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真実の瞳とサーカス団

34りほ:2010/12/23(木) 21:17:49 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
「ぐんじょ……?」
 まるで、ここ砂漠の国に溢れかえっている砂のように、一瞬で消えた。
 目をごしごし擦ってみた。頬を抓ってもみたけれど、夢じゃない。
 ゴンゴンゴン!
 ルシファーが窓をゴンゴン叩いた。待たされたのがご立腹のようだ。
「……どうやって出ればいいの?」
 『絶対に、ルシファーの機嫌を損ねないほうが良い。気をつけるんだよ。』
頭の中で群青の言葉が響く。よし、群青をだましてやる。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 まさかのまさかだった。ルシファーが叩いていた窓の下、縦1mくらいがまさか隠し扉だったなんて。
そこを四つん這いになって荷台だった車を降りると、
「あの船に乗って国外に逃げるぞ。そのために人数確認は大切だ。
 お前、パスポート持ってるよな? 言っとくけど逃げるんじゃねーぞ。」
 ルシファーは遠くの海に止まっている豪華客船を指差して言った。そして、
速く車に乗れとだけ言うと、運転席に乗った。もう酔いはさめてしまったようだ。
 ブルルルル。
 エンジンが鳴り響く。これって絶対に省エネなんかじゃないはず。
「お前は俺の妹って役だ。分かったか? 絶対にばれるんじゃねーぞ。」
 毎回、外国に逃亡するときはこういうふうな打ち合わせ的なものをする。
前は従姉だったし、その前は娘役。そのさらに前は、ルシファーが変装して
緋色が孫役をしたときもあった。
「ねえ。群青も一緒なの?」
「はあ? なんだそれ、ぐっ、ぐんじょ……?」
 えっ!?どういうこと……
「サーカス団どうだったか?」
「……うーーん。1日だけだったし。知らない。」
 びっくりした。いきなり質問とか、今までではありえなかったし。
 そう言うとルシファーはにっこりと笑う。
「だよな。俺、実はお前のこと結構気に入ってたんだぜ。」
「大体さ、あんな奴らサーカス団らしいけど絶対嘘だね。
 あの、団長だっけ? あいつもいきなり1000出すとか空気読めてないにもほどがある(笑)
 あんなふざけた団長のサーカスなんてクソ以下だよ
 あんな奴らはさ、ぬくぬくと遊んでりゃいいじゃねーか。な?」

 ごめんなさい。群青。群青の言ったことを守るつもりだったけれど、
無理っぽいや。団長は私に名前をくれた。クロイとクレアは優しかった。
リンはちょっと苦手だけど、、私を心配して言ってくれたことに違いはない。
「………んの…」
「えっ?」
 海まで、のこり1キロの看板が見えた。
「あんたに何がわかんの……。」
 緋色は運転席の前にあるサバイバルナイフを引ったくった。
そして、刃先をルシファーに向ける。
 本当に思う。あの時が恋しくてたまらない。
この声が皆に届かないなら、もう自分だけで行動するしかないのかもしれない。
 緋色は声をかけた。
「ねえ。私、あんたに前からイライラしてたんだよね。」
「……はあ? 落ちつこーぜ。」
 あきらかにルシファーは顔が青ざめている。冷や汗が流れ落ちる。
 緋色は後ろのドアのロックを解除すると、ドアから落ちようとした。
  逃げなきゃ―― 

「!!!」
 体がガクンとなって、体が後ろに引っ張られた。
サバイバルナイフが車内の床に落ちて、音を立てた。
「逃がさねーぞ。」
 ルシファーは緋色の髪の毛をしっかりと握り締めていた。
「お前がいなくなるのはちと寂しいけどよ、でも充分だ。
 髪だけでも、充分生活できるしな。」
 そう言うと、床に落ちたナイフをサッと拾い上げ刃先を、緋色の頬に当てた。

 助けて―――


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