶えていた悠斗は「失敗かよ」とだけ呟いた。それは普段の間延びした物でも、誰かの口調を真似たものでもない低く、響きのないものだった。心底不愉快そうな表情をした後、さっさと立ち上がって食堂から姿を消す。まるで空気に溶けるように、音もなく……。

 「能力定義、か」

 寮に向かって歩きながら蓮は小さな声で呟いた。能力でも魔法でもない自分の力は何なのだろうか、そんな風に考えては思考が堂々巡りを繰り返して、小さく肩をすくめて笑った。どちらにせよランクは出ているのだし、能力か魔法かなんて知らなくても力を使うのに支障はない。能力は出来ることが限られているし、必ず能力を使えなくなる条件や状況がある。蓮にはそれがないがむしろそれは好都合だった。安全に使うために極力時間や召還数を一定に保とうとはするのだが、暴走覚悟ならそれを守る必要もない。出来ることは召還して、召還した物を自在に操ることと召還するものの種類から考えると範囲が広めだ。……そう考えるとやはり異質なのかもしれない。
 面倒なもんだな、吐き捨てるかのようにそう呟いて、蓮は寮の自室のドアを開いた。閉めたはずの鍵はなぜか開いていて、蓮は僅かに首をかしげる。コートの中から拳銃を取り出して、一気に部屋の中に踏み込む。そこにいたのは刹だった。床に正座して優雅にお茶を啜っていた。何で今日はこうも朝から疲れてばかりなのだろうかそう考えてもう、ツッコムことすらやめた。一度、刹にツッコムとそのまま刹のペースに飲まれてしまいそうで嫌だった。これ以上体力使ったら身が持たないなんて考えている。唯一の救いは今日は休みで授業がないことだけだろう。……生徒会の仕事は山積みだから休みかと言われれば違うのだが。

 「お疲れ様です。よく我慢しましたね」

 フッと顔を上げた刹はにこりと笑って言った。何で上から目線なんだよこいつ、そう思うも何も言わないでおく。もう言葉を発するのすら面倒だった。刹を無視し、拳銃をテーブルの上に投げ捨てて、ばたりとベッドに倒れこんだ。それを見た刹は怒りを見せるような様子もなくクスクスと笑っていた。笑われている、そう思うとなんだか妙に不愉快だが声を出してまで怒るような気さえ起きなかった。相当ダメージを受けてるんだな俺、そんな風に考えて蓮は息を一気に吐き出した。

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何なんだろう、この蓮の一人舞台……


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