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真実の瞳とサーカス団

18りほ:2010/12/09(木) 18:46:38 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
♯4 『マッドアイ』

 街外れの森の中にひっそりと佇む巨大なテントに緋色は見とれた。
 赤にオレンジ、黄色と明るい色を沢山集めたようなテントには、
茶色の飾り文字で『グランド・ディエルサーカス団。予約は受付にて。』
と書かれている。そして、中からは陽気な音楽と明るい声が。
 緋色はテントから目を離さずに、ボソッと呟くようにして聞いた。
「団長、ここ?」
「そうだよ。今日はここで寝泊りすれば良い。」


「団長! お帰りなさい。」
「ねえ、団長。その子だれ?」
 クレアが団長の後ろに隠れている緋色を指差して言う。その手をクロイがパシッと叩く。
「えっと……緋色です。」
 そこには、クロイとクレア、リンに、もう一人体が大きな男の人と、動物に囲まれた細い男の人がいた。
「この子は、ルシファーにもう少しで売られそうになっていたんだ。」
 リンが知らなかったと言う様に、大げさに驚いて見せた。「わお」って。
「ふ〜〜〜〜〜〜〜〜ん。」
 クレアが緋色を上から下までじっとりと見る。緋色はビックリした顔でクレアを見つめた。
 ゴツン!!!!
「いったwwwwww!」
 クレアがいきなり頭を抱える。そして、痛い痛いと騒ぎまくった。
「ごめん。あいつウザイでしょ。俺はクロイ。そして、あいつはクレア。
皮肉にも俺たち、実は双子なんだ。」
 緋色は改めて2人を交互に見た。そっくり。栗色の髪とか、瞳の色とか。
年は12歳くらいかな。
 ぼーっとしてると、クロイにずっと見られていたことに気づいた。
「お前ってマッドアイなんだなぁー。」
 クロイは緋色の右目にかかった長い前髪をのけて言った。
 右目が燃えるような赤。左目は普通の茶色。

「!!!!」
「……………?」
 クロイが顔をかしげる。
 緋色は何も言わず、まっすぐクロイの瞳を見つめた。
クロイは思わずビックリした。緋色の赤い瞳の焦点が定まってない。両手をぶるぶる震えさせ、
遠くを見つめる。
「おっ……おい! どっ、どうした!?」
 クロイが必死に緋色の肩を揺する。だが、緋色は震えたまま、何かをずっと呟いているばっかり。
そして、しばらくしてはっとしてクロイを見た。その瞳は恐怖に震えているような、
悲しんでいるような、そんな瞳だった。
「どうした!?」
 テントにいる人々が全員、緋色を見つめていた。
「あっ……、何でもないです。ちょっと……眠いなって。アハハハ。」
 緋色はクロイから視線を外して下を見た。

 何かが見えた。クロイの記憶が自分の中に流れ込むのを感じた。
あれはなんだったの?



続く…


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