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Il record dell’incubo〜悪夢の記憶〜

46霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2011/07/18(月) 01:01:50 HOST:i121-114-188-23.s04.a001.ap.plala.or.jp
第四章 能力定義と禁忌

 早朝。ゆっくりと体を起こして時計を確認する蓮。彼がいるのは寮の自室である。寮の部屋と言われると数人で一つの部屋を使うとイメージがあるだろうが、ここ聖鈴学園は違う。この学園に入った時点で一人につき一部屋の部屋を割り振られそこで生活することになるのだ。食事等は各寮で出されるため自炊の必要は無い。なぜ一人で一部屋を使うのか、それは単純に、能力者、魔法使い、吸血鬼など様々な種族の子供が集まるとなると、各種族の相性の悪さやすごし方の違いが大きく出てきて、ストレスになってしまうことが多い、と言う理由だ。たとえば魔法使いたちは朝、決まった時間に起きて魔力生成のために身の清め、数分間の祈りの時間を必要とする。その時間が無ければ魔法使い専攻の授業に支障が出たりするし、何よりも同室の人間にとっても迷惑な話かもしれないのである。
 ちなみに、魔法使いとは逆に能力者は、前日に使った力の分、長い眠りを必要とする。そんな能力者と魔法使いが部屋を組んでしまうとどうなるか。能力者が本来の力を発揮できなくなってしまって、専攻授業に支障が出る。前日に力を使いすぎた能力者が遅刻することもあるのだが、無理矢理起きて学校に来たものの、専攻の授業で倒れました、なんていうのも洒落にならない。他にも魔法使い、能力者両者共に吸血鬼と同室になった場合には吸血行動によって酷い目に遭う、なんていう前例があるためか吸血鬼は明らかに部屋組の対象として除外である。
 ならば能力者同士、魔法使い同士、吸血鬼同士で部屋を組めば良いのではないだろうか? そう思うであろうが、全員が全員、大きかれ小さかれ何らかの力を持っているわけである。寮の中で喧嘩なんて起こった日には酷いことになるだろう。いや、一応はそれなりの自体には対応できるように設計されているが。ただやはりそのような喧嘩で大怪我をされるのも面倒だ、そんな理由で個々に部屋が与えられているのである。

 「ん……もう朝か」

 小さく伸びをして蓮はベッドから降りた。欠伸をした後、時計を見てため息つき、無造作に投げ捨てられている自らの制服を拾い洗濯籠の中に放り込む。とりあえず顔を洗って、髪を整える。ため息をつきながら歯磨きをしながら、そういえば俺、何で髪を伸ばし始めたんだっけなんてことを意味も無く考えていた。歯磨きが終わった後はクローゼットから制服を取り出してさっさと身支度を調える。

 「眠い……夜更かししすぎたな」

 ボフンッとベッドに倒れこみながらそう呟く蓮。蓮の場合の眠いは能力を使いすぎたからではない。そもそも蓮の能力はあまりにも能力としてのレベルを逸脱しているのだ。能力はあくまで狭い範囲で物事に些細な変化を及ぼすものである。高レベルになれば飛びぬけたことを出来るようなるような連中もいるが、それでもやはり制限時間や有効範囲、使用可能回数など様々な制限が付くことになる。蓮の場合は多くの制限が“安全に使いたいのなら”と言う感じの制限であるため破ることはたやすい。能力だとすれば高度よりもさらに上と言えるようなものなのである。しかし魔法使いだとしても蓮には魔力の生成なんて出来ない。力を所有している蓮でさえも自分の能力ないったい何なのか把握できていないのである。
 もぞりと手だけを動かしてベッドの横においてある紙の束を手に取る。その紙には“不死鳥、フェニックス”と大き目の字が書いてあった。ベッドに寝転がったまま書類に目を通していく。魔法としての召還の仕方、役目など細かくまとめられている。能力としての召還方法も書いてあるがなんだか胡散臭いほどに面倒くさい手順を踏まなくてはいけないようだ、そう考えて蓮は深くため息をついた。


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