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小さな街の中で。

15とある人:2011/04/10(日) 16:17:23 HOST:KD111098194105.ppp-bb.dion.ne.jp
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 「久しぶりにお邪魔しまーす。」
雄哉は博也と一緒に彼の家に入る。
「久しぶりだね、雄ちゃん。」
迎えてくれたのは博也の母親だった。
「ども、お久しぶりです。」
「しばらく見ない間に大きくなったね。」
「せいぜい一ヶ月くらいですけど。」
博也が雄哉に近寄り、彼を見下ろす。
「何?」
博也は答えない。
「なんだよ。」
しばらくして、彼はやっと口を開いた。
「百三十八センチ。小学四年生の平均身長。いつも通り二年遅れの成長だな。」
「うるせえ!余計なことを言わなくていい!」
雄哉は博也の頭をぺしっと叩く。
「ところで、雄ちゃんは今日ご飯食べていくの?」
博也の母親・・・面倒くさいから博也母でいいや。博也母は言う。
「ええ、頂きたいです。」
「分かったわ。ご飯大盛りがいい?」
「いえ、普通でいいです。」
そう、と博也母はいい、台所に戻っていった。
「ホントはたくさん食べたいんじゃないのか?遠慮しなくたっていいんだぞ?」
「俺が食べたいのは肉とか魚とかだ。」
「どうせ小さいんだから食べなくても同じじゃねえか?」
「てめえ!」
二人は格闘を始める。
 しばらくどたばたやっていると、
「うるさいよ、近所迷惑だよ!」
という声が聞こえた。二人が声の方を向く。そこには博也の妹、大垣香也が立っていた。
「静かにしなさい、のっぽとチビ。」
「お前にだけは言われたくねえ!」
香也は小学四年生だが、やはり小さめで、小学三年生に見える。
「あんたとは違って一年遅れだもんね〜。べ〜。」
そういって、香也は舌を出す。
「てめえ!お仕置きしてやる!」
そういって雄哉は香也を捕まえ、頭を両手で圧迫する。
「ぐりぐりの刑だあ!」
「いやぁーー!! セクハラーー!!! ケダモノーー!!!!」
「人様が誤解するようなことを言うんじゃねえ!」
十秒ほど香也の頭をぐりぐりし、雄哉は手を離した。
「や〜い、チビ、チビ〜!!」
そういって香也はリビングのほうへ逃げていった。
 雄哉は舌打ちし、
「あいつは大垣家の中で一番うざくて一番扱いにくいな。」
と言った。
「同感だ。」
博也も頷く。
「二階行こうぜ。」
雄哉が催促する。

 二人で二階に上がる。
「ちょっとパソコン貸してもらうぞ。」
「ああ。」
雄哉は博也のパソコンを起動させる。立派なデスクトップだ。インターネットブラウザを開き、あるボタンをクリックする。
「ふむふむ。博也はこのようなサイトへ行っているのか。」
博也は不審に思い、パソコンの画面を覗き込む。左端にウィンドウが開かれていた。
「り・・・履歴を勝手に見るなぁぁぁぁ!!!」
博也の顔がたちまち紅潮する。これだけは見られたくなかった。
 博也は雄哉の手からマウスを奪い取り、履歴画面を閉じる。
「博也、気持ちは分かるが、あのようないかがわしいサイトに行くのはどうかと思うぞ。」
「てめえ、ぶっ殺すぞ!」
「黙れ、t●●●8.」
「くっ・・・・・・。」
博也は言葉に詰まる。何も言い返せない自分がもどかしかった。
「博也ぁ。」
雄哉は椅子の上に立ち上がり、博也を見下ろす。
「呼ばれるならt●●●8とカ●●●●コム、どっちがいい?」
「やめてください!どうかやめてください!!」
必死に懇願する博也。雄哉に大変なことを知られてしまった。
「まあいい。この情報は必要なときに有効利用させてもらおう。」
―とりあえず今のところは大丈夫だ。
 博也はほっ、と一息つく。
 しかし、ある事に気付く。
(待て、安心しては駄目だ。こいつは何をするか分からない。落ち着け、博也。そして最悪の事態を考えろ。奴は必ず・・・・・・)
「その少し斜め上を行く。」
「自覚してんじゃねえよ!」
雄哉は椅子から飛び降り、ベッドの上に着地する。
「ん〜。誰にこの情報を売ろうかな〜。」
「う・・・・売るんですか。」
雄哉の発想は博也の予想の遥か斜め上を行っていた。
「それともシンプルに美野里に言ってみるか。」
「それだけはやめろ!」
普通に戻っていた。
「さて、下に降りるか。」
雄哉は階段に向かう。
「何がしたかったんだ、お前。」
「お前の弱みを握るためだ。」
「たったそれだけのために!?」
 ――ドグラ星の王子に似ている。
博也はそう思った。


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