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真実の瞳とサーカス団

11りほ:2010/12/07(火) 17:51:50 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
♯2 『1000』

 ぎしぎし。
 ドアの開く音と共に一人の男が入ってきた。
 ポーカーをしていた2人も、チェスをしていたりビリヤードをしていた人たちも、
もちろん銀髪の少女もびっくりした顔をした。
 そりゃあ、そうだろう。漆黒のコートに片方の目には眼帯。誰もが言葉を失うような
容姿に唖然とするのも無理ない。

「もっ……もしかして…、『グランド・ディエルサーカス』の団長……?」
 誰かがポツリと呟くと、そこにいた人々がいっせいに喋りだす。
「もしかして、ここオアシスに来てくれたのか?」
「じゃっ……あのサーカスがお目にかかれるってこと?」
 皆が興奮している中、一人の男は違った。
そう、銀髪の少女を売ろうとしたあの男だ。顔には冷や汗が流れ、緊張のあまり
長い手足が震えている。
「あっ! ルシファー、お前、確か親友なんだろ? 団長さんとよ!」
 不意を突かれた男は、固まった。こんな奴会った事ない。客の食いつきがあまりにも良かったもんだから…
つい、嘘に嘘を重ねてしまった。まさか、本人が来るなんて、思っても見なかった。
もしここであの団長が違うと言ったら?
俺の面子が無くなっちまう。そしたら、せっかくの信用もすべて終わりだ。

「ああ、そうだ。ルシファー、久しぶりだな。」
 いきなりあの男が声をかけてきた。
「えっ? あっ……ああ。俺のこと忘れたのかと思ったぜ。」
 にっこり笑う団長に、ルシファーも負けじと笑い返す。
 なんで、嘘なんかついたんだ? もしかして、本物じゃないのかもしれない……
「そうそう、何してるんだい? ルシファー。」
 彼は、銀髪の少女を横目で見ながら言った。
銀髪の少女も見つめ返す。
「あっ…ああ。こいつを売ってるんだよ。この街では一応、人身売買は犯罪じゃないからな。」
「確かに。……では、私も参加させてはくれないかい?」
 はあ? 何言ってるんだ? そう思いながらもルシファーはうんと頷く。
「じゃっ……120から。」
「130」「140」「150」
 どうする気なんだ? 何も言わないで……。ルシファーはチラッと見る。そこにはニヤリと笑う団長がいた。
「1000。」
 ざわっ。店の中がざわめいた。1000といったら、ちいさな中古車が一台買えるほど。
「………せっ1000以上は?」
「……………。」
「らっ…落札。」
 ルシファーは言葉を失った。腰が抜ける。なんでなんだ?あんな小娘一人に、
1000も出すなんて。気がおかしいに決まってる……。

続く…


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