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真実の瞳とサーカス団

30りほ:2010/12/15(水) 21:15:38 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp


「た――す――け」
「無駄だよ…」
 緋色が必死に叫ぶ声は一人の男の子の声でかき消された。
その男の子は革のバック(よく見るとトランク)の上に座っていた。
 いつの間に!?
「だっ!?」
 緋色が「誰?」と言い終わる前に、その男の子が手で口を思いっきり塞ぐ。
「声、出さないでくれないかな?
 あいつに見つかるとめんどくさいからさ……。ねっ? ラプンツェル。」
 ラプンツェル? 緋色は首をかしげる。あっ!
「もしかして……群青(ぐんじょう)? 」
 緋色は声を潜めて聞く。男の子はにこっと笑いコクンと頷いた。

 群青は、緋色が5歳のころルシファーに連れて来られた。
髪の毛が青くてなのに瞳は茶色で、一目見るだけで綺麗な人だなと思うような容姿だった。
 群青は、最初から自分を群青と名乗っていた。何歳かも分からない。どこから来たのかも知らない。
緋色は、群青のことは何も知らなかった。けれど、群青の隣にいるととても落ち着いて
一瞬だけでもルシファーや、自分が変わってることも忘れることが出来た。
 そして、私のことを髪が長いからといって、ラプンツェルと呼んでたっけ。
だけど、私が10歳になる前に、君はいなくなった。
 あれから、もう2年が経つのか―――

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「クレア、準備できた?」
 リンは片手にサバイバルナイフを持っていてクルクルペン回しをするよう
にして遊びながらクレアに聞いた。
「あったりまえよ。あんたこそ準備できたんでしょーね!?
 ってか、なんでサバイバルナイフなんか持ってんのよ!」
「これは、サーカスの舞台で3日後にやる技に使うのよ。
 ナイフをお手玉にの代わりにして投げるの。
 例えば5本とかで。フツーでしょ?」
 いやいや、フツーじゃねーだろ。
クロイはそう思いながらも口に出さなかった。
「さあさあ、やりますよ。」
 動物に囲まれている細い体の少年が声をかける。
 その人は、セーブル。明らかに体のサイズにあっていない
だぼだぼのサイズの服に、またまた明らかにサイズの合ってない靴。
初めて黒凛を見た人はさぞかし驚くことだろう。


「「わかってるわよ!!」」
 リンとクレアがセーブルに怒鳴る。邪魔するんじゃない! と言わんばかりの
気迫にセーブルは立ち退きながらぼそっと「ならいいけど……」と言った。
 セーブル、首を突っ込まなければいいのに……
 クロイはセーブルが可哀相になった。
向こうで筋トレしている体のゴツイ男の人。サルゴも呆れた顔をする。
そして、黒い葉まだ言い合ってる2人に声をかけた。
「おい、速くしねーと緋色に何かあったらどうするんだよ。」
 クレアに言うと、クレアはビクッとするといきなり地面に座り込んだ。
 そしてブツブツブツブツ。
 何かを言い出す。
「なにか見える?」
 リンがナイフの手入れをしながら聞いた。
 クレアは顔が真っ赤。そして汗がたくさん。
数分して呟いた。
「クリアナって書いてある看板が見える。もう少しで海に出るみたい。」
 クレアがそう言うと目を開く。
そのころにはもう、4人は目の前にはいなかった。


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