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真実の瞳とサーカス団
35
:
りほ
:2010/12/24(金) 13:57:50 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
頬に冷たいナイフがあたる。
その冷たいナイフに生暖かい真っ赤な血が流れ落ちた。
緋色は痛いと声も出さずルシファーを見つめた。
いや、見つめるしかなかった。
その反抗的な瞳が逆にルシファーを逆なでたようだった。
「なんだその眼は……。」
何も言わずに、じっとルシファーを見つめ続ける。
「こっ……この!!!」
ルシファーはナイフを持ってない、左手を掲げて緋色を平手打ちしようとした。
「!!」
緋色はギュッと目をつぶる。
助けて―――
「何やってんだよ、おっさん。」
明らかにルシファーじゃない、幼い男の子の声が聞こえた。
ふと、顔を上げてルシファーの方を見る。
「クッ……クロイ!!!」
ルシファーの左手、平手打ちをしようと空に掲げた手に、クロイが片足で乗っていたのだ。
その手にはレイピアを持ち、レイピアの刃先はルシファーの喉元に伸びていた。
「ほんっと、こんなおっさんに団長の名前汚されるとか最悪だ。」
リンはいつのまにか荷台の上に座っていて声を張り上げる。
「なっ……なにしやがった!! かっ……体が動かねぇ!」
「ちょっと、あなたの自由を奪わせてもらっただけ。」
リンがにっこりと笑う。緋色にはリンの背後に大蛇が見えた。
「あと、一言でも喋ってみろ。お前を虫地獄へと招待してやるよ。」
クロイが低い声で悪態をついた。
「緋色、大丈夫?」
リンとクロイが聞く。
緋色の目の前で、ルシファーが助けてと泣いている。
リンとクロイは思いっきりルシファーを無視した。
「大丈夫だけど……何が起こったの?」
そういうと、緋色は目にかかった前髪を掻き分けた。
ドクン!
「…………」
また緋色の目の焦点が合わなくなった。
ぶつぶつ呟くばかり。
クロイはまたあの時と同じだと思い、緋色の声をかけた。
「ひっ…緋色?」
前の時とは違い、緋色の目の焦点はすぐに戻った。
「あははは。だっ……大丈夫。」
リンとクロイは目配せした。絶対に緋色には何かある。クロイは確信した。
そして、リンは団長に渡したあの資料を思い出した。
そして、あれは本当なのだと一人頷いた。
『能力:特になし。だが―――』
「リーーーーン!」
「今行くーーー。」
リンは返事をして駆け出した。
『だが―――真実の瞳の持ち主である可能性が高い。』
続く…
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