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真実の瞳とサーカス団
24
:
りほ
:2010/12/12(日) 14:20:12 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
♯6 『誘拐』
「団長、資料です。目を通して置いてください。
次に向かう街の名前と、宗教と――」
「あれは?」
団長がくるくる回る椅子を回転させ、にっこり笑って聞く。
「あなたってほんっと趣味悪いですよね。」
リンが団長にゲ〜ッとした顔をする。
そして後ろ手に隠した資料をパッと出す。
『緋色 hiiro
誕生日:不明
年齢:12
能力:特になし。だが―――』
「リン、資料に間違いは?」
団長は資料から目を離さずにリンにたずねた。
「おそらく、無いと。ですが、最後のはあくまでも推測ですから……」
「リン、ありがとう。」
団長がにっこり笑う。
「じゃあ、失礼します。」
リンは音を出さずにドアを閉めた。
本当にあの人は気味が悪い。何を考えているか分からないあの瞳。
いつも変わる事の無いあの笑顔。思っちゃいけないのは知っている。
でも、あの笑顔を見ると吐き気がする――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
辺りが眩しい。
チュンチュン。サワサワサワサワ。鳥の鳴き声や木々の音が辺りに響き渡る。
私はどこにいるのだろう。
緋色は小さな窓から辺りをぐるっと見回す。何も無い。あるのは針葉樹の木々だけ。
まるで、地の果てまで続いているよう。
「いたっ!」
緋色は小さく呟いた。板の間に寝ていたらしく、体のあちこちが痛いのだ。
どこかの部屋のようだ。天井も床も壁もすべてが板で出来ている。
床には毛布が数枚と、革のバックが二個転がっている。
窓は横の壁に二つと前に一つ、ポツリとついている。
前には外側からカーテンが閉まってて良く見えないけれど。
何が起きたんだっけ?
一つ一つ、順番に思い出す。部屋で横になってたら、いきなり口をふさがれて……
ルシファーが……
「逃げなきゃ……!」
窓に駆け寄る。窓が開かない。
がたっ!!
部屋が揺れる。地震じゃない。これは動いてる。これは……
「車だよ。」
ルシファーが前の窓から顔を出す。
「この車、団長とか言う奴がお前を買うときに貰った金で買ったんだ。
かっこいいだろー。」
「ルシファー、あんた酔ってるでしょ。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「クロイ!」
「クレア?」
クレアが急いでクロイの部屋に入ってきた。
「なにか用? 部屋なら明日片付け―――」
「……緋色がいないの…」
汗が流れる。静かに。静かに。時計の秒針の音しか聞こえない。
「リンにロイに、粋を呼んだけど……」
「クレア、『あれ』今出来るか?」
「…………もちろん」
クレアとクロイが不敵な笑みを浮かべた。
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