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Il record dell’incubo〜悪夢の記憶〜
45
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霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2011/07/11(月) 22:00:51 HOST:i121-114-188-23.s04.a001.ap.plala.or.jp
その後はもうあっというまだった。当初まだ初等部だった俺達はあっさりと捕まってしまう。明らかに殺されそうな雰囲気で、捕まる寸前に俺は風の妖精、シルフィードを召還して、つかまった後もとにかく攻撃を仕掛け続けていた。でも、俺の力だって万能じゃない。制限時間が来てしまいシルフィードは音も無く解けて消えた。……抵抗の手段が無くなった瞬間だった。振り下ろされそうな安っぽい剣の刃をただただ睨みつけて、交わすことだけに集中した。
そこに息を切らしながら桜梨が突っ込んできた。鋭い目つきで高等部ぐらいの連中を睨みつけたと思えば、いつの間にか剣はすべて桜梨の手元へと移動していた。遅れて湊や楓、優希もやってきて、一見俺らの逆転のようにみえんだ。大きな問題は隠れていた連中に気づけなかったこと。……なぜそのときに周りを確認しなかったのか、俺は悔やみ続けている。
フッと氷の刃が楓の足に突き刺さった。氷を操る能力なんて珍しくなかったけど、仲間が一人やられたってことで俺の気はすっかり動転していた。それにその寮にいるのはクラスメートや一応の友人が多くて、それらの人も殆ど殺されてしまっていて、俺はどうして良いかわからなかったんだと思う。次に氷の刃が向かったのは湊だった。それでも湊は楓の件で警戒していたこと、楓と違って目が見えたこともあってあっさりと避けていた。それでも最終的には何十個の氷の刃が一斉に飛んできて体を切りつけられて、床に突っ伏す。……そのときの俺には絶望しか見えない。
低く優希が舌打ちをして反撃に移ろうとしたけど、元々優希の能力はかなり特殊なもので、しかも呻き声が響く中で発動できるようなものでもない。威力は絶大だがかなりの集中力を必要とするんだ。楓のうめき声に気をとられて能力を発動出来なかったらしい。桜梨の力でどうにか相手の能力を剥奪したところで俺の中の枷が音を立てて外れた。……高等部ぐらいの連中が楓や優希に手を出そうとしたのが原因だったと思うが、そこは記憶が定かじゃない。
「蓮!! もう召還はするな。いつもみたいな制御は絶対に出来ない!!」
桜梨がそう叫んだけど、俺にはどうすることも出来なかった。意味さえ分からなかった。力の暴走だ。勝手に炎の妖精、サラマンダーが召還されて、あろうことかそいつが放った炎の刃は刹に向かって飛んでいった。桜梨も剥奪の能力を使えばよかったのに、それをせずに刹と俺の間に割って入った。突き刺さった炎の刃が肉を焼く臭いを嗅いで……その後は取り乱して暴走を余計に酷いものにしただけだった。気づけば桜梨がすっかり動かなくなっていて、それと比例するかのように俺の力が気持ち悪いぐらいに渦巻いて……その後の記憶は無い。
目が覚めたら病院のベッドの上にいた。先に退院したという湊と優希に話を聞けば俺の能力が暴走をして何人か高等部ぐらいの奴等を殺した、らしい。桜梨もそいつらと同じような死に方をしていたって。優希は最後まで意識があって、全て見ていたと言っていた。能力を使えなかったことを泣きながら謝られた。悪いのは俺なのに何度も、助けられなくてごめんだとか、とめられなくてごめんって……。
優希は触れなかったけど、優希自身も大怪我をしていて、どうやらそれも俺がやったことらしい。……覚えていないなんてつくづく無責任だと思う。桜梨の墓に案内されたときはただ信じたくなくて、湊に八つ当たり紛いに怒鳴りつけたりした。……そこで湊に桜梨の能力で俺の能力をある程度奪ってコントロールしていたということも聞いたんだ。出来ることなら時間を戻したい……そんなくだらないことをいまだに考えている辺り、俺は何にも成長していないのかもしれない。俺はつくづく馬鹿だと思う。自分の力量を考えないし、うじうじと、過ぎ去ったことを考え続けて、悔やみ続けて、一切前に進めていない。……桜梨が見たら怒るのかな? 呆れられて終わりかな?
NEXT Story〜第四章 能力定義と禁忌〜
メモ帳にまとめて書いたら、思っていた以上に長くなりました。パッと見分かるとおり、本編に直接的な関わりはございません
……本当にただの一人ごとですね
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